ドアが閉まる音が、静かに病室に響いた。
足音はすぐに遠ざかり、残されたのは白い蛍光灯の下で眠る私と、椅子に崩れ落ちるように戻ってきた実弥だけだった。

彼は私の手を掴み、額を押しつける。
震える声が低く漏れる。

「……ごめん、ごめん、ごめんな……俺がちゃんと見てりゃ……」

涙が頬を伝い、大粒の雫がシーツに落ちていく。
その熱い滴が肌に触れた感覚で、私はゆっくりと瞼を開けた。

視界に映るのは、涙で濡れた実弥の横顔。
掠れた声で呼びかける。

「……実弥……私が悪いから……ごめん……」

力を振り絞って手を伸ばし、彼の頬を撫でる。
熱と震えが指先に伝わり、胸の奥が締めつけられる。

次の瞬間、実弥は堰を切ったように私を抱きしめた。

「……でも、俺は……」

声が震え、背中を包む腕に力がこもる。
私はその背に手を回し、静かに撫で返した。

病室の灯りは白く、消毒液の匂いがかすかに漂っている。
互いの涙と体温だけが確かなもので、言葉よりも深く心を交わす夜。

けれど、義勇の低い声はまだ胸の奥に残っていた。

「……そんなんじゃ、俺は遠慮しない」

その余韻だけが、眠りの中にも静かに刺さり続けていた。