あの頃から頑張っておけばよかった、という発想から自由になることは必要なことであるが、非常に難しい。明日から頑張る、という発想から自由になることはもっと必要なことであるが、さらに難しい。

 

 あの頃は絶対に戻ってこない、現在と断絶された明日もまた、絶対に来ない。

 

 これまでの期間、本当に何もしてこなかった人というのは非常に少ない。その分、今まで何かをしてきたのに何をしてきたかを正確には知らない人は非常に多い。過去に計画性がなかったのならなおさらであり、ログとして記録されていない。何が欠けているかも即座には分からないのだ。であれば、意識しすぎる必要はない。

 今目の前にあることを淡々とすればよい。

 直前期に計画表を書き始めてももう遅い。そんな時間はないし、時間不足の真実がやる気をそぐ。そうすると、必ずあの頃から頑張っておけばよかった、という後悔にとらわれる。そして、その後悔から逃げるために、必ずこう思うのだ。明日から頑張ればいいや。

 あの頃から頑張っておけばよかった、という発想と、明日から頑張る、という発想は現在を否定しているという意味では全く同罪である。

 理想の過去は永遠に戻ってこないし、理想の明日は永遠に来ない。手の中にあるのは現在だけだ。

 現在だけを大事にすればいい。

 もちろん、それは結構難しいことなのだから、出来るようになったら自分を褒めてあげて欲しい。

 昨日は入学試験、特に(センター試験直前の)大学受験生に向けて書きましたが、他の資格試験についても全く同じことが言えると考えています。
 医師や歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など医療系の国家試験を目指している人達も試験は2月ですから、既に直前期です。司法試験など、法律系の国家試験までにはまだもう少し間がありますが、習得すべき内容の膨大さを考えれば、これもまた直前期と表現し得るでしょう。
 仕事(実務)についても、仕事を遂行するための知識、スキルというツールを手に入れる(1A)、その仕事の目的が何かを理解して(2A)、適切なツールを適切に使うこと(1B)で、仕事の目的をかなえる(2B)ことが必要です。同じステップを踏むことが資格試験の必要性を裏付けてもいます。さらに、仕事においては、仕事の目的は経営が成立することにも繋げなければなりません。

 

 ところで、元旦朝のワイドショー特別番組では、小学校へのプログラミングを学ぶことが必修化されることが話題になっていました。これは上記の四ステップを体に叩き込むためにはかなり有効な方法だと思います。とはいえ、プログラム言語は少なくともインターフェイスにおいては10年も経てば激変するものなので、プログラミングを学ぶことを特定のプログラム言語を学ぶことに直結させることは出来ません。そのため、これは論理的思考を促しつつ、他にも応用しうる学び方を獲得する手段として導入されるものであって、特定のプログラム言語を習得することを目的にする意図はないと思われます。
 算数・数学が不得意な人に、もう一つ不得意科目を増やすだけの結果にならないよう、しっかりサポートして欲しいと思いますが、現在の先生方にそれは可能でしょうか?少し不安を感じます。

 大学入試を目指している人達は半月後にセンター試験、そこからまもなく個別試験となります。既に最後の追い込みに入っていることでしょう。

 時期が時期なのでひとこと述べておこうと思います。本来、試験対策も企業経営も、計画的にことを進めることが原則です。しかし、計画的にことを進められなかった、もしくは、計画そのものが明確なものとして存在していなかった、ということもあり得ます。その状態で成功してしまった人達も少なからずいます。大変残念なことに、少なくとも途中までは計画通りものごとが進んだのに、結果だけが出ないことだってあります。

 試験に合格するためには、(1A)ツール(知識、スキルなど)をそろえること、(1B)ツールの使い分けに習熟すること、(2A)問われていること(目的)を理解すること、(2B)解答を表現すること、の全てに通暁することが必要です。普通の学生にとっては1Bが最も克服しにくいヤマになります。

 世の中には年内に過去問を解いていないと受からない、とか、何とか先生の何とかという参考書を読んでいないと受からない、など、何か決められた過程を経ないと合格できないと思い込んでいる人がたくさんいますが、実は決められた過程を経ずに合格してしまう人も少数ながらいます。決められた過程を経ないで合格するとインチキ呼ばわりする人もいます。もちろん、カンニングや漏洩問題利用などの不正行為のことを言っているのではありません。

 ドラえもんの道具を例に、のび太が寝坊して8:15分に起床、始業が8:20である小学校に遅刻せずに登校する場合を考えてみましょう。着替えに2分を要すると仮定すると、自室から学校まで3分で行く必要があります(ちなみに歩くと10分かかるとします)。
 このとき、のび太はタケコプターやどこでもドアやタイムマシンをドラえもんから借りることが出来ます(1A)。目的は8:20までに学校に行くことです(2A)。そのためにタケコプターで3分で空を飛ぶ、どこでもドアで一瞬で教室に入る、タイムマシンで時間を7分戻して10分かけて歩くこと、などが可能です(1B)。そうすれば8:20までに学校に行くことが出来ます(2B)。そしてこの行為はどの道具を使っても明らかなインチキですから、先生には怒られ、級友にはなじられるかも知れません。しかし、目的はかなえています(そして、彼の世界では犯罪でもありません)。

 今まで計画を立てて、それを守りながらここまで進んできた人達には賞賛の言葉以外に言うことは何もありません。それ以外の方に対しては一言申し上げておきたい。

 最初は、今年はムリだという、他人からと自分自身から両方の雑音には絶対に耳を貸すなということです。決められた過程を経ると合格しやすいかも知れませんが、経ていない人が誰も合格しないわけではない。日本人の唾棄すべき特性として、無能な人間ほどマウンティングしたがる、というのがあると思います。ライバルを蹴落とすためはともかく、その必要すらない立場なのに、単にマウンティングしたいという欲望だけで、教したり顔で説教を始める先輩方が多すぎます。そんな輩に人生をかき回されてはなりません。

 二番目は今手元にあるツールを至急確認して欲しいということです。その際、どのツールを持っていないか(1A)を血眼になって探すより、持っている積もりなのにその中の何を使いこなせていないか(1B)を確認して欲しいと思います。高校なり大学なりで何年も学んでいると、持っていないツールはほとんどありません。この期に及んで過去問に手が出ない場合に限り、ですが、手元に薄い分野別問題集はないですか?(昔は旺文社が大量に出していました。今は同社の「全レベル問題集」がそれに近い印象があります。deep learningの勉強をかねて実は数学だけ買いました)もし、学校や塾で買わされたものがある、気の迷いで買ったけど放ってあるものがあるのなら、ラッキーです。それを一気に解いてみてください。解ける問題は無視して引っかかった問題だけ抽出すれば、使いこなせていないツールが何かが分かります。その問題だけもう一回繰り返し確実に解けるようにしておきましょう。センター試験の過去問ならこの段階でスッと解けるはずです。