老人ホームに勤めていた頃。。。
新しい入所者Aさんをみて、ちょっとびっくりした。
その人は若々しく、50代半ばだった。
ピック病という、若年性認知症で、
当時の特例で、老人ホームに入所した。
やがて、敬老の日。
僕ら職員は、お楽しみ会で、寸劇をした。
※画像は借り物です
エキストラで、Aさんも参加していた。
舞台にあがると、おもむろに、履いていた靴をくわえて、歩き回るAさん。
家族も職員も、Aさんを指さし、腹を抱えて、笑っていた。
うわっどうしよう。
でも誰も、止める職員はいない。
先輩に尋ねる。
Aさん、そのままでいいんですか。まずくないですか?
先輩『ああ、職員の※カタルシスも大切だからね。』
※カタルシス 心の中に溜まってしまったネガティブな感情を開放(解放)することで、心に存在する重苦しい嫌な気分が浄化されることを意味します。
意味がわからなかった。
もし、自分の家族が、認知症になって、舞台で靴をくわえて、指を刺され、笑われていたら。。。。
エスパー伊藤さんが、亡くなったそうで。
まだ63歳。
老人ホームで生活されていたそうだ。
多分50代から、老人ホームに入所されていたんだろう。
僕はAさんを思い出す。
あれから、四半世紀経つが、
日本の福祉は、日本人は、
少しは、変わったのだろうか?
それとも、僕もみんなと一緒に、Aさんを指さして、笑えばよかったのか。