黒蜥蜴と銘仙
千葉までの長い通勤は読書の時間。
大好きな江戸川乱歩の全集から、この本。
女盗賊の話ですが、ただの推理小説にあらず。
サスペンス、トリックの妙、エロス、残虐などなど。
盛りだくさんの要素に、乱歩らしさが溢れている。
”誘拐されたままの銘仙の不断着が、クチャクチャにしわになって、”
江戸川乱歩の時代には、銘仙が日常に密接していた着物だとわかる。
この誘拐されたお嬢さまは、とてもお金持ちの宝石商の設定だけど、やはり、若い女の子は銘仙を日常に着ていたんだなと思う。
銘仙は当時、とても流行した。
銘仙には、特別な絵師がいたわけでなく、世の女の子たちのニーズで様々な柄が生まれた。
もちろんトレンドハンターのような存在の人が、柄や色を仕組んで流行らせたりもしたのだと思う。
いろいろな文献を読むと、銘仙は、まさにストリートファッションのきっかけだったのだと感じる。
だから勢いがあり、力があり、なんだかワクワクする。
女の子を激しく魅了するものは、昔も今も、きっと同じ。