序章
4月5日。
僕は死んだ。
「好きな女に振られた」
こんな単純な理由で自分の命を断つなんて、いかがなものか。
どうしようもない苦しみ。ズタズタに引き裂かれたプライド。
行く宛てもなく、夜道をさまよって。
僕は死んだ。
生きる気力もなく、夜も眠れず。
あんなに真剣に取り組んでいた仕事はどうでもよくなって。
涙なんて本当に悲しい時は出ないんだ。
男はいつだって堪える生き物だから。
でも心はぬれたままだよ。
僕は死んだ。
死んだんだ。ぜんぶ終わりにしたかったから。
死ぬんだ。
死ぬんだ。
死ぬんだ。
そうすれば、あの子が振り返ってくれるかな。
僕の事で後悔してくれるかな。僕の事で泣いてくれるかな。僕を思ってくれるかな。
そして…
終りのない闇の中へ。
僕は足を踏み入れた。
