2009年くらいにタイ旅行にいった。
その時、アユタヤ遺跡だかで怪しげな青年に話しかけられたんだ。

「ヘイ、ボーイ。こいつをおみやげに買っていかないか?」
青年の手には綺麗な青色のハンモックがあった。

「いくらだ?」
俺は即答していた。
生まれて初めて買ったハンモックは父の土産にしようと思った。

数日後、帰国した俺はタイの珍しい酒とハンモックを父に渡した。
「約束の酒だ。あと、これはおまけだ。ハンモック。」
父はハンモックと酒を受け取った。

「ハンモック、、?なんだ?」
知らないのか。
広げてみるよう促した。

床に広げられるハンモック
「ああ、ハンモックってこれのことか。ありがとな。大事に使うぜ。」
ハンモックに揺られながら土曜の昼下がりに洋酒片手に日光浴
そんな絵面が思い浮かぶいい土産だろ?

翌日の夜、父は俺の部屋にやってきた。
「おい、あのハンモックいいな。大事に使わせてもらうぜ。」
"どういたしまして"と手をふる俺。

少しして、どれ、どこにハンモックを付けたのか聞きに行こうと父の部屋にいった。
俺は自分の目を疑った。

父は自分の部屋の端から端へハンモックを吊るしていた。
「おお、お前か。ハンモック、いいな!」

父はそこで寝ていた。
部屋に吊るされたハンモックの真下で。


パパ!!!
ハンモックはそうやって使うものじゃないよ!
どんな効力を発揮しているのかまったくわからないよ!
ていうか部屋の端から端に吊るせたならあと一歩じゃん!
あと一歩で正解じゃん!



部屋に敷いてある布団に仰向けになり、ゆったりと寝ている父。
その父の目線の上にはハンモック。

「いいな!」と言っているが、
何がいいのかさっぱりわからないまま
「大事に使ってくれよ」と言い放ち
俺は父の部屋をあとにした。