「三日間休みがあったときに、
 一度も風呂に入らなかったことがある」

これは、ある素敵な女性の勇気あるカミングアウト
なんですが、驚く人がいるやも知れませんね。

しかし、これは経験則を踏まえた上での持論、
むろん相対的なお話なんですが、女の人って、
男に比べて、あまり風呂を好まない傾向に
ある気がします。

対して、ぼくは偏執的に水浴びを好む性癖です。

どんなに疲れていても、飲み過ぎて
口から虹色の残滓を吐いたあとでも、ぜったいに
自宅に戻ったら風呂に入り、血行が良くなった
頃合いにさらに、湯船から顔をせり出し、
最後の一滴まで出し惜しみしない入浴スタイル。

愛する人がいる常夏の時節なら、アスファルトを
這い這いしながら彼女の部屋に転がり込み、

「風呂に入れて」

と彼女の肩を借り、ついでに手足もフルにレンタルして
身体の隅々まで洗ってもらったこともあります。

ですから、若い頃は、彼女の様子を観察して驚き、
周囲の女性たちに問いただして二重に驚き、

「女というのは、なんて不潔な生き物なんや」
と思ったものです。

でも、それって、衛生観念の問題というより、
体力の絶対値の問題なんですよね。

ぼくなんかは、少々風邪をひいたところで、
ひがなベッドに横臥するなんてことは、
まずありませんけど、女の人って、
動けなくなるでしょ。

足りなものを補い合うのが、男と女の
在りようのひとつなら、男はいくつになっても
女性の肉体的実需に応えないといけない。

だから、身体を鍛えることは
大切なんて甘いものではなく、
『できる子』の必須だと思っています。

そんな話をして、気持ちよーくなっているときに、
「副隊長って、家事とか一切しなさそう」
と問われましてね。

確かに、火事は起こしましたが、もし、相手が
そういうことを一切しないでいいという思想の
人なら、家事はしないと思います。

でも、「男子、厨房に入らず」みたいな
発想には、あまり興味がありません。

端的に、そのスタイルがとりわけ恰好いいと
思えないんです。

ぼくの友人なんか、ほとんど結婚しているんですが、
たぶん、普通に家事を手伝ってますし、その様子を
観るに、それが彼らの男としての価値を下げている
と言うよりは、むしろ逆に、合理的で恰好良く
ぼくには見えるんですよね。

「だって、余計なことを済ませて、
 一緒にいる方が楽しいやろ」


結婚10年戦士の友人の言葉は、ぼくの耳朶に
とても心地よく響きます。

ちなみの、未婚のぼくですが、俗称「ヤドカリ」
だけあって、掃除と洗濯のスキルは相当高いと思います。

とりわけ、女性のパンツ界隈の手洗いは、
35歳にして、匠の領域に届く勢い。

女性の皆さんはご存知でしょうが、ぼくたち男の
大好物、女性もののパンツというのは、手洗い
した方が長持ちして、地球に優しいみたいですね。

もちろん、最初はぜったいに洗わせてくれませんけど、
けっこう洗濯フェチであるぼくが、
「洗濯機回してる間についでに洗ってあげるよ」

なんて邪心のない問答を繰り返すと、そのうち
「手洗い職人」を拝命することになります。

別に、取り立てて深く考えたことはありませんが、
「ぼくだけに何かを許す瞬間」のひとつと捉えれば、
なかなか情緒のあるシーンと言えなくもない。

いつも脱がせてばかり、邪魔者扱いのパンツに
「日々のデリケートエリアのディフェンス、
 御苦労さまッス!」

の感謝を込めての手洗い。悪くないと思います。

ここで一点、
パンツ手洗いの巨匠として注意があります。

「パンツを手洗いするときは、ぜったいに
 アッチの方向を向いて洗うべし!」


間違っても、丁寧に洗うことに気を取られて、
ガン見しながら洗うなんてことはしてはいけません。

No lookで、wash!

瞑目して心気を満たし、指先の神経を研ぎ澄ませば
彼女も納得、ほら美しい洗い上がり。

間違いありません、巨匠のいうことですから。

見えない部分のデリカシー。

いつまでも、男と女でいるために、
大人の男の細やかな気遣い。

男のパンツは未来永劫、洗いません。
属するカテゴリーが違いますからね。