大学のオープンキャンパスで、模擬授業を担当しました。内容は、「食べ放題店が、大喰い客ばかりでも儲かる理由」というもので、大学の授業(正式には講義と呼ぶ)と高校の授業の違いについて、理解してもらえるように、頑張りました。加えて、高校生に「大学の授業って面白そう」と思ってもらえるように、頑張りました。私の独断と偏見も混じっていますが(笑)。以下、発言要旨です。

 

高校時代の授業は、知識を増やすことが主でしょう。教科書に書いてあること、先生が黒板に書いたこと、などを覚えて、期末試験で良い点数をとれるように頑張る事が、高校生にとっての勉強の中心でしょう。それによって、高校生は多くの知識を身に着ける事が出来るわけです。

 

大学でも、多くの知識を学びますが、大学では、知識を増やすことよりも、自分で考える力をつける訓練が大切です。「どうしてだろう?」と疑問を持って、色々と調べたり考えたりして自分なりの考えをまとめ、期末試験の答案やレポートに書くのです。

 

今日のテーマは、「食べ放題店が、大喰い客ばかりでも儲かる理由」です。チョッと考えると、食べ放題の店に来るのは大喰い客ばかりで、少食の人は来ないので、食べ放題の店は赤字になってしまうような気がしませんか?そうした疑問を持つことが大切なのですが、なかなか自分で疑問を持つことは難しいので、今日は先生の方で疑問を見つけておきました。

 

大学生には、自分で考えたり調べたりして自分なりの答えを出して欲しいのですが、今日は先生の方で答えも用意しました。答えを聞きながら、「大学の授業って、面白そう」と思ってもらえれば嬉しいです。

 

考えるべき事は、会社の利益って、どうやって決まるのだろう、という事ですね。お客から受け取った代金が収入で、そこから材料を仕入れたり店を借りる家賃を払ったりして、残りが利益ですね。では、普通の店と、食べ放題の店は、収入はどちらが多いですか?食べ放題の店は、「1人が3人分食べて2人分の代金を払う」というイメージでしょうね。しかも、食べ放題の店は人気があるので、大勢の客が来ます。したがって、店の収入は、食べ放題の店の方が大きいですね。

 

では、支出はどうでしょう?店を借りる家賃は、普通の店でも食べ放題の店でも、同じですね。コックさんの給料も、同じですね。違うのは、材料費だけですね。じつは、レストランの値段と比べて、材料費はかなり安いのです。具体的な数字を出して、考えてみましょう・・・中略・・・

 

今一つ考えるべき事があります。ビュッフェ式のレストランってわかりますか?大きな皿に料理が大量に乗っていて、客が食べたいだけ取って食べる店です。あれは、店にとって素晴らしい仕組みなのです。客席まで料理を運ぶ人が要らないから?それもありますが、もっと大事なのは、コックさんが一度に大量の料理を作れる事なのです。20人分の料理を作る手間は、1人分の料理を作る手間の20倍かかるわけではありませんからね。

 

今一つ大事なのは、客が注文する前からコックさんが料理を作れる事なのです。普通のレストランでは、コックさんが忙しいのは昼食と夕食の時間だけですが、ビュッフェの店では、コックさんが朝から忙しく仕事が出来るのです。同じ給料だったら、コックさんに一日中働いてもらった方が得ですよね。

 

どうでしたか?最初に「どうしてだろう?」と考えた事が、謎解きできましたか?大学では、このように、「どうしてだろう?」と思う事から始まって、調べたり考えたりして、謎が解ける楽しさを味わってもらえます。もちろん、最初は大変でしょうから、今日のように先生が疑問を見つけてくれたり、答えも用意してくれたりしますので、安心してください。

 

だんだん、自分で謎解きが出来るようになったり、自分で疑問を持てるようになって来たら、楽しいですよ。皆さんと一緒に謎解きを楽しめる日が来ることを、私たちも楽しみにしています。

おしまい。