ある日、知り合いと原始人の家に遊びに行ったときのこと。
しばらく話していると、彼がふと立ち上がった。
「ちょっとシャワー浴びてきますね。」
ああ、なるほど。
家のどこかにシャワーがあるのかな、と思った。
でも違った。
彼は服を脱ぎ、
そのまま外へ向かう。
そして川へ。
迷いのない全裸ダイブ。
どうやら、ここまでが“すすぎ”らしい。
ひと泳ぎして戻ってくると、
今度は家の横にある溜め水のところへ。
そこには、小魚やザリガニが泳いでいる。
その水を使って、石鹸で体を洗う。
いわば天然の洗い場だ。
文明のシャワーは
お湯が出て、
泡を流して、
終わり。
でも原始人のシャワーは少し違う。
まず川でひと泳ぎ。
そのあと石鹸。
そして溜め水で流す。
足元では、小魚やザリガニが行き来している。
普通なら少し落ち着かない気もするけれど、
彼はまったく気にしていない。
むしろ自然の一部として受け入れているようだった。
それでも不思議なことに、
彼から嫌な匂いを感じたことはない。
石鹸を使っているからか、
川の水がきれいなのか。
理由はわからない。
ただ一つ言えるのは、
私にはまだそのシャワーに参加する勇気はないということだ。
でも彼は、
今日もきっと普通の顔で言う。
「ちょっとシャワー浴びてきます。」
その言葉の意味が、
少しだけ普通と違うだけで。