シャウエン3 - モロッコの田舎景色 | 旅人日記

シャウエン3 - モロッコの田舎景色

Chaouen4 本日も晴天なり♪
天気がいいので、今日はタカハシさんを誘って一緒にハイキングに出かけることに。
モロッコの田舎景色を眺めながら数時間先の村まで歩いて行くのだ。
一応国立公園に設定されている地域で、全行程を歩くと30キロで12時間くらいかかるらしいが、そこまで本格的にやらなくても近場で十分景色は楽しめそうなので、軽い朝食を済ませてから水だけ持って出発。

町外れの門から続く田舎道をてくてくと歩きながら、まず最初に小高い丘の上に登ってみた。
この丘からは谷間を挟んで対岸のシャウエンの町を見下ろせる。
山裾にへばりつくように広がる白い街並みを上から眺めることができ、なかなかいい景色だ。

丘の上にはモスクのような教会のような、小さな白い建物が立っていた。
おっちゃんたちが何人か白い塗料を塗りながら修復作業をしている。
建物のことをおっちゃんたちに尋ねると、かなり昔にポルトガル人が作った教会だったとのこと。
半分以上崩れ落ちているが、内壁にはキブラ(メッカの方向をしめす窪み)が残っていた。
おそらく一度モスクに建て替えられたことがあるのだろう。
Chaouen5
おっちゃんたちの一人がハシシを買わないかと勧めてきた。
モロッコでは半ば公然とハシシの吸飲が行われているようだが、特にこのリフ山脈のあたりはマリファナの一大産地として有名で、そのブツはかなり良質のものらしい。
小さな弾丸状のハシシの塊を見せてもらう。
重量にしたら5グラム程度のブツで、これで100ディルハム(約1300円)だそうな。
「町中で買うと150ディルハムはする。俺のハシシは出来たて新鮮だ。よく効くぞぉ」
おっちゃんはハシシを混ぜたタバコをふかしながらなんとも気持ちよさげに笑っていた。

そこからさらに奥の方へと、緩やかな山道をのんびりと登って行く。
モロッコというと砂漠や荒涼とした荒地を想像していたのだけれど、実際にはとても緑豊かな土地が広がっている。
ところどころで羊を放牧していたり、二頭立ての驢馬を使って畑を耕す姿も見られる。
のほほんとした牧歌的な雰囲気。
スイスのような景色の中にアジアのような雰囲気が漂っている感じだ。

見晴らしのよい場所でちょこちょこ休憩しつつ、のんびり歩いて2時間ほどで村に到着。
天気のよい空の下、おばちゃんたちが水場に集まって洗濯をしていた。
東洋人が珍しいのか、俺らのことを気にしながらはにかむ姿がなんとも可愛らしい。
親しげで人のよさげな雰囲気だったので、近づいて話しかけてみたものの、頼みのスペイン語も残念ながらおばちゃんたちには通じない。
ううむ、こいつはやはりできるだけ早くアラビア語かフランス語を覚えた方がよさそうだなぁ。

帰りは別の道を取り、松林の中を通り抜けてシャウエンの町に戻る。
宿に戻る前に町の広場に面した喫茶店で軽く休憩。
モロッコならではの甘いカフェオレがとても美味しい。

Chaouen6 夕暮れ時の広場には、ジュラーバ姿のじいさんたちが仲良く並んで座っている。
よく見ると昨日も一昨日も同じ場所で並んで座っていたじいさんたちのようだ。
喫茶店でも一日中同じ場所でだべっているオヤジたちの姿が。
毎日毎日同じ景色を延々と眺めていてよく飽きないものである。
お前ら働かなくて大丈夫なのかよと思ったりもするが、きっと大丈夫だからそうしているのだろう。
このなんとも幸せそうな連中を眺めているとなんだかこっちまで幸せな気分になってくる。

黄昏に染まりつつある街に、モスクから流れるアザーン(祈り)の声がこだまする。
「ぁあっら~~~~~ぁあくばるっ・・・んら~~~~~いら~はいっらっら~~~~~・・・」
コブシの効いたアザーンの音色は聴きようによっては癒し系の音楽のようにも聴こえる。
長旅そのものの疲れも癒される気さえしてくるから不思議である。