
連載2発目の記事です。^^。
売上が増えれば費用も増える。
回収しなくては支払えないのです。
回収しなくては支払えないのです。
前回は運転資金借入の際の留意点として、 借入理由を明確にすることがなぜ重要なのかについて触れました。 2回目は、実際に商工会で相談を受けた事例から掘り下げてみます。 A社は5年前、会社設立とともに洋菓子製造小売直販店をオープンしました。 直販店の月商は500万円前後。費用構成は、材料費が3割、人件費3割、 家賃等の固定経費2割、利益2割と順調に推移していました。 2年前、A社は事業の拡大のため、大型百貨店の 地下食品売り場(いわゆるデパ地下)へ進出しました。 出店当初は売り場面積の制限等により月商目標を下回り、200万円程度と伸び悩んでいたものの、 売上推移は安定していました。対売上構成比も直販店とほぼ同様で推移していました。 そして3ヵ月前、A社は百貨店側からの誘致もあって、とうとう売り場面積の拡大に打って出ました。 それにより月商は600万円台まで急成長。その売れ行きによる宣伝効果も手伝って、 直販店も順調に売上を伸ばしていました。 しかし、百貨店売り場拡大後、2ヵ月目にして思わぬ問題に直面することになりました。 と言うのは、この2つの店舗では資金の流れがまったく違うのです。 両者とも、材料費の支払いは月末締めの翌月末払い、人件費の支払いは月末締めの翌月5日払いと、 支出の動きに関しては同じであるのですが、「収入の流れ」がまったく違っていたのです。 直販店では現金売上のみなので、売上が即、現金化されます。 しかし百貨店の場合、売上金の全額が一度百貨店側に入り、 後にマージンを差し引かれてテナントに入金されます。 A社の場合、売上金の入金が翌々月の15日。10月の売上の入金が 12月中旬という契約になっていたのです。 月商600万円の売掛金が約2ヵ月遅れで入金されるということは、 つまり1200万円が手をつけられない状態にあるということです。 冒頭で説明しましたが、A社の対売上費用構成比は、材料費・人件費は各3割、 それに2割の経費です。すなわち百貨店進出から2ヵ月間収入がないにもかかわらず、 約960万円の経費を支払わなくてはならないわけです。A社はやむを得ず、 銀行から500万円の借入ました。 しかし、なぜ、たった500万円の借入で済んだのでしょうか? ここにも運転資金のマジックがあるのです。 A社直販店は説明した通り、すべて現金売上です。収入が即、現金化されます。 一方、人件費および材料費の支払いはそれぞれ翌月5日、翌月末です。 すなわち直販店では、売上代金が約1ヵ月もの間、手元に残ることになるのです。 A社は、この1ヵ月分の直販店の売上代金を、 百貨店売り場の支払いに充当することができたのです。 このA社、ほかの百貨店への進出も視野に入れていた矢先の出来事でした。 売上増加に伴って資金不足に陥るなんて、考えもしなかったでしょう。 もし計画性もなく3店舗目を出していたら…… おそらく運転資金不足による深刻な資金難に陥っていたことでしょう。 さて、お気づきでしょうか。 ここまで百貨店売り場の運転資金を中心に書いてきましたが、 運転資金が問題になるのは、収入の現金化よりも、費用の支払いが早い場合です。 A社直販店のような現金販売の店では、運転資金が問題になることがあってはいけないのです。 飲食店など現金商売の企業が運転資金借入を行う場合は、注意が必要です。 それは運転資金ではなく、おそらく赤字穴埋め資金だからです。
あと4回続きます。^^。