今までメタルバンドを見てきて大御所といえどもハマってきた事があり、BABYMETALはその事に対し超越していると思う事について話したいと思います。

Metallicaは言わずとしれたメタル界の帝王ですが、96年に"Load"という今までとは違うブルース/カントリーを含む音楽性を持ったアルバムを出します。
これがかなりの批判を巻き起こし「こんなのMetallicaじゃねー」という批判にさらされます。当時は一つ前にリリースしたブラックアルバムのリード曲であるEnter Sandmanがヒットしメインストリームへの足がかりになったもののメタル界のサブジャンルであるスラッシュ・メタルの覇者という状態でした。
これからメインストリームにフォーカスし、今まで培ったスラッシュ・メタルは捨てるんだ!と思っていたかは定かでは無いですが、帝王Metallicaを持ってしてもマーケットの批判に打ち勝つことは出来ずスラッシュ路線に戻っていきます。

ここで考えてみたいのですが、市場はMetallica = スラッシュ・メタル というレッテルを貼っています。メンバー達は新しい音楽に移行したい、でも売れないから仕方なく(?)市場がイイと思う曲を作っている。これが今のMetallicaだと思います。
でもメンバー達が最高だと思っていないものを聞いて、私達は素晴らしいと思えるでしょうか?これがレッテルの悪弊だと思います。

メタル界で起きたレッテルの悪弊としては
Slayer : South of Heaven で「こんなテンポの遅い曲はSlayerじゃねー」
Judas Priest : Turbo で「メタルにシンセ入れるなんてPriestじゃねー」
ロブ・ハルフォード : 若者たちと92年に組んだFightで「こんなのメタルじゃねー」
など、むしろレッテルの悪弊を逃れられたバンドは居ないんじゃないかぐらいにレッテルを貼られ抜け出せずに苦しんでいるバンドが多数居ます。それなりに売れていると新しい事にチャレンジできない。これは特にアメリカでは散見される事じゃないかと思います。

ここでBABYMETALに貼られているレッテルについて考えてみますと、BABYMETAL = 若い女性(SU-METAL)が歌ってその周りで若い女性(=MOAMETAL, YUIMETAL, アベンジャーズ)がダンスをしてメタル風アレンジの曲をやっているグループ というレッテルで認識されているように思います。
これは当時その陣地に他に誰も居なかった、いわいるブルーオーシャンだったから広い陣地を取れた、という事と最初から幅広い音楽ジャンルの良曲を持っていた事が要因ではないかと思います。

BABYMETALが持つ優位性は、幅広い音楽ジャンルの良曲があるのでライブ中に飽きる / 中だるみする事が無いと言うこと (似たような曲をずっと聞いてたら飽きますよね)、そしてこれからMetal Galaxyというアルバムを引っさげてもっと広い陣地を取りに行ったとしても文句を言われずに取りに行けるぞ!という事だ思っています。


- そもそもBABYMETALはこうじゃないといけないっていう存在ではないですもんね。なんでもできるっていう。
SU-METAL 「なんでもオッケー!」みたいな(笑)。あはは!
(PMC vol.13, 2019年4月)