メロキュン♪第6弾!!
『しりとり』なお題に乗っかりたくて、強引に、こんな長い題名になってしまいました(>_<)
メロキュン♪してますか?
では、きらりhosiさんの「た」を繋いで、『「た」とえば、飛行機雲が私を乗せてくれたな「ら」…』
「ら」って、もしかして…鬼門?
でも、次の方は「ら」でお願いしまーす!!

*****



快晴の空に浮かぶ飛行機雲は
あの人の所まで連れてってくれるかしら…
どこまでも続く白い帯が
海の向こうの、ずっと遠くまで繋がっている気がして
そっと空へ、両手を伸ばしてみた…



  -例えば、飛行機雲が私を乗せてくれたなら…-



敦賀さんがハリウッドに旅立って半年…。時折電話やメールはするけれど、もうずっと顔を見てない。

最後に会ったのが、ちょうど半年前。
この時間の、この空港…。





本当は会いたくなかった。
見送りなんてしたくなかった…。

でも、貴方が言ったから。

「君が誇れる先輩でいたいから…。俺は…もっと前へ進むよ」

だから、俺の背中をずっと見ていて…と。絶対に目を逸らさないで…と。

だから、私はここへ立った。
彼を崇拝する後輩として、私の道標となるべく旅立っていく貴方を、目に焼き付ける為に…。

いってらっしゃい!と笑顔で言った。
頑張って下さい!と固く手を握った。


でも、本当はそんなんじゃない。


(行かないで下さい!)
(そばにいて下さい!)

(明日も明後日も、またねって言って下さい!!)


広い背中が遠ざかっていく…。
小さくなって、見えなくなって、ぼんやりと浮かぶ残像すら消えて…。

フェンス越しに、流れる雲の帯を目で追いながら…



やっと自分の気持ちに、気付いた…。





雑踏の中、搭乗のアナウンスが聞こえる。
私は、今も消えない飛行機雲を見ながら、徐に携帯を耳にあてがった。

プルル…プルル…プルル…

少し長めの呼び出し音が、小さな心臓を無駄に刺激する。
一つ深呼吸すると、一拍の静音ののち、耳元に待ち望んだ人の声が届いた。

『もしもし、最上さん?』
「あっ!はい!!すみません。今大丈夫ですか?」
『ああ、平気だよ。ちょうど休憩に入ったとこだし…。それより…珍しいね、君がこの時間に掛けてくるなんて。…何かあった?』


ああ、この声だ…。
私はこの声が聞きたかったんだ…。


思わず顔が緩んでいくのを感じ、慌ててそれ以上の笑顔で上書きした。

「…いえ、特に何もなかったんですけど…。空が…空がとても綺麗なんです。雲一つない空に、飛行機雲がスーッて一筋あって…」
『へぇー…。あっ!本当だ!こっちの空にも飛行機雲…。同じ…だね』
「本当ですか!?…ふふっ♪同じ…ですね!」

見ている空は違う青…。流れる雲だって違う白…。
なのに、見つめる飛行機雲は、その端と端をちゃんと繋いでくれている…そんな気がした。

遠くで再度澄んだ声のアナウンスが聞こえる。
私はそれが合図の様に、もう一度深呼吸する。

「…敦賀さん?」

見上げた空は相変わらず真っ青で、白く長い帯が眩しく浮き上がっていた。
私はそれに手を伸ばす。
人差し指を突き出し、その軌跡に沿って、大切に大切に白をなぞっていく。
最後に朧気になった一筋をサッと拭うと、私はその指を手の平に折り込み、握った左手を、ドキドキとうるさい胸元に押し付けた…。





「私………貴方が、好きです/////」




…真っ白…。

足元も、目の前も、


『・・・・・・・・・・』


無機質な機械の向こう側さえも…


真っ白、になった…。





・・・・・ザワザワ…


サイレントな世界に、じわりじわりと音が戻ってくる…。

「……敦賀…さん…?」

何も聞こえない携帯に頬まで押し付け、耳を澄ます。
顔は火傷した位に、熱い。
でも、不思議と心はこれまで感じた事がない程穏やかで、そんな余裕な自分に舞い上がってしまう。


だから、かな?


火照る体中の血液が、心に発破をかけるから、少し気が大きくなった私は、クスクスッと笑いを零し、思うままに叫んだ。




「好きになっちゃったんです!私!!」




突然の告白に、行き交う人はたまらずこっちを振り返ったけど、そんなの関係ない!
私はズッシリと背負っていた荷物を放り投げた様に身軽になって、それこそ、宙に浮かべる位の気分だったから…

「じゃあ!また!!」
『…!!えっ!?ちょっ!??最上さ…』

言い逃げなのは百も承知!

だけど…

暫くは、このフワフワした浮ついた気分に浸っていたくて、躊躇なく電話を切った。


「ふふふっ♪…言っちゃった///」


恥ずかしくて俯いた顔は、きっとさくらんぼより赤い…。


でも…なんだろう?


恋に溺れる愚かなバカ女も、こんな調子なら悪くない…って思ってしまったから…。




また、催促する様にアナウンスが流れる。

「あっ!ハイハイ…」

私は傍らにあった小さなキャリーケースに手を掛けて、ゴロゴロ…とお供させながら、目指すゲートへと気を走らせる。
チラリと見やった大きなガラス窓の向こうには、もうじき消えるだろう飛行機雲が一筋…。
真っ赤な顔でにやける表情が恥ずかしくて、俯いた頭は一向に前を向けないけど…。
目に焼けつけた飛行機雲は、どこまでもどこまでも、続いているから…



「あと少し…。会いに行きますね………敦賀さん!!」




私を
あの人のところまで
乗せてってくれるよね?



 ~fin~