サハラ砂漠3 | 旅人日記

サハラ砂漠3

Sahara3-3朝7時。
昨夜に準備しておいた目覚ましの音で起床。
褐色の肌の外人ねーちゃんとお楽しみ中のいい夢を見ていたようだが、そんなことよりもここはやはり朝日の方を優先したい。
土間に敷かれた毛布の中からごそごそと這い出して、がっつり着込んでから外に出る。
寝ぼけ眼で出てみたものの、外は肌を刺すような寒さ、あっという間に目が覚める。
と、それはいいんだけれど、肝心な朝日の方は今日は雲に隠れて全く見ることができなかった。
うーん、こんなことならもっとお楽しみを続けていればよかったか(笑)。

しばらくしてアブドゥルの一家やアリじいも起き出して来た。
昨日と同じような朝飯を済ませ、昨日と同じようにラクダ君に乗って出発。
今日は今までに通ってきた道を引き返すだけで、特にこれといって新たに見るようなものもない。
昨日までと同じく、ラクダの背でゆっさゆっさと揺られながら、のんびり空を仰ぎ見つつゆっくりと進む。
朝には曇りがちだった空も昼過ぎにはまた晴れ間が広がり、宿のある村まで帰る間、今まで同様に気持ちのよいラクダ行を続けていた。

Sahara3-1今回のラクダツアーは、当初はできれば旅仲間のタカハシさんと一緒に行けたらいいなと思っていたもの。
ところが俺の方がメクネスで沈没してしまっていたため、彼の日程に間に合わせることができなかったのだ。
でも、一人で来てみて、これはこれで正解だったかもしれないと思うようになった。
確かに複数で来れば、お互いの写真を撮りあったり、感動を共有できるという面も大きいだろう。
けれども、この広大な砂漠を独り占めできる最高の気分、これは何ものにも替え難い気がする。

欧米や日本が休みとなる頃には観光客で結構混みあうらしいけれど、今の時期はシーズンオフでとても空いているようだ。
他の旅行者にもほとんど出くわさず、とても静かな雰囲気を味わうことができた。
夏場の方が雨が少ないし、この地の猛暑も味わいたい人にはいいかもしれないけれど、冬場でも天気さえよければ最高の環境なんじゃないかな。
昼間は寒くもなく暑くもなく、思っていたよりずっと過ごしやすかったしね。

一昨日泊まったオアシスにて昼飯を済ませ、村までの最後の行程を戻り進む。
そして村に近づくまでの間、この静かな砂漠の世界を優雅に楽しんでいたのだけれど・・・
村まであと小一時間ほどの辺りで、けたたましい騒音が聞こえてきた。
「ブオンブオーンブロロロロロロロロロロ・・・・・」
音の方角に目をやると、村に程近い砂丘の上でオフロードバイクを駆る集団が。
かーっ!何てヤツラだ。人が最高の気分に浸っているところに!
一応、多少の良心はあるようで、俺らが丘の脇を通り過ぎる時にはエンジンを止めていたけれども、結構遠くまで響いてたんだぞその騒音。
美しかった砂丘の丘は、見るも無残に醜い車輪の跡が縦横無尽に付けられてしまっている。
宿に戻ってラクダを降りてから、あの連中に一言いってやろうかと歩いて引き返してみたものの、残念ながらその時にはもういなくなっていた。
たぶんヨーロッパから来ている連中だろうけれど、まったくもって最低なヤツラだ。

Sahara3-2アリじいに別れを告げ、ツアーの料金と宿代の支払いを済ませてから、エルフード行きのミニバスが来るまで、しばらく村の中を散策。
オアシスの景色や子供たちの写真を撮りながら楽しく過ごしていた。
その後宿の連中にも別れを告げ、来た時と同じようにミニバスに乗ってエルフードの町へと引き返す。

エルフードでは前と同じ宿に部屋を取り、その後しばらく町中をぷらぷらと歩いていたら、三日前にごちゃごちゃと悪態をついてきたチンピラ少年がまた俺を見つけて話しかけてきた。
以前の憎たらしい面構えとは打って変わってのニコニコ顔。
「砂漠に行ってきたのか?ラクダは楽しかったかい?天気よかったからなー、最高だったろ?!」
と、まるで我が事のように喜んでいる様子。
前回の険悪な雰囲気などどこ吹く風だ。
「ああ、楽しかったよ!」
「うんうん、よかったなあ。時間があったらウチの店にも寄っていけよ。お茶でもご馳走するよ!」
こいつの笑顔を見ていたら、今回の砂漠の旅は本当にいい形で締めくくれたなぁと思えてきた。
俺はモロッコ人たちのこういうカラっとした性格が大好きである。