雨の日はいつも落ちる。


そう決まっている。


蝋梅の香りは産まれてすぐに亡くなった双子を想わせる。


あんなに優しい香りと朗らかな見た目なのに、


わたしにとっては生ぬるく重たい。


それはきっとつわりの時に嗅いでいたから


記憶に伴っての、、ということなのだと思う。


年月を経て、思いを馳せても


何も変わらない日常に


嫌気が差すことも少なくなった。



人の優しさに甘えられることも


自分を許せることも多くなった


でも、同時に人の冷たさや


抗えない運命があることも知った。


でもわたしはまだ、あの中にいたいと今でも思う


ずっと、双子といたかった


妊娠は人生の中で初めての希望だった


私の存在を強く肯定するものだった


亡くなった今、私の存在を肯定するものは


なんて考えるけれど


生きている意味はもう双子からもらった。


何もない私にレールを敷いて


嵐のように去っていった双子たちだった。


雨の日も、わたしは一人じゃなくなった。