むかし



私が小学生低学年の頃

父が事業に失敗して

とても貧しい時がありました


雨の日になると

古い傘をさして学校に行くのが

いつも嫌でたまりませんでした


他のお友達と同じような

赤い傘がさしたくて

たまりませんでした


そんな私をみかねて

母が可愛い赤い傘を

買ってくれました



とても嬉しくて

寝る時もそばに置いて

そっと触りながら寝たのを

覚えています



ところがある日

雨の日に銭湯に行った時

帰りに私の可愛い傘を

誰かに持っていかれてしまいました



残った傘は

以前の私の傘より

ボロボロの傘でした



とても悲しかったのを

今でも

はっきり覚えています



それ以来

傘は私にとって特別なものになりました



何十年も経って

娘が成人した時に

とても素敵な傘をプレゼントしました



青い傘の骨の先に

可愛い1センチくらいの

雫の形のビーズが

ついていました


シンプルだけど

可愛い❤️



見たことがない傘でした

今もそういう傘

見たことがありません



雨の日にさすと

ビーズから雨がポトンポトンポトンと

可愛い雫のように落ちて

とってもおしゃれでした



その頃

洋服のデザインを勉強している娘に

ぴったりなお洒落な傘でした



ところが

娘がカフェに入る時に

お店の外の傘おきにさしておいたのを

誰かに持っていかれてしまったのです



娘も私の小さかった時と

同じように

とてもがっかりして

帰ってきました



そんな悲しい思い出があって

それからは

どんな素敵な傘も

欲しいとは思わなくなっていました



それからまた20年以上経って



朝ストレッチを一緒にやっている

私より10歳年上の先輩の方が

とても素敵なグリーンの傘を

さして公園に来られました



その傘は

内側に墨絵のような絵が

描かれていて

お手製のものでした


私があまりにも褒めるので



その方は

もう一本描いてあるのでと

もう一本の傘を

プレゼントしてくださいました



それが

赤い傘なんです

(うちの猫ちゃんは傘大好き 干してるとすぐ入って来ます)



私にはもう傘は縁がないと思って

いつもコンビニのビニールの傘を

さしていました



それが

70歳を過ぎて

真っ赤な傘をいただきましたラブ



それも

内側に素敵な絵が描かれて

とってもお洒落な傘ですラブ



ちょっとさすのが恥ずかしいと

思いましたがラブ



今ではすっかり慣れて



雨の日は

少しおしゃれをして

赤い傘をさしてウキウキと

出かけるようになりました



この傘が

私の最後の傘になると思って

大切に使わせていただいています