こんにちは、

京都の着付け教室 きものシャン 講師の原です。

 

誰から指摘を受けたわけではありませんが、私のブログ長いので今回からイントロと本題を分けました笑

 

 

イントロダクション

阪急百貨店きもの売り場【おうち時間で楽しむマイスタイルきもの】 6日にて終了しました。私の着付けレッスンおよび知識講座へのご参加ありがとうございました。

 

受講生さんが しっかりした質問内容を持ってきてくださった ので、内容の濃いことがお伝え出来ました。

 

打てば響く、まさにこれです➡難しいことを聞くというのではなく、なにが分からないのか、なぜできないのか?

具体的に投げかけていただくとバシッとお答えできますし、そこから深い知識につながる指導もしやすいです。

 

画像は4日に参加した際のコーデ♪色柄半衿強化中にてがんばりました。

この帯は平家物語を色どる小督の局にまつわる柄。謡曲「小督」をテーマにしたデザイン。
(アンティークからリメイクして帯を仕立てている 銀座 花邑のオリジナル帯です!このお店めっちゃかっこいいのでお時間ある方はのぞいてみてください☆ 
 
帯に書かれている文字の内容は・・・
地 「嵯峨野の方(かた)乃秋の空。さこそ心も澄み渡る片折戸(かたおりど)をしるべにて、明月に鞭を揚げて駒を早め急がん
 シテ 「賤(しづ)が家居の假なれど 地  「もしやと思ひ此処彼処に、駒を駈け寄せ駈け寄せて控へ控へ聞けども琴弾く人はなかりけり。・・・・・・・・・
 
時の権力争い、そんなオトナの都合にて引き裂かれる悲恋。トラブルを逃れて嵯峨野の質素な家に隠れているのは美貌の琴の名手でもある女性。使いの者が彼女を探し求める様子をバリバリの風情を凝らして美しく描いた ふるえる場面です。
 
理由が理由ですので追いかけて見つけたところで、連れ戻せません。
気持ちを伝えるだけ。ただ想いと風景がそこにあるだけ。
ガラスの靴もった王子様がシンデレラ探しているときとは事情が違い、じわじわ系でごさいます。
 
古典芸能とかあまり興味ないけどって人でも、(私も別に詳しくない)、惹かれてしまうお話ですよ。

 

この日レッスンの受講生さんがこの帯に気づかれて「あれ、先生これは小督ですか?」と。

お能とかお好きなんですか?ときくと、その方は下関出身で、地元に平家に関するお祭りがあり、平家物語を詳しく知っていたのだそうです!

 

この帯ってご覧の通り、秋のこの舞台設定ありきですので、超期間限定でしか結べない帯です。なのでまさかこのタイミングでそういう方が受講してくださったのもレアな確率だしおもしろいな!と思いました。

 

 

 

 

 

さて本題はいります

八掛けのお話スタート でございます。

 
この日のお着物はリユースではなく、去年誂えたものですが、この八掛の色を見るとアンティークっぽくないですか?
 

 

 

 

じつは、このお着物自体が奄美大島の伝統的な柄なので、わざとアンティークっぽい色を探して選んだんです♪

すごくお気に入りです。

 

ちなみに八掛のお色ってみなさんどんな基準で選ばれていますか?

 

私が着物を本格的に着始めたころ・・・

親の着物についているピンクとかオレンジとか赤の八掛をすごくダサイ!と思っていて

 

粋な感じにしたいんじゃー!という「イキリなこだわりがありました」笑

 

特にこういう納戸色、錆納戸というような色にハマっていて、同じ色の八掛を何枚も買っていろんな着物につけていました。

 

そしてお襦袢は男の羽織のようなカッコいい系を選んでいました・・・今の私を知る人はザ・関西人ていう感じの色使いですが、昔は江戸風なものにあこがれていましたし、KIMONO姫より前から「アンティーク着物文化成熟地」である銀座あたりに何度も足を運んでドキドキしておりました。

アートとしてとか工芸愛でアンティークのものを扱う場所は京都にもあるんですが、ザ銀はより都会的なノリというか、芸能人も通ってたりするから(わたしミーハーやな笑)、あこがれていたんです。

 

 

でも私は身長が170㎝近くあるので帯はいけても、アンティーク着物は着られません。

だから自分で誂えて、八掛や襦袢や羽裏や半襟でカッコよくするんだ!

という意気込みがほとばしっておりました。パンクな初期衝動がリユースではなく誂えと八掛に向かっていた理由はこれです。

 

 

20代のオシャレ情熱は誰にも止められません(笑)

 

着付けの先生や会社の先輩や親の言うことなんてききませんから^^;

 

 

この紬だって、こんな色。

 

母世代ならこの赤い色をつけていたでしょう。そういうの無理!って全否定していたんです。

 

これらの八掛はいまでも気に入ってますし、ほとんどがそのまま着ています。

 

しかしこのたび! そんな私も赤い八掛けデビューしてしまいます!!! 祝!

 

今回の阪急百貨店きもの売り場にて。私は販売スタッフではないので、自分のレッスンとレッスンの前後はまあフリータイムなわけであります。(でもせっかくいるんだから来てくれたお客様のお着物試着やコーデ相談などさせていただきました^^ 控室でじっとしているのサミシイですし)

 

で、ふと目に飛び込んできたこの子。

 

 

なんともこの藍の着物に赤い八掛 にぐっときました。

*塩沢紬と札がありますが、厳密には本塩沢 です。そのへんはリサイクルなので同じように扱われていることあるあるです^^

 

 

ちょっと照明の関係で黄色ぽく写ってますが、藍の塩沢です。

 

*塩沢ってナニ?というひとはこちら

 

 

 

じつは最近、平成レトロな着物のグラビアにはまっておりまして、90年代初期とかいま改めてみると面白いんですよね。

 

こんな感じ

出典:美しいキモノ 1993年

 

昭和レトロとかポップとかはわかりやすいし受け入れやすいんですが、アーリー90sのグラビアの色合わせについては、私が着物をきはじめた20年前くらいからでもかなり不思議な印象を受けていました。洋服文化100%に加えバブル期を経てこそのノリがそこにあるんですよね。全部が全部じゃないけどこの時代のカラーおもしろいです。

全面的に真似したくなるわけではないのもおもいろい笑

 

さて、こういうブルーグレーのお着物にサーモンピンクの八掛がついていたりするレトロについて・・・

 

 

 

いくつかの理由のひとつに、お襦袢との兼ね合いが挙げられます。

 

 
お母さまのものや自分が昔作ってもらったような、おうちにあるお襦袢のあるあるが、白やクリーム色、ピンクのぼかし、そういうの多くないですか?
紬に合わせておいてあるものも、シンプルなものが多いと思います。
 
さらに白襟がスタンダードになった時代です。
 
そう考えると色を足す部分、メリハリをつけるための要素として帯締め帯揚げとおなじくらい八掛のコントラストが必要だったのかと思います。
 
 
 
私自身、逆に色が多すぎて色コーデがまとまらないときは帯揚げと長じゅばんの色をそろえるとまとまりますよ、とアドバイスすること多いのですが、まさにそれで、八掛のアクセントって大切だったんだと思います。

若いから華やかな色にする、とかそういう単純なことだけではなく、バランスの問題から生まれな自然な流れなんですよね。
 
もちろん洋服の流行りなんかも影響していますし、またそもそも紅絹にその歴史があるように、赤い裏地というのは女性の健康を守るという民間療法というのか?そういう背景がありますから、赤い裏というのは定番なわけです。
 
ところが今のお襦袢、洒落ものだとかなりバリエーション豊か。
*私の私物です。
 
私がはじめて誂えた大島紬の八掛えらびの際には、「もとのウコン染の糸の部分(泥染じゃない金茶のような色の部分)を大事にしつつ主張しないということでこれがいいわよ!」
と悉皆屋さん、会社の先輩、着付けの先生、皆が同様に同じ主張され、この色になりました。
たしかに長襦袢でかなりいろいろ遊べますし、コーデは楽ですよね。
 
 
でも着物歴が長くなり、コーディネートにもなれてくると逆に制限が欲しくなります。
 
この着物もそろそろ洗い張りタイミングなので、家にある八掛をつかって次はどんなのに変えようかやってみました。
*これらの八掛は、メーカーさんのデッドストックをまとめ買いしたりして我が家に集まってきたものです。
 
これ、墨色ぽいですが、少し緑を帯びた色で、もとの着物の色にはふくまれていない色です。
明るいところで見るとより緑っぽい深い色が美しく、上記の茶色の八掛のときよりもしっとりとした雰囲気が出ますね。
 
八掛が家になくてもほかの着物の八掛を合わせてみて、イメージ膨らませることできますよ!
こういう色味のとりあわせは、まさに平成レトロや!と盛り上がる私^^
 
 
そうそう、長襦袢と八掛の相互作用で言えるこの理屈は、セミフォーマルにも通じます。
つまり、現代においてもお上品系の着物にガチャガチャした柄のオシャレものの長襦袢は用いませんから、上品系の八掛には上品ながらもやはり「色気」というものを入れてあげなければなりません。
 
ここでいう色気とは、変な意味じゃなくて、美しいと思える刺し色です。
 
 
↑上の写真の鮮やかピンクもみたときは驚きましたが、若い年代の方が着るにはちょうどよいと思える素敵な色です。
これは光沢のある綸子×絞り の小紋ですが、八掛をサーモンピンクのような優しい色にしたら40代、50代でもじゅうぶんに素敵です。
 
私のお気に入りの小紋。血気盛んな20代に誂えましたが、さすがにこれにスミぼかしの八掛などは選ばず、ピンクにしました。
クリーム色や白の上品な襦袢を合わせることが分かっていたからです。
 
襦袢が抑えたものを着るとわかっていたら、八掛には「色気が欲しい」ですね。
 
こちらの付け下げにも・・・
 
金茶でも墨ぼかしでも薄グレーでもなく グリーンの部分から色をとって選びました!
こういう華やかな付け下げは格式ばったところというよりも、華やかなパーティで活躍する着物なので、控え目では着物そのものの良さがでないわけです。
 
 
アンティークの着物についている八掛の色ってほんとカッコいいですよね。
戦後のように、洋服ばかりで着物のコーデなんてよくわからん、という時代ではありません。
化学染料を謳歌し、、西洋文化もどんどん人の目に飛び込んでくる、色で遊ぶ文化がもっとも成熟していたころのお着物は本当に楽しい。

1年に1回洋服を着るかどうか、、くらいの時代の人と、1年に1回着物を着るかどうか、、という戦後人では色の感覚から流通しているモノもなにもかも違うわけです。

なにをどうやってもこの時代のセンスや物の良さには追いつけない。そこがアンティークの最大の魅力であると思います。(これは洋服も同じですね)

 
さて。結局あの赤い八掛の塩沢、迷いましたが購入させていただくことにしました。あの着物でいろんなことを考え思いめぐらすきっかけになったのですから、これも自分の着物ライフの1ページですよね。←というお買い物いいわけ笑
 
 
 めざせ!平成ホヤホヤの女!前髪も90年代意識してさいきん巻いてスプレーしたりしてます笑
この色使いこそ平成レトロ↓ この当時はまだ子供だからうっすら記憶にあるくらい・・・
 
手元にあった帯締め帯揚げをさらっと合わせてみたのですが、
惜しいですね!ちょっとこんど本格的に再現してみたいと思います。
 
平成初期。この時代が江戸や明治大正と比較して着物文化としてみたときに、けっして成熟していたとは言えません。むしろ着物がどんどん衰退して迷走しているようにも見受けられたこの時代。でもこの時期がなかったら今も無いわけだし、この時代にモノづくりをしていた方たちもいま現役。
 
そして今出回っているリサイクル品もこの時代の着物や帯は多い。
古臭いな、と無視せずにいろんな目線でみてコーデを考えると楽しみ広がると思います。
レトロコーデたまにしてみるのも楽しいですし、色味だけでモダンにアレンジもできるわけですから。
 
 
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