「はい、これどうぞ。」
明日、ヨンジェさんのところへ謝罪に行くというジミンさん。
前夜に当たる今、緊張してしょうがないといって落ち着かない彼をホビはユンギさん、テヒョンさんを伴って我が家に連れてきた。
私はそんなジミンさんに、ヨンジェさんに渡して欲しいと焼いたクッキーと、小さな花束を渡した。
仲を取り持つつもりでいた私。
……空の上のヨンジェさん。
私、お節介だよね?
「……いのりさん、さっきからここ、すごいよ?」
キッチンに立ちながら、あれこれ考えていたところに、現れたテヒョンさん。
眉間に人差し指が向けられた。
「……何?
ホビヒョンに言えない悩み?
……なんなら、僕が聞きますよ?」
「ハハっ違う違う……大丈夫。
そうだ。
テヒョンさん、ジミンさんの親友でしょ?」
「お?……そうですよ?」
「……どう思います?
ジミンさんとヨンジェさん」
私は小声で尋ねた。
「……あー、んー、
……わかりません……」
「お?」
「……ホント、分からないんです。そういった話は僕にはしてくれなくて。
きっと、すぐに顔に出てしまうし、わかりやすいから。僕。」
2人で、子供と戯れているホビやユンギさん、ジミンさんを眺めた。
「いのりさんは?
ヨンジェさんとジミナが仲良くなるのはイヤですか?」
私はテヒョンさんにワインを差し出して、私はコーヒーを手に取った。
そうしながら、首を横に振る。
「……ヨンジェさんが幸せなら、それでいいと思う。
ただね、ヨンジェさん……」
彼女が言う、『迷惑を掛ける』『一人でも生きていける』その言葉の奥に何かある気がしていた。そう思いながら視線の先、ユンギさんを捉える。
「ん?
ユンギヒョン?……あぁ、ヒョンとヨンジェさんは無いな。」
視線の先を見て、テヒョンさんが言う。
いつだったか、ホビにも言われた。二人はそういった関係ではなくて、同志のような関係だって。
ユンギさんにも好きな人がいるとも。
「二人は、子供のころからの付き合いとか?」
私はぼそっと呟く。
「……ヒョンと、もう一人。親友がいて、その人と二人で最初は目の見えないヨンジェさんをいじめていたって聞いたよ。」
「は?」
私の反応を見て、テヒョンさんは笑い出した。
「友達になるきっかけって、それぞれあるけれど。
一番最悪な関係から、3人は友達になれたんだってさ。
それこそ、3人をつなげてくれたのは『音楽』だったって。」