大学時代
いろいろなバイトをした
一番のメインになっていたのが家庭教師で
それは大学時代を通じてずっと続けていた
その他は
短期で
デパートの販売員や
博覧会のコンパニオン
広告代理店の事務作業や
父からもらう模擬試験の採点の仕事も時々していた
いろいろな仕事をした中で
大学にある夜間部の「軽食堂」でのバイトの経験が
印象深く残っている
その頃つき合っていた拓(仮名)は
奨学金をもらって学生生活をしている貧乏学生で
常にバイトをしなければ食べて行けなかった
もちろん家庭教師を何件もかけもちしていたし
その他にも
居酒屋やBARのような夜のバイトも常にしていた
いつごろだったか
拓が夜間部の軽食堂でバイトをし始めた
私は拓がバイトばかりしているので
寂しくて
その夜間部の軽食堂に夕食を食べに行ったりしていた
そこは昼間の大学とはがらりと雰囲気が違って
すでに社会人になり仕事をしている人たちが
資格取得のために学びに来たりしていて
ただの学生さんは少なかった
だから食事をしている人たちの服装も
背広だったり
作業服だったり
昼間の大学とはまったく違っていた
私はその日ミートスパゲティを拓に頼んで
作ってもらい
それをテーブルでつついていた
全く食欲がなく
どういう事でだったかは忘れたけれど
なんだかとても苦しくて辛かった
もういらない・・・・
半分も食べないでスパゲティを放り出し
本を読んでいたら
「それ、残すのかい?」
と、むかえに座っているおじさんが声をかけて来た
「え?あ・・・そう・・・もう食べられないから」
「あんたさ、そんな食べ方しか出来ないんだったら
食べなきゃいいじゃない。
食べ物がもったいないよ。」
と、厳しい顔つきで言われた
そのおじさんは少しくたびれかかったスーツを着て
大きなずっしりと重たそうな
黒いカバンを横に置いていた
「お待たせしました」
拓が運んで来た定食を前にすると
「ああ、ありがとう」といって
さっと手を合わせ
お箸を割り
すごい勢いでご飯をほおばる
仕事をしていてキツいけれど
とにかく頑張って夜間に通い
資格を取ってやる!!
そういう気迫が
ご飯を食べる姿から伝わって来るようであった
親に仕送りをもらって暮らし
たいした努力もせず漫然とした学生生活を送り
ご飯を残している自分・・・・
すごく恥ずかしくて
でも
どうしようもなくて
小さくなって本を読んでいた
あの食堂で
色々な経験をした
そのあと私は拓と一緒に
その食堂で働きだした
そしていつの頃から
食堂に集まる夜間学生から
「夫婦食堂」と呼ばれるようになったのである
夫婦食堂続く
いろいろなバイトをした
一番のメインになっていたのが家庭教師で
それは大学時代を通じてずっと続けていた
その他は
短期で
デパートの販売員や
博覧会のコンパニオン
広告代理店の事務作業や
父からもらう模擬試験の採点の仕事も時々していた
いろいろな仕事をした中で
大学にある夜間部の「軽食堂」でのバイトの経験が
印象深く残っている
その頃つき合っていた拓(仮名)は
奨学金をもらって学生生活をしている貧乏学生で
常にバイトをしなければ食べて行けなかった
もちろん家庭教師を何件もかけもちしていたし
その他にも
居酒屋やBARのような夜のバイトも常にしていた
いつごろだったか
拓が夜間部の軽食堂でバイトをし始めた
私は拓がバイトばかりしているので
寂しくて
その夜間部の軽食堂に夕食を食べに行ったりしていた
そこは昼間の大学とはがらりと雰囲気が違って
すでに社会人になり仕事をしている人たちが
資格取得のために学びに来たりしていて
ただの学生さんは少なかった
だから食事をしている人たちの服装も
背広だったり
作業服だったり
昼間の大学とはまったく違っていた
私はその日ミートスパゲティを拓に頼んで
作ってもらい
それをテーブルでつついていた
全く食欲がなく
どういう事でだったかは忘れたけれど
なんだかとても苦しくて辛かった
もういらない・・・・
半分も食べないでスパゲティを放り出し
本を読んでいたら
「それ、残すのかい?」
と、むかえに座っているおじさんが声をかけて来た
「え?あ・・・そう・・・もう食べられないから」
「あんたさ、そんな食べ方しか出来ないんだったら
食べなきゃいいじゃない。
食べ物がもったいないよ。」
と、厳しい顔つきで言われた
そのおじさんは少しくたびれかかったスーツを着て
大きなずっしりと重たそうな
黒いカバンを横に置いていた
「お待たせしました」
拓が運んで来た定食を前にすると
「ああ、ありがとう」といって
さっと手を合わせ
お箸を割り
すごい勢いでご飯をほおばる
仕事をしていてキツいけれど
とにかく頑張って夜間に通い
資格を取ってやる!!
そういう気迫が
ご飯を食べる姿から伝わって来るようであった
親に仕送りをもらって暮らし
たいした努力もせず漫然とした学生生活を送り
ご飯を残している自分・・・・
すごく恥ずかしくて
でも
どうしようもなくて
小さくなって本を読んでいた
あの食堂で
色々な経験をした
そのあと私は拓と一緒に
その食堂で働きだした
そしていつの頃から
食堂に集まる夜間学生から
「夫婦食堂」と呼ばれるようになったのである
夫婦食堂続く