一昨日のことになりますが、国立劇場で歌舞伎を観てまいりました。
演目は 「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」 と 「春興鏡獅子」。
松本幸四郎、市川染五郎、松本金太郎と三世代が揃う舞台でした。
松本幸四郎さんの「熊谷陣屋」の場面はとても素晴らしく、主君に対し潔く忠義を貫こうとする震えるような心と、そのために子を殺さねばならなかった親の、身が裂かれるほどの悲しみが伝わってくるようで、涙が滲みました。感動しました。
オペラグラスを通すと、幸四郎さんの額に流れる大量の汗まではっきりと見えました。70歳を超えても、全身のエネルギーを燃やすような熱演には胸を打たれます。
染五郎さんが演じる「春興鏡獅子」、これまた素晴らしかった。
前半の女らしいしなやかな踊りと、後半の勇壮な獅子の踊りのコントラストがとても鮮やか。この演目は「これぞ歌舞伎」という感じで、観終わったあとには胸がすくような爽快感がありますね。
胡蝶の精を演じた金太郎くんと団子くん(中車さんの息子さん)の二人も一生懸命で、華やかな舞台でした。
今回は、3階の席から観てみました。
国立劇場の3階席は初めてでしたし、値段も安かったので(2,500円)あまり期待しないで行ったのですが、このお席、とっても良かったです。
舞台もよく見えるし、花道もバッチリです。
2階より上は客席の傾斜がきつくなるので、前に背の高いかたが座っても邪魔になることはありません。
歌舞伎座は豪華ながらもどこか大衆的、というか娯楽的な雰囲気を感じますが、国立劇場は「文化の殿堂」という厳かな空気感がいいですね。
ここから先は余談になりますが…
正直に言いますと、わたしは幸四郎さん、染五郎さんは、そ~んなにはファンではありませんでした。
幸四郎さんの舞台は何度か観ていますが、ちょっと声が聞き取りにくいような…
染五郎さんの舞台も観ていますが、なんだか迫力不足のような…
そんな感想を持っていました(生意気なことを言って、ご贔屓の皆様には申し訳ないのですが)。
ですが、最近は違ってきました。
幸四郎さんは、歌舞伎座の杮落公演で勧進帳を観て以来、すっかり魅了されてしまいました。なんだろう、全身から発せられる気迫を感じます。
9月に新橋演舞場で観た「不知火検校」は、冷たいナイフをひたっと首筋に当てられるような、冷徹な凄みがありました。
染五郎さんは、四谷怪談の伊右衛門のときは「やっぱりなにか物足りない」なんて思っていましたが、9月に観た「陰陽師」が涼やかでとてもよかった。
観ている間は、海老蔵さんとか愛之助さんに目が行きましたが、観終わったあとにジワジワと効いてくるというか、長く心に残ったのは染五郎さんの安倍晴明のほうでした。透明感がありました。
きっと、ますますいい役者さんになられるのでしょうね。
帰り際、一緒に観た夫が一言 「わが家は 『高麗屋贔屓』 でいくからな」 とつぶやいていました。
え?いつからそうなったの?と思ったけれど、まあ、異存はございませんわ。
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