夏です。お化けの話でもしましょうか。
鶯(うぐいす)が狂いに狂い鳴きしたときより明治の江戸遷都までの1000年ほど、京都はジパングの王都だった。
その遺産、歴史の集積が京都をメジャーな観光スポットたらしめている。年間4500万の人たちが内外から訪れ、地元経済をコチョコチョと愛撫してくれているのはわかるのだが、観光産業に従事していない僕など、正直、シーズンの盛りには観光客の皆さんに向かって声なき声で呪詛の言葉を並べ立てることもしばしばである。
「京極で大音量と共に買い物をする修学旅行生は集団で財布を落として焦れ!」
もう少し三十路のおっさんとして、「間接的な恩恵」なる謙虚な姿勢をかみ締めようと思っている。
しかし、僕と修学旅行生たちとの心の触れ合い、日中の牧歌的なシーンとは別のダーク・フェイスを京都は具備していることを僕たちは知る必要がある。
例えば、僕が学生のときアルバイトをしていた三条のイタメシ屋。
『98%が女性客』なる蠱惑(こわく)的キャッチコピーに乱舞させられ門を蹴破るが如く面接を受け、『バイトをしながらアバンチュール』、そんな限りなく透明に近い無垢な想いに股間を膨らませた初心(うぶ)な僕を、店は客と全く接点のない洗い場に1年間も幽閉してくれた。下積みは思いのほか永かった・・・それだけに解放後の日の光は眩しかった。
別に苦労話を披瀝(ひれき)したいわけではない。僕はバイト先に通う道すがら、常に坂本龍馬、中岡慎太郎が暗殺された近江屋跡に建てられた石碑の前を通っていたし、三条河原の刑場跡しかり、京都はいたるところに負の歴史の爪あとを残す血で染まった1000年魔都である。
ゆえに、僕にとって京都は観光スポットと言うより『心霊スポット』。
後年、どこぞのパーティで知り合った気功を嗜む鍼灸医から、
「キミは、もっとも気功に掛かりにくいタイプの人間やな。五感以外の何かが退化した典型的な現代人」
なる『俗物』の烙印を押された己のシックス・センスをフルに駆使して若き日の僕は、霊的な都市伝説を読み解くべく様々な心霊スポットを訪れ調査した。四つんばいの老婆が追いかけてくる、と噂のトンネルに行ったときなど、車に友人たちを残し、ひとり深夜のトンネルを走ってみたこともあった。
しかしながら、鋭敏なはずの僕の妖怪アンテナには何一つピピンとくるものはなかった。
断っておくが、僕は肝試しどころかホラー映画も一切観ない、生粋の『怖がり』である。じゃあ、なぜこんなことをしたのか?答えは簡単。件のトンネル調査隊の面子では僕が最年少だった。つまり、体のいい『後輩イビリ』に遭ったわけである。
先輩たちのS心を満たすため、今年の夏も全国各地で生贄となる予定の無垢な後輩諸氏の皆さん。どうせ、断れないなら『いいリアクション』を心掛け、アホの先輩たちをお腹いっぱいにして差し上げ、彼らから一等の愛情を盗み取ってやりましょう。
現状の僕はもちろん、『観光スポット』にも『心霊スポット』にも興味はありません。唯一、興味をそそられるものがあるとするなら、それは妙齢の婦女子の皆さんが下半身に等しく具備されている『スポット』のみ。アルファベットで明示するなら、『G』なのでしょうか。
このスポットの謎に、今夏は鋭意取り組んで行こうと考えておりますので、僕の『夏休みの自由研究』に協力してやろうという侠気に溢れる女性の方は、この記事を読み終え次第、隠密、かつ、可及的速やかにメールをかっ飛ばして下さること、お待ち申し上げております。
副隊長 敬白
久しぶりに、最初に書こうと思ったことが何一つ反映されていない記事を書き上げてしまいました。
ここまで読んだのなら一押し