「人工子宮」木森木林
 
本文は科学的架空小説で、登場人物や設定は全て架空です。現在の科学的根拠があるところは青字にしています。このことを踏まえてお読みください。
小説「人工子宮」 #アルファポリス https://www.alphapolis.co.jp/novel/730518115/106235230には、色分けしていないものを掲載しています。
 

【第1章 第8話】嘉音

 

リハビリテーションセンターで膝関節の整形外科医として働いてい。医療関係の仕事は適性検査を受け長期の専門教育を受けなければならない。身体的や精神的負担大きいことから一時は志望が減っていたが、最近は多いという。


病気の診断や治療方針提示診断補助装置がしてくれる。主に予防的な医療を医師、看護師、検査技師、カンセラーなど医療チームが分担して行うようになっている

 

音は母、父、姉と同居していた。とはいっても同じ建物の中での個室生活で、みんな生活パターンは異一緒に食事する機会は滅多なかった。テニスをしたり、旅先で絵を描いたりしていたが、最近は医学研究に没頭することが多かった。毎日30分の自転車通勤を愉しんでいる特定の相手おらず、性的関係をもったことはなかった。



ヒトは、いつから性的関係をあまりもたなくなったのだろうまでも男女間、性間で性的関係を頻繁につヒトもいるが、性的な満足感をマスタベーションによって得ているヒトが大半である。マスタベーションのための視覚的、触覚的なツールが多く開発され、相手に気兼ねしなくてよいことからも広まった。性感染症は既に克服されており、このために関係がもたれなくなったわけではない。また、人工授精や体外受精は性的関係をもたない生殖を可能にしている。

 

必ずしも生殖を前提としないヒトの性的関係は、狩猟社会、農耕社会、産業社会、情報社会、そして現代社会にと社会変革に伴って大きく変化してきた狩猟社会における移動生活から農耕社会では貯蔵文化で定住化し、一夫一婦制で子どもを育てるようにった。腕力が必要とされ、また権力機構も生まれた。


権力者にとって都合がよいようにされながらも、

一夫一婦制は情報社会まで長く維持されていた。いまでは腕力が必要とされることはなく、女性は経済的にも完全に独立し、男性に依存しなければならないことは何もない。性的関係にいても男女の関係は平等である。特定の相手を互いに決めることも自由にできるが、性的関係をもつこと自体が敬遠されるようになった。(つづく)