僕達は声をかけてきた2人の女子大生に連れられて、彼女達の
主催する模擬店に向かうと、新たに2人の女子大生がテンショ
ン低めにフランクフルトを焼いていた。
僕達はフランクフルトを頬張(ほおば)りながら、
「どうして、こんなに人通りのない場所で店をしてるの?」
と素朴な疑問をぶつけてみると、
・彼女たちは、彼女達のサークルが新興の弱小サークルである事、
・模擬店をやろうと申請した時期がギリギリだったので、こんな辺鄙(へんぴ)な場所しか割り当ててもらえなかった事、
を忌憚(きたん)なく説明してくれた。
さらに聞くと、今日が最終日で、用意したフランクフルトが、あと100本以上残っているそうな。
さすがに僕達が残り100本を買い上げてあげる手持ちもなく、
かつ、食欲もないことを笑いながら話していると、
突然、H君が、
「良かったら、オレらが手伝おうか?」
と普段見せない胡散(うさん)臭い紳士面を顔面に貼り付けて彼女達に提案した。
僕は、「(あっ、このアホ、この中の誰かを気に入りやがったな!)」
と瞬時に悟って、彼女達の顔色をチラ見していると、この提案にまんざらでもない様子。
むしろ、H君を無私の「善意の第三者」、「地獄に仏」のよう
に感じているようなので、友達の『淡い恋心』に乗っかるよう
に僕達は「押しかけ助っ人」となることにした。
僕もW君も、邪(よこしま)な気持ちがない分、純粋に売り子
を楽しみ、人通りのあるところまで出向き、少年合唱団のよう
な爽やかなエンジェル・ボイスでセールス・トークを奏(か
な)でて華麗に在庫を捌(さば)いていったのだが、動機が不
純なH君は空回り気味・・・。
僕たちの献身的な『在庫セール』を尻目に、H君はお気に入り
の娘にへばり付いて店から出ようとせず己を売り込むのに必
死!(戦力外通告)。
申し訳程度に出て来たと思ったら、
「おー!ちょっと、ちょっと、自分!よー食べそうな体型してるやん!自分やったらフランクフルト5本くらいいけるやろ♪」
などと、力士体型の女性を見つけて失礼な売り込みを発射!
だが、これにしても、押し売りの最中に店のほうをチラチラ振り返って、
「どう?僕のトーク、おもしろい?おもしろい?」
とお気に入りの娘の反応が気になって仕方がないご様子。(やはり、戦力外通告)。
そして、この後、僕達はH君の暴走に苦しめられながらも、何とか在庫の処分を完了した。
もちろん、彼女達は目一杯の賛辞を僕達に送ってくれた。
さあ、そこで重要になってくるのは彼女達の無垢(むく)な感
謝の念をH君の邪心、いや、恋心にどうリンクさせていくかと
言うことなのであるが・・・。
つづく