元アイドルの女性が「直腸膣ろう」になったというニュースを読み、私も同じ病気を経験したので、記録として書いておこうと思います。
直腸膣ろうとは、腸と膣のあいだに瘻孔(通り道)ができてしまい、膣から便やガスが出てきてしまう病気です。その方は出産が原因とのことでしたが(多くは出産がきっかけだそうです)、私の場合は腸の炎症が原因でした。
私は10年ほど前、子宮の病気で子宮全摘術を受けています。その後は、年に一度、手術を受けた病院で定期健診を続けていました。特に問題もなく過ごしていたのですが、2年ほど前から、下着に黒っぽい血のようなものが付くようになりました。
更年期の女性には不正出血もよくあると聞いていたので、最初はあまり気にしていませんでした。ですが、座っていても歩いていても、突然おならのような音が膣から出ることが度々あり、これには本当に困りました。
当時、私は大学の図書館で働いていて、静かな環境だったため、周囲に気づかれないかと毎日ひやひやしていました。なるべく返本作業で歩き回り、人のいない場所へ移動するようにしていました(笑)。
最初は時々だった音が、次第に毎日のように出るようになり、さすがにおかしいと思って近所の婦人科クリニックを受診しました。しかし診察では「骨盤まわりの筋力が落ちているだけ。あなたの年代ではよくあること」と言われました。
確かにそれは理解できましたが、音の頻度があまりにも多かったので相談したのですが。膣内の菌検査で「膣内環境がかなり悪い」と言われ、薬を処方されて定期的に通うことになりました。
その頃から、生理痛のような下腹部痛が出るようになり、痛みがある時に、便のような色のおりものが出るようになりました。この時はまだ「おりもの」だと思っていました。
診察の際に、「便のように見えるのですが、違いますか?」と聞いてみましたが、「違うでしょう。古い血が便のような色に見えることもありますよ」と言われました。
それでも症状は改善せず、相変わらず便のようなものが出ることを伝えると、「ここでは詳しい検査ができないから、紹介状を書くから定期健診で通っている病院で検査してもらったら?」と勧められました。やはりきちんと検査してもらいたいと思い、そうすることにしました。
予約を取って病院を受診し、これまでの経緯と症状を説明しました。診てくれたのは、ベテランと思われる女医さんでした。
その先生は、「便が膣から出る直腸膣ろうという病気はあるけど、ものすごく稀だし、絶対にないと思う。今診察したけど、穴が開いているようには見えない」と言いました。
「あ、またか」と思いながらも、「一応、検査はできませんか?」と聞くと、「検査をするとなると、かなり大がかりになる。入院して1週間は絶食で点滴で…」と説明されました。
その言い方から「もう検査する必要はない」という雰囲気を強く感じてしまい、「あ、じゃあいいです」と言ってしまいました。膣内環境を良くする薬だけもらって帰宅しました。
それからも症状は変わらず、むしろ頻度はどんどん増えていきました。そして、年に一度の定期健診の時期になり、再び病院を受診しました。
今回診てくれたのは、まだ20代と思われる若い先生でした。
「検診とは別に、膣から便のようなものが出るということで、以前一度受診されていますよね。その後、どうですか?」と声をかけてくれました。
症状が続いていること、むしろ悪化していることを伝え、以前に出た“便のようなもの”の写真も見せました。
すると先生は、
「…これは、便に見えますね。一度CTを撮ってみましょう」
と言いました。
「え?CTでわかるんですか?」と聞くと、
「詳細まではわからないかもしれないけど、腸と膣がつながっているかどうかは確認できると思います」
その瞬間、驚きと同時に、なぜかすごく嬉しくなりました。ずっと「違う」と否定され続けてきたので、初めてちゃんと話を聞いてもらえた気がしたのです。
検査当日、造影剤を使ったCTを撮りました。普段のCTよりも、はっきり映るそうです。
その日の夕方、病院から電話がありました。
「やはり腸と膣がつながっていました。直腸膣ろうですね。あと、膀胱とも癒着しているように見えるので、追加で検査をしましょう」
膀胱も?と少し不安になりましたが、それ以上に、長年抱えていた原因がはっきりしたことが嬉しくて、気持ちはとても晴れていました。
その後の検査で膀胱は問題ないことがわかり、入院期間は1か月でした。
手術前に高カロリー点滴で2週間絶食 → 大腸検査 → 手術、という流れでした。
おそらく、あの女医さんが言っていた「大がかりな検査」とは、この術前の流れのことだったのだと思います。
私の場合は、腸の憩室が炎症を起こし、子宮摘出後の膣断端とくっついてしまい、そこに穴が開いて通り道ができたとのことでした。憩室のある部分を切除したため腸は少し短くなりましたが、術後はまったく問題なく生活できています。あのおならのような症状も、完全になくなりました。
今回のことで、「何かおかしい」と感じた時には、遠慮せず、食い下がってでも伝えることが本当に大事だと感じました。
私はたまたま若い先生に出会えたから診断にたどり着けましたが、もし定期健診でも同じ女医さんだったら、今も原因がわからないままだったかもしれません。
本当に、いい勉強になりました。