[ロンドン 28日 ロイター] ギリシャの財政悪化が止まらず、「ユーロ離脱」の可能性もささやかれるなかで、欧州の企業は、ギリシャの社会的な混乱や、金融システム崩壊に対する備えを進めている。
ギリシャと取引がある欧州企業は、ギリシャの支店から毎日キャッシュを回収したり、債務を圧縮したりしているほか、ギリシャがユーロ導入前に使っていた通貨ドラクマへの移行準備を行っている、という。
コンサルタント・会計事務所KPMGのパートナーであるロジャー・ベイリー氏は「大半の企業は、ギリシャの(ユーロ)離脱に備えており、キャッシュや通貨面の課題を検討しているところだ」としている。
企業財務専門家協会(ACT)は、代金引き換え払いを要求したり、ポンドやドルなどユーロ以外の通貨で売買契約を結ぶなど、企業は自衛策をとるべき、と主張する。デピュティーディレクターのマーティン・オドノヴァン氏は「企業は、支払い条件の確認やサプライヤーの財務状況のチェックのほか、子会社からすぐにキャッシュを回収してユーロ以外の通貨に換えるなど、自衛策を強化する必要がある」と述べた。
KPMGのベイリー氏は、ギリシャがユーロを離脱する事態への備えとして、6つの「C」をチェックするよう、クライアントに助言している。それは、「cash(キャッシュ)」「contracts(契約)」「continuity(持続性)」「counterparties(カウンターパーティー」「control(コントロール)」「commercial(コマーシャル)」の6つだという。
<ドラクマ紙幣印刷準備も>
ギリシャでおよそ100カ所の店舗を展開している英家電販売大手ディクソン<DXNS.L>は、暴動が起きた場合に備えてシャッターを購入。
同社は危機管理計画を整備しており、社会的な混乱の際にはギリシャの全店舗を閉鎖するほか、ドラクマへの移行も準備している、という。
英飲料大手ディアジオ<DGE.L>も、ギリシャへのエクスポージャー縮小を目指している。同国でのマーケティング支出を削減したほか、在庫も圧縮し、ギリシャで稼いだキャッシュを素早く本国に還流させている。
独高級車メーカーのBMW<BMWG.DE>も、最悪の事態に備えている。イアン・ロバートソン取締役は「われわれはユーロの将来を信じているが、現在の仕組みがそのまま続く、という意味ではない」と指摘した。
独旅行大手のTUI<TUIGn.DE>は、昨年11月から準備を進めている。同社は、ギリシャのホテル経営者との間で、ドラクマに移行した際は、ドラクマ建てで支払うことを盛り込んだ契約を取り交わした、という。
一方、関係筋がロイターに明らかにしたところによると、ギリシャがユーロ圏を離脱した場合に備えて、世界最大の紙幣印刷会社、英デ・ラ・ルー<DLAR.L>は、ドラクマ紙幣の印刷に向け緊急計画を策定するなど準備を整えている。新紙幣を全国に配布する際には、世界最大のセキュリティーサービス企業、英G4S<GFS.L>が関与するとみられる。
デ・ラ・ルーはコメントしていないが、アナリストは、ギリシャがドラクマに移行した際は、必要になる新紙幣が膨大な量に上ることから、ギリシャは外部の印刷業者に頼らざるを得ないとの見方を示している。
(David Jones記者;翻訳 吉川彩;編集 田中志保)
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