「聖女の救済」 東野圭吾 | きむきむ父ちゃん@滋賀県草津市で働く専業農家のブログ

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農家の長男に生まれて36年、農家と名乗って6年目。まだまだペーペーでございます

聖女の救済 (文春文庫)/文藝春秋
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表4より~

資産家の男が自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明、男から一方的に離婚を切り出されていた妻には鉄壁のアリバイがあった。難航する捜査のさなか、草薙刑事が美豹の妻に魅かれていることを察した内海刑事は、独断でガリレオこと湯川学に協力を依頼するが・・・。驚愕のトリックで世界を揺るがせた、東野ミステリー屈指の傑作!



本文中(P.239)より抜粋

「穴を掘っていったら恐竜の骨が見つかった。学者たちは喜び勇んで掘り出す。骨についた土をすべて綺麗に取り除き、巨大な恐竜の骸骨を作り上げる。なるほどティラノサウルスは、こんな顎を持っていたのか、こんなに腕は短かったのか、という考察を始める。だけど彼等は大きな過ちを犯していた。二〇〇〇年、ある研究グループが、掘り出した化石の土を取り除かず、そのままCTスキャンし、内部構造を三次元画像にするということを試みた。するとそこに現れたのは、心臓そのものだった。それまで捨てていた骨格内部の土は、生きていた時の形をそっくり残した臓器などの組織にほかならなかったというわけだ。今では恐竜の化石をCTスキャンするのは、古生物学者たちのスタンダードな技術となっている」



ミステリーが面白いか否かは、ミスリードする人物がいかに事件を複雑にするかということにあります。

ミスリードしていく人物が自然であればあるほど、読者に対する完全犯罪が構築され、

構築されたミステリーの山が高ければ高いほど、その山が崩れた時に作品の価値が決まります。

本書は冒頭部分ですでに、白い粉を手にする人物が表れ、古畑任三郎やコロンボよろしく

後は犯人を追いつめていくだけという、お決まりの流れに乗るかと思いきや・・・。

その確固たる事実すら、読者の心を揺さぶる道具にしてしまうあたり、

揺さぶられ過ぎて今回も東野さんにやられてしまったといった感想です。。。





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