今年に入って、はじめての通院の日…
12月から始めた、気休め程度の抗がん剤の効果を見るために、私も一緒に病院に向かった。
「残念ですけど、かなり悪くなっています。肝臓はほとんどがガンに侵され、後1ヶ月くらいと考えた方が良いと思います。」
やっぱりと思った…
痛みも増えてきたし、何より食欲が落ちたのは気がかりであった。
「痛み止めも強いのを出しましょう。車の運転は控えてください。」
その日も主人の運転で来たため、運転ができなくなるのことは気持ち的にも納得できなかった。
何とか先生に無理を言って、運転可能な別の薬を処方してもらった。
「入院すると、コロナの関係で面会ができない状態になります。そのうち通院も厳しくなりますから、在宅医療をお勧めします。手配はこちらでしますから。」
もう治療はない…
後は緩和ケアのみ…
がんセンターからも見放された患者になったことを受け入れるしかなかった。
帰りの車の中で、涙が止まらなかった。
「子どもにも話さなきゃね…」
あれ程、子どもには知られたくないと言っていた主人だが、もう話さざる得ないことを覚悟していた。