こんばんは
今日はウールの着物のお話です
私が勤めている呉服店で
ウールの着物を貰いました
なんと、現社長のお母様が働いていた時に
着ていらっしゃったものということでした
ということは数十年前のもの
これは研究させてもらおう
それがこちら
※すみません、私の着ていた着物の袖が映り込んでいます
先染めで、緑と黒で細かい市松模様になっています
ウールではこの柄よく見るけど、同じく先染めの
綿や紬では見かけないですよね
スーツでもよく見る柄ですね
なんとこちら、現在では珍しい袷仕立てになっています
ウールの着物を袷仕立てにしたら絶対暖かいし
いいと思うのですが、現在は見かけないですよね
ウールはゴワゴワするからなのかな
今は温暖化しているし、暖房も効いてて住宅事情もいいから
昔ほど防寒しなくてもいいのかもしれないですね
(綿の袷仕立てはたま〜に見掛けますが…こちらも稀ですね)
裏側を見てみると、想像通り、胴裏が茶色くなっています
そして、穴もあいてる…
幸いなことに、表地は無事でした
胴裏は正絹を使っていました
現在、弊店で使用している胴裏より薄手に感じます
昔は胴裏も高級なものから安価なものまで、
表地の素材や価格に合わせて数種類扱っていたようなので、
これは安価な胴裏を使用しているのかも
そして、八掛には綿が使われていました
ほどいてみると、生地のミミがなく切りっぱなしに
なっている部分があったので、おそらく洋服用の生地を
八掛に使っているのだと思います
生地の厚みと目の詰まり方から、おそらく
ブロード生地と思われます
表地が正絹以外の時に使う八掛用に、
無難なピンクベージュの綿の生地を買っておいて
使い回していたんじゃないかなと社長が推察していました
…この表地には絶妙に合っていないですが
多分、社長のお母様がご自身で仕立てたんじゃないかなぁ
このウールの着物は、胴裏と八掛を取って
単衣に仕立て直すことにしました
早速、和裁教室へ持って行って先生に見てもらったところ、
すごくラッキーなことが分かりました
この着物はバチ衿だったのですが、プロの和裁士さんが
一般的によく用いる、バチ衿の形で一気に衿を付ける方法ではなく、
まず、広衿の状態で身頃と縫い合わせてから、半分に折って
バチ衿にして縫い留めてあるようで、単衣にするために
胴裏を全部取っても、衿付けはほどけないらしい
ということは、先生の力をさほど借りなくても
自分でどんどん進められる
ということで、ほどきました
まずは袖の部分
袖底は、袷仕立てをほどいて単衣にしようとすると
どうしてもバラバラになってしまいます
次に裾の部分
着用されていたので、ほどくとホコリが溜まっていますね
こちらはテープをペタペタして取り除きながらほどきました
最後に衿の部分
裏地の部分がすっかり取れましたが、
衿は身頃と繋がっています
木綿の衿芯も変色していたので、こちらは漂白して再利用しました
とりあえず、今日はここまで
次回は縫う工程の説明から完成まで書きますね
それではまた〜