修正「聴かないバンドのTシャツを着るな」 あなたは賛成派? 反対派? | 音楽とごはんとお酒のブログ

音楽とごはんとお酒のブログ

ご訪問あり
がとうございます。
コージーパウエルが大好きです。
キムコは昔飼っていた猫の名前です。
好きなロックについて語る自己満足のブログです。

「聴かないバンドのTシャツを着るな」

私は賛成派でした。

 

6月頃の記事です。

 

 

海外バンドのTシャツが若者たちのおしゃれアイテムになって、どれくらい経つだろうか? 

 今年もさまざまなファッションブランドがこぞってバンドをモチーフにしたTシャツを発売している。Gapは今年の春、世界的なロックアーティストとコラボしたバンドTシャツコレクション(ニルヴァーナ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、AC/DC、ジミ・ヘンドリックス、フリートウッド・マック)を発表。H&MやユニクロなどでもバンドTシャツは人気の定番商品だ。

 当然、街中でもバンドTシャツ――ニルヴァーナ、メタリカ、アイアン・メイデン、レッチリなど――を着ている若者を目の当たりにするわけだが、そのたびに筆者(50代の音楽ライター)はこう思ってしまう。

 あなたの着ているTシャツのバンド、聴いたことありますか?と。

■「あなたが聴かないバンドのTシャツを着るのをやめろ」SNSで話題
 この話題はSNSでも繰り返されている。

 2020年2月には“Stop Wearing T-Shirts of Bands You Don’t Listen To”(あなたが聴かないバンドのTシャツを着るのをやめろ)というメッセージを掲げた白人男性の写真がTwitter(現X)にポストされ話題になった。それに対しては、「俺も激しく同意。ファッションなんてくだらない」「形や見た目から入ったとしてもそれはそれでええやん」など賛否両方の意見が集まった。

 優勢なのはやはり“好きで着てるんだから、別にいいんじゃない?”派。バンドTシャツがすっかり一般化した現在、“聴かないバンドのTシャツを着るな”派は完全にマイノリティだろうし、そんなことを言おうものなら“メンドクサイ音楽ファン”として扱われるに違いない。その自覚も十分にある。

 筆者がこれまでに購入したバンドTシャツ、アーティストTシャツは、ザ・ストーン・ローゼズ、ジーザズ&メリーチェイン、デヴィッド・ボウイなどUKアーティストが中心。

 もちろんすべてのアーティストの大ファンで、作品も聴き込んでいる。めちゃくちゃ好きだからこそTシャツが欲しかったし、着ているだけで気分が上がった。

 私が着ているTシャツを見た人から「デヴィッド・ボウイ、好きなんですか?」などと聞かれるのも楽しく、ミュージシャン取材の現場で話が盛り上がることもある。つまりバンドTシャツを着ることは自分の好みの音楽をアピールすることにつながるし、コミュニケーションのツールでもあったのだ。学生の頃、UKのバンド“ザ・シャーラタンズ”のTシャツを着て授業に出席し、外国人の英語の教師に“Are you charlatan?(詐欺師)”とからかわれたのも今となっては良い思い出だ。当時はイラっとしたが。

 レジェンド的なロックバンドの多くは、ビジュアルやアートワークも魅力的だ。それをTシャツのデザインにしているのだから、カッコいいに決まっているし、“オシャレだから着ているだけ”というのも理解できる。理解はできるのだが、“自分が着ているTシャツのバンドが、どんな音楽をやっているのか気にならない?”と言いたくなるのだ。どうしても。だって、そのバンドの音楽が好みじゃなかったらどうすんのよ? 歌詞の内容にまったく共感できなかったとしたら? そんなTシャツ着ているのはイヤじゃないですか? 逆に、Tシャツのバンドが実際にカッコ良かったらテンション上がらない? 

 もちろん「そんなこと気にしない」という人もいるだろうし、そういう人のほうが大多数なのだろうが、個人的には“せめて自分が着ているTシャツにプリントされているバンドのことくらい知っていてほしい”と思う。そうやって興味を広げることはまちがいなく日々を豊かにするし、何より楽しいじゃないですか。もっと言えば、自分が着ているもの(あと、持っているものや食べるものなど)に関心を持つことは、日々をよりよく生きるための大切な要素だ。

 というわけで、膨大な数のバンドTシャツのなかから、筆者が勝手に選んだ“着ている人がバンドの曲を知らない率”が高いであろう二つのバンドを紹介したい。

 


ジョイ・ディヴィジョンのアルバム「アンノウン・プレジャーズ」のジャケットがデザインされたTシャツ。この絵柄に見覚えのある方も多いのでは?(編集部スタッフ私物)
 まずはジョイ・ディヴィジョン。1stアルバム「アンノウン・プレジャーズ」(1979年)のジャケットを見れば、多くの人が「このデザインのTシャツ、見たことある!」と思うはず。

 イギリスのマンチェスターで結成されたジョイ・ディヴィジョンは、1970年代後半のポスト・パンクを代表するバンド。鋭利な緊張感に貫かれたバンドサウンド、ボーカリストのイアン・カーティスが放つエキセントリックな歌声は当時の音楽シーンに大きなインパクトを与えた。「アンノウン・プレジャーズ」のジャケットのデザインは、1967年初めて発見されたパルサー(パルス状の波を発する天体)「CP1919」からの無線パルスがもとになっているそうだ。

 イアンは23歳の若さで逝去し、バンドは解散。残されたメンバーは“ニュー・オーダー”を結成し、UKを代表するバンドの一つとなった。

 もう一つはソニック・ユース。こちらはUSのオルタナティブロックを象徴するバンドだ。ビジュアル、デザインのセンスが優れていることでも知られ、何枚ものアルバムジャケットがTシャツになっているが、もっとも有名なのはメジャーデビューアルバム「GOO」(1990年)のジャケットだろう。カバーに採用されたモノトーンのイラストは、イラストレーターのレイモンド・ペティボンによるもの。モチーフになったのは、1960年代にイギリスで起きた「ムーアズ殺人事件」の共犯者マイラ・ヒンドレーの妹モリーン・ヒンドレーとその夫デヴィッド・スミスの写真だと言われている。

 両方とも一般的にはかなりマニアックだが(曲を聴いたことがある人より、Tシャツを持っている人の方が多い気がする……)、どちらもメインストリームとは異なるシーンで確固たる評価を得ている最高のバンドだ。「Tシャツは持っているけど聴いたことない」という人はぜひ、ちょっとだけ関心の領域を広げて、彼らの音楽に耳を傾けてほしいと思う。というか……、聴かないバンドのTシャツを着るな!

(文/森 朋之)

 

ソース

 

https://dot.asahi.com/articles/-/225266?page=1