結婚式でもらえるお祝い金。
ご祝儀。


昔愛読していた小説の中で、
結婚初夜に、だんなさんが甘酸っぱい期待を抱いて寝ようとしたところ、
新妻が「どうしてもやっておきたいことがある」といって、
ご祝儀をあらためはじめてしまった……
というくだりがありました。


そうです。
ご祝儀は、もらってすぐに、
誰に、いくらもらったのか、
控えておくのが良策です。


このイメージがあったので、なんとなく、ご祝儀はわたしが持って帰るつもりになっていました。


ええ、今ではわかっています。
なんというか……このバカたれが!


ご祝儀というものは、新郎新婦にだけではなく、
結婚する両家に対して贈られるもの。
新郎新婦が好き勝手にしていいお金ではないのです。


ちなみにこれは、わたしたちの結婚式の場合、です。

両家が催す式という形をとったので、もちろんご祝儀はそれぞれのおうちが受け取るもの。

結婚式を新郎新婦主催でやった場合、ご祝儀は新郎新婦に対して贈られるもの。だから新郎新婦がもって帰るのです。


そうかぁ。
新妻として最初にやる仕事だと思っていたのに、
やらなくていいんだ……。
しょぼーん。
勝手ながらちょっと落ち込んでみたり。


このことを理解するまで、わたしはちょっと錯乱しました。

ご祝儀をもらったらお返しをするのが礼儀。
お返しって、引き出物でいいの? それとも別に必要なの? 
それは後日、送ればいいの?

お返しは内祝いということをかなり後で知りました。

そして、わたしの周りでは、ご祝儀の半返しくらいが無難なところということも。


わたしが「お返し、なんにしよう」と悩んでいたら、お義母が首をかしげました。
「お返しは、うちからするからやらなくていいわよ?」


え? あれ?
そうなんですか?
ご祝儀もらって、お返しは親がしてくれると、もらいっぱなしになるんですが。


↑だから、そこが違うんですってば……(>_<)



お母さんに電話してみました。
「うちは、センセイのおうちに合わせるわ。
センセイのおうちが全部やってくださるならお任せします。
センセイのおうちはセンセイのおうち、うちはうち、というなら
うちの分は持って帰ってうちからお返しします」


やっぱり、ご祝儀はお母さんたちが持って帰るんだ?
腑に落ちないわたしに、お母さんが付け足しました。


「あのね。ご祝儀っていうのは、式当日にもらえるものだけじゃないの。
親戚から事前にもらったり、後日もらったりすることもあるの。
それはお父さんとお母さんに送られてくるの。
だから、お母さんがお返しを手配するの。わかる?」


ええ? 
それだと、式当日のご祝儀もお母さんに渡すってことだよね?


「だから、そうだってば」


うーん、うーん、うーん。
頭くるくるくるくる。

ずっと新婦が持って帰ると信じていたので、なかなか飲み込めません。

バカです。バカがいます。


センセイに確認したところ、アタリマエのように肯定されてしまいました。
わたしひとりだけ錯乱。
とほー。
センセイにこんこんと説明してもらって、ようやく納得。
わたしのバカをご披露してしまった局面でした。


「思い込みはやっかいだ!」
と実感した事件でした……。

もの知らずって、怖いわー。

結婚式への招待状を出したときから、ひとつ気になっていることがありました。


センセイの地元の親友と連絡が取れない。ケータイに電話しても出ない。

実家に電話しても、ご両親が出るばかりで、なんだか言葉をにごらされてよくわからない。

招待状は出したものの、出席欠席の返事がない。

どうしたもんやら。


もし彼が出席してくれるのなら、スピーチは彼に頼みたい。

だけどこれだけ連絡がとれないということは都合が悪いのかもしれない。

どうしたもんやら悩んでいるところで、ようやっと彼と連絡が取れました。



「今ね、交通刑務所に入っていて」

はぁ……? なに、なにやっちゃったんですか!?


「スピード違反バックれ続けてたら、怖い手紙が来た」

罰金払ったらお勤めはしなくて良いのでは? とちらりと思ったものの、そこはそれ、個人の事情というものがあります。


そうか、違反切符ってバックれ続けるとヤバイことになるんだ。

違反切符をバックれようとする友達に口やかましくなったのはこの頃からです。


「そんで、出るのにけっこう時間かかりそうなんだ。式の出席は無理っぽい」


うわ。
なんてこったい。
残念です……。

センセイの実家に帰った際、ふたりで彼の家にごあいさつに伺う約束をしました。


そこで困ったことがひとつ。
式や食事会の人数は彼が出席しても欠席しても良いように手配してましたが、
スピーチ、どうするよ。


食事会は食事だけでは間が持ちません。
イベントをふたつみっつ入れて、やっとこさ時間がつなげるのです。
「イベントはたくさん入れてください」
口をすっぱくして、式場の担当者さんに言われていました。


用意したイベントは四つ。

フィルム上映と、友人たちのスピーチと、ケーキカットと花束贈呈。


出席人数を増やしたときに義母から言われた「お友達からも祝福して欲しいわ」という言葉。
それをかなえるためには、友人たちに骨を折っていただかねばなりません。


ヴァイオリンやピアノをひいてもらうとかお祝いの歌を贈ってもらうとかいろいろありますが、練習したりものを用意したり、なにかと面倒。
スピーチが一番てっとりばやかろう。
さいわいながら、友人も新郎新婦と同じ年、社会人としてそれなりの経験があるのだからスピーチのひとつやふたつなんとかしてくれるに違いない。
きっと。


勝手なもくろみとは恐ろしいものです。
「じゃあお前、スピーチよろしくな」なんて言われたらダッシュで逃げますよわたし。

センセイと私の友人からふたりずつスピーチをもらえば、時間的にばっちぐー。
勝手な都合によって、それぞれふたりの友人が指名されました。


友人たち、渋る渋る。

そりゃそうです。
だってもう、式の一週間前よ。


なんでこんな急やねん! 
ごめんなさい。
だってあれこれ準備してたら順番が狂って……


いいわけです。
ごめんなさい。ごめんなさい。


同じ理由で、受付を頼んだ子にもしこたま怒られました。
そりゃそうよねー。


美容院の都合とかあるのに
「ちょっと早めに来てね(はーと)」って突然言われてもねー。


今、冷静になって考えるなら、相手の都合を読んで早め早めにお願いするのが礼儀です。


すまん。
あの時、本当にテンパっていたのだよ。
許せ皆の衆。


ちなみに受付を誰に頼もうか、けっこう悩みました。


お金を扱ってをもらわないといけないから。
ご祝儀を受け取って、それぞれの両親に渡してもらわないといけないのです。

よもやご祝儀泥棒など出ないだろうけど、やっぱり気軽に誰にでもお願いしていいわけじゃない。


そういや、姉の結婚式は妹のわたしが受付をしました。
身内でやった方が安全は安全です。


式場の担当さんに聞いたところ、友人でも身内でもかまわないとのこと。
できれば、男女ふたりで受付をしてもらうのが良い、と耳にしました。
同姓の方が気安く話しかけられるから。


男女でやってもらうとなると、わたしは姉に頼めばいいとして。
センセイは兄弟がいないから、お義兄さんにお願いする?
うーん、それはそれでバランスとれないなぁ。


じゃあ、それぞれ友人にお願いしよう。
そんな感じで決定しました。

ありがとうN川。
君の、人より立派なネコはつつがなく発揮されました。


さあもう一週間前。
これで準備は終わったかな? 

なーんてそんなはずもなく。
ここから怒涛のスケジュールが始まるのでした。

仕事において苗字を変えたのにはちょっとした打算もありました。

「もしかしたら、センセイの苗字になることで仕事に有利かもしれない」



センセイの苗字はちょっとめずらしいのです。
また、センセイのお父さんはわたしと同じ業種で、敦賀では名の知れた方なのです。

今のところ恩恵にあずかってはいないのですが、苗字が変わったとたんにとある得意先からの受注数が増えたのは気のせい……?


しかしながら一点だけ。
デメリットがありました。


それは印鑑が売ってないってこと。


今まではどこにでもある苗字だったので

「あらハンコがないわ。ちょっと待っててくださいそこの文房具屋で買ってきますから」
が可能だったのです。
なんて便利な。
おかげさまで、旧姓のハンコが五本くらいあります。ほとんどが三文判……。


しかしこれからは印鑑がみんな特注。
三文判なんてあるはずもない。シャチハタも特注です。
気軽にハンコをなくせません。
いや、元々なくしちゃダメなんですけど。

今だに、通帳なんかにつかうひとつと、普段使いのひとつ、この二本だけでやりくりしています。


仕事面以外で、苗字を変えようと思った理由は

「このおうちに仲間入りするんだ」という意気込みもありました。


せっかくこのおうちの子になったのに、苗字が旧姓だとなんだかよそよそしい気が。

別段、旧姓にこだわりがあるわけじゃないし、手続きめんどくさいけどまぁいいや。
そんな簡単な気持ちが一番大きい理由です。


ちなみに、なにかの折に偽名を使うときには、旧姓を使ったりしています。

旧姓で届く郵便物はすべてがダイレクトメール。すぐにシュレッダーにポイ。
これはこれで便利です。


特徴ある名前は名前で、特徴のない名前は名前で、それぞれのメリットデメリットがある。
みなさん都合のいいように名前を使うのが一番だと思います^^。


そういや男性の同僚に
「女性はいいよなぁ。苗字、変えれるんだから」と言われました。

えーと。
法律上では、結婚すれば、男性であっても女性の苗字に変更することはできます。
一応。

婿養子に入った男性は、苗字変えることが多いですよね。

それぞれの事情によって、使いたい苗字を使うのが良いです。

風習にとらわれず、臨機応変に考えるのが吉。

近年、働く女性が増えているので、そんなことも考察してみました。


ちなみに、新しい苗字に慣れるまで、数ヶ月かかりました。
いまだにとっさに旧姓を名乗ってしまったりします。
あはははは。

……えへ。

以前職場にいた先輩が結婚したことを隠していたことがあります。


もちろん、苗字も変えず。上司も、同僚もまったく誰も教えてもらっていませんでした。

彼女が辞めてから、他の部署の方からリークされる形で事務所に知らされてしまったのです。

お相手は、べつの部署、近くだけれど別のビルにいる方でした。
彼も、結婚したことを報告していなかったのだそうで。



いろいろ事情があったんだろうけど、やっぱり教えて欲しかった。



彼女から、同居している彼氏の話はよく聞きました。


一緒のベッドで眠ると、掛け布団を奪っていくくせに、暑くなって腹出して寝ているとか。
先方のお母さんに何度か会っているだとか。

彼氏というのはだんなさんのことだったんだ。
なんだか淋しくなりました。


仲良いというほど仲良くしていなかったけれど、そんなに信頼されてなかったのかなぁって。




できれば、結婚の報告はこっそりとではなく、堂々としたいですね。

するときもそうですが、されるときも。

たとえ何度目であっても、遠慮しないで言えるのはうれしいことだと思います。


だって、慶事。ことほぎ。喜びごとなんだもーん。


仕事をしながらご結婚された女性のみなさまに質問です。


仕事上、苗字を変更されましたか?
プライベートはどうされましたか?


結婚すると苗字が変わるというのは昔の話で、現在は苗字を変えなくてもよいのです。

子供が学校に入るときに父方母方のどちらの苗字を名乗るのか、とか
諸処で面倒が起きるのがイヤだから苗字を統一しておこう
という声もけっこう耳にします。


が、仕事となると、苗字変更した方が面倒なことが多いような気がします。


名刺や日付印、ロッカーのネームシールなどをすべて作り直さないといけない。
社内のみならず、得意先や下請けに苗字が変わる旨を告げないといけない。
新しい苗字になじんでもらうまで、けっこう日がかかるもの。
こちらも呼ばれなれないので、一瞬自分が呼ばれているって気づかなかったり。


「苗字はだんなに合わせたけど、仕事上は旧姓のままだよ」
と教えてくれたのは得意先のHさん。


ちょっと変わった名前の方なのですが、新しい苗字は確か日本で一番多い名前。


「覚えてもらえないでしょう、新しい名前だと。だから旧姓のままで仕事してるのよー」

なるほどなあ。
そういうこともあるのですね。



寿退職(という言葉が古いような気がする……)されて、生活が落ち着いてから働き始めるというパターンが、なぜか周りで多かったのですが、これだと苗字の切り替えが楽なのですよね。
ちょっとうらやましい。


わたしの場合は、苗字はプライベートも仕事もだんなに合わせて変更しました。

得意先にひとつひとつ「苗字変わります~」と報告するのはなんだか照れくさかったのですが、至るところで祝福されたのでうれしかったなぁ。


社内では
「そんなん聞いてへん」
「裏切り者」
などの声もあがりましたが、概ね祝福してもらいました。
というか、なんだか社内がほころんでる気が。

そうか、結婚というのは周りの人たちに喜びをふりまくことなんだな、と実感。


友人や親戚に喜んでもらえるのは想像していたのですが、仕事関係で喜んでもらえたことはなんだかびっくりするプレゼントでした。


結婚式の準備で、新郎新婦がよくもめること。

それは、式で使う曲選び。



よく聞く話では、片方が選曲に強いイメージを持っていて、それがもう片方と食い違い、喧々諤々……



式場を見学していたときに、さだまさしが延々かかっている披露宴に遭遇しましたが、あれはどうなんでしょう。


新郎の趣味かはたまた新婦の趣味か。

おふたりともさだまさしが好きなんだろうな、と考えるのが妥当という気がします。

だって披露宴で、延々、かかってたんですもの……短調な曲が。

どちらかが妥協したのなら、すげぇ忍耐力だと思われます。

ちなみに、わたしもセンセイもさだまし、大好きです。

いつか友人を誘ってさだまさしオンリーカラオケを目論むくらいには。



それでも式で使うのは遠慮したい。

どうしてもというなら、一曲くらいにして欲しい。

延々BGMに流すほど、気合の入ったファンではないのです……。



では、どんな曲を流そうか?

ゆっくりと結婚式、食事会のイメージを描きながら、そこにふさわしいBGMを捜す。

曲選びの醍醐味はここにあるはず。


しかしながら。

時間が、ない!

いろいろスピーディに準備を進めてきたつもりなのですが、もう式の一週間前。

やっとだんどりがはっきりわかって、タイムスケジュールも把握できたのがそんな時期。


選んでる余地(時間)が、わずかしかない。

しかも、わたしは職場復帰して間がなく、体力値が著しく低下、気力もかなり減ってる状態。


もー、どーにでもなれー、あははははー。

頭に花が飛び始めています。



決めないといけない曲は、十曲くらいでした。


結婚式の曲は式場の方でほぼ決まっていて、賛美歌を二択するくらい。

わたしたちが自由に選曲できるのは食事会(披露宴)です。


1、ご出席者入場
2、新郎新婦入場
3、新婦父あいさつ
4、食事&歓談
5、新郎新婦おいたちフィルム上映
6、新郎あいさつ
7、花束贈呈
8、新郎父あいさつ
9、新郎新婦退場
10、ご出席者退場

以上10曲。



どーしても、どーしても、どーしても譲れない! 

わたしががんこ一徹、わがままを言ったのは一曲だけ。

食事会のいつでも良いので、新居昭乃さんの「WANNA BE AN ANGEL」を流して欲しい!


これはなんなく、2、新郎新婦の入場に使ってもらえました。

なんだか賛美歌チックな歌で、「わたしな今、あなたの天使になる」という内容。

元々好きな曲だったのですが、結婚式にふさわしいんじゃなかろうか、と目をつけていたのでした。

ちなみにこれ、何語かわからない歌詞で、わたし自身は歌えません。

歌詞カードには和訳しかかかれてないの。
ドイツ語なのかなぁ。
造語なのかなぁ。

わたしの新居昭乃好きは友人知人の間では有名なので、ここで使わずにどうする! という意気込みもありました。


一方、センセイもぜひ使いたい曲があるとのこと。

それは……映画「ハイランダー」の挿入歌。

ふむ、ぜひ聴かせてもらおう。
センセイのビデオライブラリから映画を見つけ出し、曲の頭だしをしてもらい……


ふむ。
カッコイイ曲ですな。
いいじゃないですか。

どこに使おうかな。

よし、歌詞を見て決めよう。


センセイとわたし、ネット検索。

ふむふむ、クィーンが歌ってるのね。

歌詞の和訳はっと。

エンターキーぽちっとな。


…………………………

ええと。

この歌、要約すると愛する人を失った悲しみの曲なのですね……


え、縁起でもねぇー!


すんごくカッコイイ曲なんですが、さすがに結婚式でぶちかますわけにはいかず、センセイのラストセレモニーで使おうと決め、心の箱にしまいました。


他は特に強い希望もなく、雰囲気のある曲を捜すことに。
「TIME GOES BY」など、ほとんどセンセイのストックから出してもらいました。

さすが昔に舞台をやっていただけあって、資料としての曲がたくさん。

役に立ったよ。

この大量のCD、邪険にして引越しの際に捨ててしまわなくて良かったよ。


式場の担当さんにはサンプルでMDを貸してもらいました。

この中から選んだら、式場の方で流してあげるよ、というありがたいサービス。

MDだけでなく、CDでも用意されていました。

披露宴、食事会に使われる有名な曲がたくさん用意されてました。

ディズニーやジブリの曲が多かったかなぁ。


ぜんぜん曲にイメージのない方でも、式場におんぶにだっこでもだいじょうぶです。

選曲っていう宿題があるだけ。

宿題が……。

本番一週間前に、この余裕のないときに、他の宿題も〆切ぎりぎりなのに、あるだけです。


だ、だいじょうぶ、だいじょうぶ……
ちゃんと終わるから、だいじょうぶ。

明けない夜はないのです。

けれど、夜が明けたときに仕事が終わっているとは限らない、と言ったのはどこの誰でしょうか……

わたしがぼんやりと思い描く結婚式。

そこには、大事な脇役が存在します。



それは花嫁のロングヴェールの裾を持つ、小さい女の子。

ヨーロッパ風のチャペルに、青い空。

鐘の音をBGMに、白いドレスをまとった笑顔の花嫁。

そして、そのヴェールの裾を持って、花嫁の後をついて歩く、かわいいドレスを着た少女たち。


大きなともだちが「お持ち帰りぃ~~」という萌え的シチュエーションかと存じます。



今回の出席者には、ふたりの女の子がいます。

6歳と4歳。

ばばば、バッチリやがな! 


これはぜひ、なんらかの形で式に参加してもらおう。 


先方の都合などおかまいなし、勝手に妄想を進めておりました。


残念ながら、ロングヴェールはかぶらないので、ヴェールの裾持ちはなし。

しかしまだまだ役どころはあります。

式の最中、リングピローを運んでもらったり。

ブーケを持っていてもらったり。

ちょっと年齢的に不安もありますが、そこはそれ、多少の失敗も愛嬌のうちってことでいいじゃんか。


いろいろ期待したのですが、残念ながら、ほとんど断念せざるを得ませんでした……




理由ひとつめ。

事前の打ち合わせがほぼノータイム。




理由ふたつめ。
ブーケが重過ぎる。

他にも、結婚指輪を管理してもらうには不安だとかいろいろな諸事情からあきらめることになりました。

しょぼーん。


でも、これだけは譲れない。

小さな女の子が出席してくれるのなら、これは花嫁としての意地。

絶対通させてもらう!


わたしが鼻息荒く決意していたこと。

それは「あんな花嫁さんになりたい」という夢を抱かせること!


わたしの血筋は父母とも、とても親戚の数自体が少ない状態で、小さい頃に結婚式に出席する機会がありませんでした。

つーか、友人A山が結婚するまで、式に出たことないよ。

初出席は三十路に入ってからだよ。


小さい頃からずっと、結婚というものに対してイメージがわかなかったのは、結婚式を、花嫁さんをみたことがなかったからではないだろうか。

と仮説を立ててみました。


もしできれば、小さい娘さんには、結婚や花嫁さんに憧憬を抱いていて欲しい。


そんな勝手な欲望から、ぜひとも姪やF岡さんちのYちゃんには「しあわせな花嫁さん」を見せびらかしておきたいのでした。

もちろん、そのためには結婚後もしあわせでいつづける義務が生じます。




やりましょう。

ええ、やってみせますとも。

がんばれ現在・未来のわたし。

というより、センセイにがんばってもらうことが多そうな…いやいや。

それはこのへんにどっこいしょ、と。
片付いた、片付いた。



結婚式の当日、えもいわれぬ祝福をみなさまからいただいたおかげで、「しあわせそうな花嫁」はみごとお役目を果たしました。


なぜか、姪とYちゃんのみならず、甥っ子とYちゃんの弟にも影響を与えてしまったようで……いい嫁さん、もらえよー。


そしてその余波は友人Nちゃん(男)まで届き「俺も嫁をもらうならあんなしあわせそうな顔をさせなあかん」と心に刻まれたようです。

がんばれNちゃん。

責任もって、応援だけはたくさんするよ。




小さい娘さんたちに花嫁さんのアシスタント、という夢は潰えましたが、うれしいこともありました。

友人A山がリングピローを作ってくれたのです。

結婚指輪を作ったお店でおまけにもらったリングピローがあったのですが

実にシンプル。 

指輪がシンプルなのでそれに合わせてくれたのですが……。

ちょっとものたりない気がしなくもない。


友人A山が作ってくれたリングピローは、小さなカゴにふわふわのコットンをしきつめた、やわらかい、それでいてすっきりとしたデザインでした。

指輪の銀色がすごくよく映えます。


リングピローといっしょに、ちょっと大き目の箱も届いていました。

なんと、ウェディングベアー! 

しかもドレス、ヴェールとタキシードは手縫いっぽい。

うわぁ、うわぁ、うわぁ……
ごっつかわいいよぅ。


ありがとう、友人A山。

おかげでウェルカムボードの代わりに、ベアにお客様をお迎えしてもらえました。



現在は我が家の玄関で「いよっ!」といういでたちで飾られています。

結婚して二年を過ぎていますが、片付ける機会を逸してしまい……いつまで新婚さんなのかよくわからないまま、ベアはお客様をお迎えしてくれています。

ウェルカムボードもベアの後ろに飾ったまま。


これって、いつ頃まで有効なのかなぁ……

「新婦ばっかり衣装に凝ってて、ズルイ!」


そうです。


センセイの二次会用の衣装も用意しなければならないのです。

センセイはモーニングを持っているのですが、



「新婦の衣装はオーダーメイドなのに、自分は手持ちの衣装なんて。

ずるいずるいずるい」


センセイ。大の男が、子供みたいにおねだりするんじゃありません。

見苦しいから、外でやらないで。

小さい子みたいにぷぅっとふくれたセンセイのために、新郎の衣装も新調することになりました。




なんだかイメージを練っていたらしく、連れてこられたのはゴシック系のデザインショップ。


うわぁ…カッコいいなぁ。

ロックバンドとかでこういうの着てる人いるよね。


ユニセックスなデザインのものの中から、スタイルが良くみえるジャケットを購入。

それに合わせて、ドレスシャツも購入。


結局、わたしの衣装代と変わらない金額を投入するハメになりました。


ま、いいか。


式場での衣装が融通きかなかった分、二次会で発散してもらえたら。

買い物帰りのセンセイのほこほこした満足そうな顔を見、そんな優雅なことを考えていました。


帰宅後、ほこほこした顔で試着したり、ブラシをかけたりするセンセイ。

その後、わたしは彼に衣装の管理をさせたことを後悔することになります。

またしても失念していたのです。


センセイがとても運の悪い男である、ということを。


それを痛感するのは、二次会本番でのお話……。

さて新郎新婦は衣装ばっちり。

では、新郎新婦の父母は?



実は、父は簡単です。

モーニングもしくはタキシード。

新婦を腕を組んでバージンロードを歩く新婦父は、衣装を選ぶ余地はほぼナシ。


せいぜい、持っているものを着るか、式場で借りるかを悩むくらいです。

新郎父も、同じ。



問題は母たちです。

おたがい、相手よりハデな衣装は遠慮したい。

けれども、明らかに見劣りするようでは困る。

入念な打ち合わせをするほど、まだ打ち解けてはいない。


義母は遠方からの参加のため、動きやすい洋装を着るとの連絡がありました。

なるほど、結婚式に数出ているだけあります。
ちゃんと動きやすい礼服をお持ちなのですね。


しかしうちの母は、洋装を持っていません。

これを期に買いに行ってもよいのですが、もうこれが母の出席する最後の結婚式っぽい。

できれば、出費を抑えたいのが主婦の正直な意見です。

そして母には留袖がある。

ちょっぴりハデだけど。

関東で挙げた姉の結婚式、それを着てちょっぴりハデかしらと思ってしまたけれど。



悩んでいる母に、

「留袖あるんなら着なよ。だって、他に着れる機会ってそうないよ?」
とプッシュしてみました。

だっていつまでも悩んでるんだもの。



しかし、和装というのは手のかかるもので。

なにしろ、着付けが大変。
そして準備も大変なのです。

パーツが多いから。

着付けは式場の方にお願いすることになりましたが、当日衣装を持ち込んだのでは大荷物でいかにも大変。

前日に宅配で送りつけることになりました。


姉も和装なので、二人分。
もう大荷物です。



母が心配そうに
「ハデじゃないかしら。失礼にならないかしら」
と繰り返すので、

ホテルでレンタルできる留袖のカタログを送りつけてみました。



結論から言うと。

関東ではハデだった留袖も、関西では地味。

地域差って、おそろしいですね。

ホテルでレンタルする留袖は母のものより派手なものばっかりでした。


母が留袖にすると聞いて、今度は義母に余波が。

「私も留袖にしたほうがいいかしら。式場で借りようかしら」

あの、無理しないで。
無理しないでいいから! 

着たいものを着てください。

おたがい気を使いすぎて暴走しないでー!


友人の結婚式や二次会にお呼ばれするたび、衣装については悩ませられます。

まして、娘の結婚式とあれば、母たちの気持ちもわからんでもない。


ですが。
お願いです。

もう式まで日にちもなく、パニクってる新郎新婦に、面倒、持ち込まないでー!

ウェディングドレスの準備が整いました。

お色直しはしないし、結婚式と食事会はこれでばっちり。


じゃあ、二次会の衣装はどうしよう……?



二次会は幹事の手配で、式場近くの別の場所で催される予定。

ドレスを二次会にレンタルしてみた場合……

気の遠くなるような金額が。



そして、式場は大阪の中心地ウメダにある。

ウェディングドレスのまま街中を闊歩する勇気はちょっとないかな……
つーか、自由に歩けないわ、コレ。


ということで、二次会用の衣装を用意することになりました。



しかし、なにを着たものか。

かなり人数集まってくれるだろうし、
花嫁っぽい衣装の方が期待に応えられそうだし、
着替えに時間かけてらんないし……


ぐるぐるぐるぐる考えていたところに、ぽん、と新しいファクターが投げ込まれました。



それは母からの電話。


「あのね。お母さん、おばあちゃんからウェディングドレス用の布地をもらって、タンスのこやしにしてるんだけど。使う?」

初耳です。

姉が結婚するときにそんな話ひとことも! 
聞いてないよ!?


父方の祖母は洋裁で身を立てた人で、オーダーメイドの高級ブティックを営んでおりました。

高級ブティック。

それは、材料がとても高級、という意味も含まれるのでは。


しかしながら、おばあちゃんが母の結婚式の時に準備していたものってことは、一世代前の布ってことで。

母が管理していたのだから損傷はないだろうけど、一世代前のセンスなのでは……!?

不安を抱えながら、母に布地を見せてもらいました。



うわ。

ピンクのシースルー。
前面刺繍でビーズがふんだんにあしらわれてる。

高そうです。
そして縫いにくそうです。

しかもこれ……ドレス一着分にしては、短くないですか?


百貨店なんかでオーダーメイドのドレスは縫ってくれたりしますが、この布、とても高くつくんじゃないかな。

というより、こんな扱いにくい布地、引き受けてくれないんじゃないかな。


母曰く、難しい布なので、きちんとしたところじゃないとキレイに縫えないとのこと。

そして、ちゃんとしたところじゃないとドレスには仕立てられないだろう、ということで……


ちゃんとしたところって、どこ?

百貨店でも断られるってことは、個人経営のオーダーメイドブティックを探せってこと?

どちらにせよ、料金が頭から煙吹くほど高いんじゃないの!?


どうしよう。

母の言うきちんとしたところには頼めない。

しかし、今ここで使ってしまわないと、この布、この先使うことなんてないのでは? 

私の子供が結婚するまで、私が管理し続けないといけないのかしら。





またしてもぐるぐるぐるぐる考えていると、センセイが自慢のツテでさくっと解決してくれました。


「U田くんにお願いしよう」


U田さんとは、センセイが副主催をつとめていた劇団の衣装係。

この劇団、センセイと知り合う前から何度か見に行ってますが、衣装がいつもカッコイイ。

それを手がけていたのが、U田さん。


これはもう。
お願いするしかないのでは! 

しかもセンセイの友人知人なら、かなりのお友達価格を期待できるのでは!?



かくして、U田さんには衣装をおねがいすることになりました。

デザインから縫製からすべて。

快く引き受けてくれてありがとう!

U田さんはとものごしの柔らかい男性で、とっつきやすいいい人でした。



しかしながら懸念がひとつ。

わたしたちの結婚式のすぐ後に、この劇団は公演を控えているのです。

ちなみに劇団の座長さんは二次会の幹事。

その節は、とてつもないスケジュールで無理難題を言いまして……

すばらしい舞台でしたよ。
てへ。


舞台の衣装をひとりでてがけているU田さん。

ラフデザインを事前にもらって打ち合わせたものの、どうやら作成時間がかなりタイトで。

なんと、三日で衣装を仕上げてくれました! 

しかもそのほとんどが、すんげぇ重ね縫いのスカートに費やされたとのこと。




仕事、速い速い。
さすが舞台衣装のプロです。


結局、長さの問題から、おばあちゃんの布はボレロのようなカーディガンになりました。

布に合わせて、ふんわりしたスカートに、白いノースリーブのトップ。


うわぁ……なんていうか。
ファ、ファンシー!


これは確かに、結婚式という大イベントでもないと着れそうにありません。

さすが舞台衣装のプロ……。


おばあちゃんの布は、やっぱり扱いづらい素材だったようです。

裁断すると、びっしりと刺繍で縫われたビーズがぽろぽろこぼれ。

それをほどくのに一苦労。

しかもするするした薄い布で、縫うのにてこづったそうで……。




でも、作っていてすごく楽しかった! 
と満面の笑みをいただきました。




お疲れ様ですU田さん。

また衣装を作る際には、必ず依頼するからヨロシクです。


そんで、この衣装のコンセプトですが。

「四月生まれとのことで、花をイメージしました。コンセプトは『花の妖精』です!」


U田さん……

さすが、わたしの人となりをよく知らないだけある。

いや、だからこそこんな衣装を作っていただけたわけですが。

二次会に参加してくれた古くからの知人は、笑いをかみころしていましたとも。