タンジェ | 旅人日記

タンジェ

Tanger1 今日はとりあえずタンジェの町を観光。
これといって特に見所があるわけではないけれど、迷宮のような裏路地を迷いながらさまよい歩くのがとても楽しい。
アルヘシラスの港で出会い、船の中でも少し話したロンドン留学中の日本人男女と街中で再会し、一緒に土産物屋や服屋などで買い物しながら町を探索。

町には魔法使いのようなねずみ小僧のような、そんな格好をした人たちが多い。
モロッコの民族衣装でジュラーバと呼ばれる服だ。
普段着の上からすっぽりかぶり、全身を覆うゆったりとした服。
民族衣装大好きでコスプレパッカーの俺。もう買う気満々であった。
宿のおっちゃんに尋ねると200ディルハム(約2800円)くらいで買えるらしい。

旧市街の服屋をめぐって、着心地のよさそうな品を探し歩く。
値段を聞くとほとんど同じようなジュラーバなのに店によって「500」「250」「400」など言い値にかなりの差がある。
いうまでもなくぼったくろうとしているのだ。
値切り交渉はそれほど得意ではない俺だが、アラブ式の交渉の仕方は多少心得ているつもりだ。
どれだけ気に入った品を見つけても、とりあえず買わずに店を出る。そうするとどんどん言い値が下がっていくのだ。
言い値「400」の店で試着をさせてもらった後にそれをやってみた。

買わずに店を出ようとすると「わかった300でいい」となり、
もう少し考えてみるよというと「しょーがないな。ラストプライス250だ!」となり、
こっちのラストプライスは150なんだ、また明日見に来るよというと「待て待てマイフレンド!200ならどうだ!」となり、
それでも振り向かずにすたすた歩いていくと「もういい150だ!もってけ!」とオヤジの半ばやけくそ気味の叫び声が後ろから聞こえてきた。

俺はすかさず踵を返して「150でいいんだな。買った!!」とオヤジにつめよる。
しまったという顔で唸るオヤジ。
「うむむ、たぶんもうちょっと払えるよね・・・?」

「ダメ。150きっかり♪」
150ディルハムと引き換えにオヤジはしぶしぶ顔でジュラーバを手渡す。

よしよし。なかなかいい買い物が出来たんでないかい。
ほんの5分で400が150までに下がるあたり、愉快なところである。
こういう国での買い物はいちいち面倒なこともあるけれど、要は楽しんでしまえばいいのだ。
実際楽しいし♪

Tanger2 さっそくジュラーバを纏って町歩き。
長髪なのでジュラーバを纏ってもやや目立つかもしれないが、それでも寄ってくる連中の数は激減した。
いちいち相手をする煩わしさが少なくなっただけでも儲けものである。

その後、他の土産物屋に立ち寄る度に「そのジュラーバ、いくらで買った?」と聞かれまくり。
150ディルハムだというと、みな必ず「おー、それはいい値段だ。いい買い物したな」といってくれる。
お世辞かもしれないけど、そんなことはどうでもよくて、とにかくひたすら気分がいい。

数日後にはフェズ辺りで旅仲間のTさんに追いつく予定。
この格好で後ろからこっそり近づいて「マイフレンド、いいハシシあるよ、買わない?」とか囁いてみようかな。
その時の彼の反応が今から楽しみである。