男にとっての靴は、見た目以上に性格、感性、性癖までをあからさまに表す。
一日に何百人ものゲストを迎えるホテルマンは、その客の靴を見てその人間に対するサービスまでを変えるという。
仕事柄、街を歩いている時も、電車に乗っていても人の靴をまじまじと見てしまう癖があり
はっきり言うと、どんなにお洒落をしていても足元が貧相だと一貫の終わりなのである。
2万円のスーツを着ていても10万円の靴を履いていれば、そのスーツは5万2千円に見えるし、10万円のスーツを着ていても2万円の靴を履いていればそのスーツは、ツーパンツ付きの3万6千円に見えてしまう。
靴は履く物以上に、消耗するものとしての道具のような役目がある。
職人は道具が命、服装は靴が命なのである。
靴について
「革は生きた素材であることを忘れてはいけない。死に絶えることはなく、いつまでたっても生き物のように、履く人と一体化するものである」
と言ったのはサルバトール・フェラガモの二男、レオナルドフェラがモだ。
この「一体感」という言葉、感覚が身体の一部のような、何とも言えないエロティックで靴好きにはたまらない感覚だ。
赤い靴やガラスの靴と言うようにヨーロッパでは、靴は昔から人体の一部として考えられ、ヨーロッパ人は寝るとき以外は靴を脱ぐ習慣がないことから我々アジア人以上に靴に対する執着が強い。
これは2009年、私の二男が自分のサッカーシューズを試合前日に必死で磨く姿。
何を思って磨いているのか?(明日は俺がスターだぜ!)かな
ユニホームは洗濯され畳まれればおしまいだが、靴は唯一入念な手入れが必要なもので、なぜなら靴は人体の一部、自分の身体のケアに近い感覚だからだ。
ただ、サーカーシューズが残念なのは、自分の足に馴染んだころには底減りか、部分破れでダメになること。
当の本人は新しいモデルのスパイクが買えて喜んでいますがね。
しかし大人の男が履く靴はサッカーのスパイクとは違い、それなりの価格のモノを履いてほしい。
お金に余裕があれば気に入ったものを何足でも購入できるが、現実はね。(悲)
でも清水の舞台から自殺する気持ちでクレジットカード握りしめるなら!できるだけ良い靴を買いたい!
高価な靴を買う理由は、靴は服とは違って、あまり流行に左右されないから、本当にベーシックで良い靴は四半世紀は変化しない。
そして身体の中で一番変化しない場所が足でもあるからなんです。
流行に左右されないもの、変化しないものに投資をする。これも原理原則。
三万円の靴を三回見送って、九万円の靴を買うことは決して無茶なことではない!
十万円の靴を履くとこの意味がきっと分かる。