天災バカボン?① | 研伸館 中村公昭のブログ 「国語を勉強しよう!」

天災バカボン?①

みなさんこんにちは。研伸館の中村です。『天才バカボン』の実写版が批判の対象になっているようです。

「不謹慎だ!」実写版「天才バカボン」が視聴者から批判された理由
アサ芸プラス 2016年3月15日 17時59分 (2016年3月16日 00時31分 更新)

 3月11日に放送されたテレビドラマ「天才バカボン~家族の絆」(日本テレビ系)の視聴率が12.2%だったことがわかった。同ドラマは故・赤塚不二夫のギャグマンガ「天才バカボン」の実写化作品として注目を集めた。
「バカボンのパパ役を『くりぃむしちゅー』上田晋也、バカボン役を『おかずクラブ』オカリナが務めるなどキャストの話題性もあり、視聴率はまずまずだった。しかし、日テレによる昭和漫画の実写化といえば、昨年の『ど根性ガエル』がありますが、その作品も初回13.1%を記録したものの、以降は6%台まで下落。そのため今後、『バカボン』が連ドラ化されたとしても、物珍しさで集まった初回視聴者を逃してしまう可能性があります」(テレビ誌記者)
 内容に関しては「上田の演技がキツイ」「意外とおもしろかった」などと賛否が分かれ、他にもバカボンの弟・ハジメちゃんを演じた子役の早坂ひららの演技が凄いと、ネットでは放送後も話題になっている。
 だが、そんな視聴者の声の中には、ドラマの内容以上に放送日に対する批判が殺到しているという。
「『バカボン』の放送された日が、東日本大震災が起きた3月11日だったため、『天才バカボン』というタイトルが“天災”を思わせると、一部の視聴者が激怒したのです。内容には問題がなかったものの、ネットでは、『なぜよりによってこの日なんだ?』『不謹慎だろう』という声が飛び交いました」(前出・テレビ誌記者)
 またこの日は「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に出演した「オリエンタルラジオ」による音楽ユニット「RADIO FISH」が“天災”という歌詞を急遽“天才”と書き換えて歌ったことで、被災者への配慮が注目された。
 サブタイトルに「家族の絆」と入れてあることから、日テレがあえてこの日を選んだ可能性は高そうだが、視聴者がこれほど過敏な反応をしてくることは読めなかったようだ。
(森嶋時生)


漫画やアニメの実写化が進んでいるようです。CG技術の発展が寄与していますね。『ど根性ガエル』の平面ガエルも実写化に成功したらしいですね。少し前にドラマになりました。すごいですね。

今回は『天才バカボン』でしたか。日本を代表するギャグ漫画、あるいはギャグアニメです。いいものですね。ただ、過去の名作をリメイクする。それはいいのだけれど、新しい傑作が出て来にくくなっている。そんな気がしてきます。新しいアイディアがないから、過去のアイディアに頼っている。この点は後で言及します。

さておき、記事からすると、「内容」に問題はなかった。批判の的になっているのが「放映日」。3月11日。「天才」と「天災」が重なるか。「家族の絆」とサブタイトルを入れたのだが、多くの視聴者はそんなところまで注意して観ていない。「やってしまったな、日テレ。」これは下手に言い訳しない方がいいでしょう。

日本人に限ったことではないのですが、人は「同音異義語」を同一視するところがある。合理的客観的な科学的思考にどっぷりとはまっている人ならば、「なんだ、タダのこじつけじゃないか!」と一笑に付すのでしょうが、普通の人間はそうではない。特に「3.11」が悪すぎた。日本人の誰もの心の奥に刻み込まれた数字。笑い飛ばせない人があまりにも多すぎる。

日本人に限ったことではないと書きましたが、特に日本人には際立ったところがある。「言霊《ことだま》信仰」と云います。「不吉な言葉」と「現実」とがリンクすると考える。中村の授業を受けたことがあるみなさんならば、お馴染みのフレーズですね。消極的(マイナスイメージ)な言葉を口にすると、現実がそれに追随《ついずい》して不幸になる。だから、不謹慎な発言を殊更嫌がる。

例えば、生まれてきたばかりの赤ちゃんの親の前で、「誕生は死への第一歩だ!」と言う。

例えば、結婚式のスピーチで、「日本のカップルの3分の1は離婚している!」と言う。

例えば、過酷な闘病生活を終えた老人に、「ガン細胞は毎日誕生している!」と言う。

最悪でしょ。どれだけ真実だとしても、「不吉なこと」は言ってはいけない。これが日本人のcommonsense(共通感覚)になっている。

「天才」と「天災」。これはダメだったね。どれだけ「家族の絆」を想起させるストーリーでも。現実主義者の中村は何も思わないけれど、気分の悪い人もたくさん居たでしょうね。

長くなりそうなので、続きは明日。


研伸館 中村公昭