「最近、寝不足気味なんだよね」
「もう、テレビとかあまり見なくなったよね」

この界隈の言葉を他人に発するとき、
微妙な自慢、虚栄心みたいなものを身に帯びるひとって、
意外と多い気がする。もちろん、ぼくも含めて。

充分な睡眠を確保できないくらい
忙しいオレ、ワタシ。
テレビメディアごときが発信する情報では満たされない
成熟したオレ、ワタシの感性。

言葉の裏にはかようなアッピールが含まれている、
おそらく、そういうことなんだろう。

わたくし事ですが、当面、

過度の酒食をきつく己に戒めておりますので、

週末はひがな家でゴロゴロしておりました。

まあ、通常の週末でも、誰にも相手にされずに
ゴロゴロしていることは多々あるんですが。
独身のおっさんなんて、そんなもんです。

ということで、実際現状、テレビを観なくなってしまった己に、
意図的に、イヤというほどテレビを観せてみました。

多少のお仕置きという意味を込めて。

何とはなしにBSで、
ぼくが愛読している小説が原作である
時代劇の再放送を観てみたが、

ひっくり返るほど、面白くなかった。

普通なら、やっぱりテレビつまらんなぁ、
で終わるひともいると思う。

しかしながら、ぼく、副隊長は類稀なる探究心と
莫大なる時間を持て余す才人にして暇人。

「なぜに面白くなかったのか?」

を少々考えてみた。

小説を読むとき、ぼくは目で追った字面を
頭の中で写実的にイメージしながら物語を読み進める。

我が脳内スクリーンに組み立てられたセット、
架空の想像物だけに予算など気にせず瞬時に、
「総製作費5000億ドル」
きわめて秀逸なモノが出来上がる。

物語に登場する人物たち、これも己の好みで
好き勝手にキャスティングするわけだ。

ときには、すでに鬼籍に入って久しい往年の名優たちを
墓穴から引きずり出してキャスティングすることだって
できる。

そして、なにより大事な主役なんだが、
我が脳内シネマには、不動の、不世出の大スターが
おわすわけで。

アクションをやらせたら、CGいらず。
ワイヤーアクションなど足もとに及ばない立ち回りを
生身の体ですいすいーっとやり遂げるし、

ゲイリー・オールドマン、ショーン・ペン顔負けの
幼子や婦女子を狂気の微笑を添えて、あるいは
眉尻ひとつ動かさずに葬り去るような突き抜けた
ピカレスクも見事に演じ切り、

ひと夏の淡い青春を描く物語では、
どこから見ても現役としか思えない学生服の
見事な着こなし。

夏空の下、自転車を駆って颯爽と坂道を走るシーン、
柑橘系のフレグランスを辺りにまき散らし、
その横顔から落ちる一筋の汗は、高原の石清水。
手酌ですくって飲める。
彼クラスになると、猛暑にひと月湯浴みをしなくても、
なにひとつ問題はない。

そう思わずにいられないさわやかさと、
幅広い役柄を難なくこなす演技力、強靭な肉体を
持つ、我が脳内シネマにおける今世紀最大のスター

・・・ぼく、副隊長のことなんですけどね。

まあ、ぼくの作り出した空想の舞台では、
ほんとにいい演技をしよりますわ、ぼく。

と、冗談はさておき、
あらためて考えてみると、
ぼくは実際、小説を読んでるとき、
背景の景色や建物に関しては、
頭の中で写実的に再現して物語を追っているが、

登場する人物については、現実に存在する人物を
具体的に当てはめて動かすのではなく、
すりガラスや霧、霞の向こう側に立っているひとを
眺めるような、存外にぼんやりとしたイメージで
小説を読んでいるような気がします。

そんなことを考えると、
限られた予算で、活字から誰もが納得するような
具体的な映像を作ることって、
とてつもない作業なんでしょう。

安易に、
「やっぱり原作と比べるとなぁ・・・」
と言うのを手控えるような感性を持つひとって、
素敵なひとなのかも知れません。

自分は、どんな本の読み方をしているのか。
さして意味のない、くだらないことを考えてみるのも、
たまには面白いですよ。


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