こうして嫌がる彼女を強引に退け、彼女のノートPCを占領する事に成功した僕は、まずは心構えから説教を開始した。

「いいか!言葉に言霊(ことだま)があるようにチャットをする時もキーボードに触れる指先にはでなく想いを込めて言葉を紡ぎだす事を忘れてはダメ!」

彼女は、「また始まった・・・」的な怪訝(けげん)な表情を浮かべていたが、スイッチの入った僕はそんな事はお構いなしにチャットの作法ワン・ツー・スリーを説き続ける。

「そしてチャットも普段の会話と同じようにリズムが大切や!相手の呼吸に合わせて時には速く、時には穏やかにキーボードを打つリズムを意識する事を忘れないように!まあ、簡単に言えば、type like talkingやな♪」



このように、その場の思いつきで適当な事を言っていた僕なのだが、正直、知らない人とチャットをするのは1昨年の正月に全国に散らばる友人たちとskypeで話していたとき以来だから、約1年半ぶり・・・相手もバルト三国に住むリトアニア人少年たちと互いの片言の英語を駆使してショボいコミュニケーションを交わしたのみのほぼド素人である。

・・・勢い・テンションと言うのは怖いものだ・・・。

しかしもっと怖いと言うか驚いたのが、僕が気持ちよ~くホラを吹いている間も全国の男性諸君からの熱烈なチャット依頼がPCの画面上に引っ切りなしにポップアップされてた事だ。

この中には、持て余している時間を埋めるための純粋な気持ちでかりそめの相手を探している男子もいれば、「あわよくば♪」なんて考えていやがる不逞(ふてい)の輩(やから)も紛れ込んでいるいるはずで・・・そんな事に思いを巡らせていると、ふと、いつもよりきつめにキュッとお股を閉じて座っている自分に気がついた♪

人間の心理は面白いものですね☆

こうして、心理的な女性化に成功した僕は恋愛FBI捜査官としてネットに蔓延(はびこ)る巨悪を退治するため、ネカマに扮して潜入捜査を開始したのであった・・・。