先日、愛車セグウェイを華麗に操り、約2ヶ月ぶりに病院に行ってみた。



理由は、7月のあれです。あれの予後のチェック。一部の色好み読者諸氏の期待を裏切って申し訳ないが性的な疾病ではない。

通常なら、2ヶ月後の予約など、喉元過ぎれば、な僕ではあるのだが、今回はさにあらず。なぜなら、僕を主治してくれている医師は『白衣の麗人』、端的にいえば美人女医。

診察券を外来受付の機械に叩き込み予約をコンプリートした僕は、エスカレーターに乗って2階へ。眼科診察室の前に並ぶ椅子に腰を沈めた。

少々時間に余裕があったので、『ニューヨーク・タイムズ(英字版)』の続きでもと鞄に指をかけた刹那、何気なく這わせた視線の先にあった担当医欄のプレートの文字が、僕を驚愕させた

「(あっ・・・せっ、先生の姓が、変ってる・・・)」

恋心 彼方へと去り 天空に瞬く星となる

結婚に限らず、好みの女性が連れ合いを得るということは、いくつになっても、どのような場面であっても物悲しい。この2ヶ月間、とある山深い場所にある祠に引きこもり女食を断ち、ただひたすらにマントラを唱え続ける『ニート荒行』に挑んでいた僕とて例外ではない。

診察室に入る。白衣の背中。立ち尽くす僕。座っていた椅子をくるりと回転させると彼女は2ヶ月前と変わらない微笑を投げかけてきた。

今回の検診で無事放免となった。もう、先生に会うこともないだろう。

踵(きびす)を返し、診察室を後にした僕。背骨に力が入らない。足取りも重たい。

そのあと、愛車セグウェイを都合7度ほど無機物にぶつけながらほうほうの体で河原町にあるいきつけの店にたどり着いた。いつものスツールに腰を下し、ケンタッキー・バーボンで自虐的に喉を灼く僕に、デュークとコルトレーンが優しい音で寄り添ってくれた。



しかしよく考えてみると、この2ヶ月間、先生のことを思い出したことなど一度もなかった・・・。