最近はデグーを飼育される方も増え来院される方も少しずつ増えてきました。とはいえ、愛玩動物としての歴史はとても浅くデグーについての医学的な文献や教科書もほとんどないのが現状です。限られた情報の中で、できることは積極的に治療していきます。
 

デグーは体表にしこりができることがしばしばあります。しこりの原因は、腫瘍(良性腫瘍、がん)、膿瘍(化膿)がほとんどです。急速に拡大する場合、表面がジクジクしている場合は早めに病院を受診してください。年齢や全身状態、しこりの大きさなどにもよりますが完治できることも多くあります。

 

 

ねずみデグー 9歳

主訴 耳の後ろのしこりがどんどん大きくなってきた。

 

触診してみると筋肉にへばりついておらず、可動性のあるしこりでした。

超音波と細胞診で調べてみると、腫瘍と判断しました。

 

ニコ「急速に拡大しているとのことですので、このまま大きくなり続けると物理的に邪魔で生活の質が下がります。しこりが破れてしまうとダラダラと出血が続くおそれがあります。しこりは根っこがあるようなタイプではなさそうなので、手術で容易に切除できると思います。ただし9歳と高齢ですので麻酔のリスクがそれなりにあります。また、手術後に縫合した部位を自傷して傷が開いたり化膿するリスクがあります。」

 

ねずみ「今でもしこりの重さでよろめいたりします。手術希望で来院したので、手術してください。腫瘍が破れるのがこわいです」

 

エンロフロキサシン8mg/kg とメロキシカム0.1mg/kg、乳酸リンゲル16㏄ 皮下注射をして、イソフルラン2~3%と酸素の混和させて吸入麻酔。呼吸数が20~40回/分で維持します。

低体温になりやすいので湯たんぽで保温します。

 

手術してみると見立て通り固着はなく、出血も少なく、問題なく終わりました。術後も元気で、日帰りで退院しました。

幸いにも自傷行為は認められず、2週間後に抜糸して治療終了としました。

 

費用 麻酔・手術31000円 

   注射、入院、投薬など12000円

   合計 43000円

 

 

ニコニココメント

今回は結果的には手術できれいに切除できました。費用を節約したいとのことでしたので病理検査は実施しませんでしたが、基本的には検査して今後の治療指針や予測を立てた方がよいです。

麻酔時の死亡、腫瘍によっては切除しきれない場合もあります。しこりができてしまった場合はホームドクターの先生とよく相談しましょう。