カーボベルデ2 - 旅先での3回目の誕生日 | 旅人日記

カーボベルデ2 - 旅先での3回目の誕生日

CaboVerde2-1 引き続きカーボベルデにて。
期待通りに、しょぼさ満点の国で三人ともいたって満足しているところだ。
年がら年中眠りこけているかのような、ぼーっとした町にのほほんとした人々。
このひたすらのどかな雰囲気がとても心地よい。

本日はタカハシさんと一緒に島の奥の方を覗きに行って見ることにする。
相変わらず体調不良のメグミちゃんは今日は一日宿で休養を取ることになった。
「二人が戻って来るまでにラスボス倒して見せますよ」と、勇ましくドラクエ5の世界へと旅立って行った。

まずはミニバスで島の中央にあるアソマダの町を目指す。
道はほとんどの区間がまともに舗装されていて、トヨタハイエースの中の狭い席でもそれほど苦にならない移動だ。
途中の景色は荒れ果てたこげ茶色の地に潅木がちらほらあるだけ。
火山島だけあって島全体は起伏が激しく、この島の最高のピコ・ド・サント・アントニオ(1394メートル)の峻峰を横目に眺めながら峠を越え、山間の小さな町アソマダに到着。

本日の目的地は島の北岸にあるタラファルのビーチなのだが、ここアソマダには樹齢500年という巨木があるというので、通りすがりのついでに立ち寄ることにしたのだ。
町外れから深い谷底に降りた場所にその木はあった。
熱帯性高木のパンヤノキ(silk cotton tree)で、樹齢500年というだけあってさすがにデカイ。
ま、単にデカイというだけで、それ以上でもそれ以下でもない木である。
季節によっては綺麗な花でもつけるのだろうか。

CaboVerde2-2 この巨木がある谷ではサトウキビの栽培が行われており、牛を利用した素朴な圧搾機を使って男たちが交代でサトウキビ搾りの作業を続けていた。
しばらく作業を眺めさせてもらっていたが、ぼちぼちアソマダの町に戻ろうとする頃に、ちょうど通りがかったトラックがあって荷台に乗せてもらうことができた。
小一時間かけて降った谷なので、歩いて戻るのは少々辛そうだったところ。
汗だくになることもなく、楽々上まで戻ることができたので非常に助かった。

お次はまたミニバスに乗って北のタラファルの町を目指す。
アソマダから先の道はアスファルトの舗装道路ではなく、数十キロにわたって延々石畳の道が続いていた。
ヨーロッパの町で見かける年代物の石畳と違って比較的新しいもののようだったが、これだけの距離に石を敷き詰めるくらいならアスファルトの方がずっと楽にできたんじゃなかろうか。
何か石畳でなければならない理由でもあるのだろうか、ちょっと謎だ。

CaboVerde2-3 タラファルには小さな教会と小さなビーチがあるだけで、期待以上にしょぼい場所だった。
市場近くで売られていたぶっかけ飯で腹ごなしをした後、ビーチにビールを持ち込んで一杯ひっかける。
椰子の木陰で四人の白人女性がビキニ姿で日光浴をしていた。
近づいてお友だちにでもなろうかともちょっと思ったが、よくよく見たら「あれは近づかずに遠目から後姿を眺めているだけの方がよさそうだ」ということで二人の意見が一致した。
二人とも女性の好みについてはそううるさい方ではないはずだが、この場に限って満場一致で不採用案可決。

プライヤまでの帰り道は、来た時の山間のルートとは別の、海沿いの道を通ることになった。
その途中では谷間一面に広がるバナナ園や風車で水を汲み上げる井戸などを車窓から眺めることができた。

宿に戻ると、メグミちゃんの体調はだいぶ回復しているようであった。
「お帰りなさい。ビーチはどうでした?」と聞く彼女。
「いやぁ、かなりよかったよ。白い砂浜と椰子の木が延々続いていてねー。コパカバーナ並みに美人のねーちゃんが大勢いて、いい目の保養になったよ」
「へー」
全く信じていない様子。
ま、当然だろうな。

カーボベルデ最後の夜ということで、晩飯はちょっと贅沢にレストランで食事をすることにした。
町中のレストランを2~3軒覗いてみてテキトーな店に入る。
本当はこの国の名物のロブスターを味わいたいところであったが、季節が合わなかったのか残念ながらどこの店でもメニューには載っていても出してはいなかった。

CaboVerde2-4 タカハシさんはイカとポテトフライ、メグミちゃんはエビとサラダの盛り合わせ、俺は海鮮パエリアを注文。
料理が出てくるまでの間、三人で「アフリカの国名」「アフリカの首都名」で山手線ゲームをして遊んでいた。
二人ともさすがはベテランの旅人である。
まだ行ったことのないアフリカの他の国の地名について俺よりずっと詳しく知っている。
首都名はさすがにちと厳しかったが、国名については54カ国全部言えてしまうから凄い。

出てきた海鮮パエリアは海の幸のダシがほどよく効いてとても美味だった。
スペイン式の料理だが、味付けはややブラジル料理に似た感じがする。
実はこの晩飯では俺の誕生日祝いも兼ねてくれていて、ビールも含め全部二人にご馳走になってしまった。
二人には南米やモロッコの各地でとってもお世話になっているというのに、またこんな美味しい料理までゴチになってしまい、本当に感謝感謝である。
特にメグミちゃんには去年の誕生日もブエノスで祝ってもらっちゃっているのだ。
俺もいつかどこかで恩返ししなきゃだな。

さてと、明日は飛行機でダカールに戻る予定だ。
前置きが長かった割にはひたすら地味であっさりしたカーボベルデの旅であったが、少なくともこの国ののどかな雰囲気はそれなりに味わえたような気がする。