アフリカ初上陸! | 旅人日記

アフリカ初上陸!

Gibraltar1 2日間の移動の日々で疲れていたこともあって、やや遅めの10時頃起床。
宿を出て11時発のタンジェ(モロッコ)行きの船のチケットを購入。
早めに出港ターミナルに着いていたのだが、出国審査が始まったのが11時半頃、船に乗り込めたのは12時頃だ。
広々とした船内ロビーの一角に陣取って、窓から遠くに見えるジブラルタルの大岩を眺めながら、生ハムを肴に白ワイン・・・じゃなかった白葡萄ジュースをちびちびやりながら出港を待っておりました。

ところが1時間待っても2時間待っても船はなかなか出港しない。
いいかげんそろそろ出る頃だろうと思い、甲板に出て煙草をふかしながら待っていたけれども、それでも出る気配なし。
外に出ていた間に、なにやら船内放送があったらしく、乗客たちがざわついていた。
故障か何かでもうちょっと時間がかかるのかなー?と思ったら、みんな急いで船を降り始めているじゃないか。
乗員に尋ねると、なんとこの船は天候不良とかで欠航になるとの話。
乗客たちはチケットを返してもらい、午後2時に出るという別の船を目指して次々に下船していった。

うーん、ついてないなぁ。
ついてないけど、今日はのんびりまったりの船移動の日だ。
時間がかかっても今日中にモロッコに着ければ俺にとっては問題ない。
まぁあせることもなかろうと、のたのたとターミナルに戻ってカウンターでチケットを別の船用に変更してもらおうとすると・・・

「これはバウチャーなので、実際に購入した場所で変更しないと次の便の乗船券に変えることはできません」なんてことをほざきやがれましたんですよ、これが。

はぁぁぁぁあ???
今から街中まで戻って変更して来いってか。それでみんなあんなに急いでいたわけか・・・。
時計を見るとすでに1時50分。くどくど文句をいったり別の方法を考えている暇はない。
猛ダッシュで走ってバウチャーを購入した代理店に駆け込む。
「おっちゃん、船がキャンセルになった。何でもいいからとにかくこれ変更して!」と叫ぶと、すぐさま別のバウチャーに変えてくれた。
「これ何時に出る船用?」
「知らん。彼らが2時に出るというなら2時に出るんだろう!」
「わかった。ありがとう!」

また走ってターミナルに戻ったが、結局また出国審査が始まるまで時間がかかり走らなくても余裕で間に合っていたようだ。
それでも先ほどの船で一緒だったイギリス人の女の子は見かけない。
彼女は鉄道駅の方で買ったようだったので、もしかしたら今日の出港はあきらめたのかもしれない。
他にも人づてで買ってもらったために変更のしようもなくて新たに券を買う羽目になっていたスペイン人のおばちゃんたちもいた。
ったく、ここはスペインだぜ。一応先進国じゃないか。船便の変更くらいターミナルで出来るようにしておけってんだ。
二度目の出国審査が始まり、みんなやれやれといった表情で船に乗り込む。
先ほどの船の中ではモロッコの入国印もすでにパスポートに押されており、付け加えて再度出国印と入国印をもらう羽目になった。
各国のスタンプをパスポートに集めるのは大好きなんだけれど、こんな形で無駄にページを消費されるのは勘弁してほしいなぁ・・・。

乗客が二倍になって船内はちと混みあっていた。
この船もなかなか出ようとしなくて、また欠航かもなーと思っていたら3時頃にようやく出発してくれた。
よしよし、これでなんとか今日中にモロッコに辿り着けそうだな。
それにしても最近出国間際にあわただしくなることが多いなぁ。
ベネズエラでも駆けずりまわされたし、今日なんか優雅にジブラルタル海峡横断を楽しむだけだと思っていたのに。

船内で日本人の新婚旅行中のご夫婦と出会う。
聞けばモロッコにはタンジェだけで1泊の滞在らしい。
「グラナダの観光案内所で『新婚旅行であの悪名高きタンジェ?一番行っちゃいけない場所だよ』っていわれました」
などと笑っていたけれど、それは俺でもそう思うなぁ。
テーブルを囲みお互いのガイドブックなどを見せ合いながらしばし歓談。
ワインまでご馳走になってしまった。イカ墨の缶詰を肴に赤ワインで乾杯。船では一杯やりたいところだったのでとても嬉しかった。

Gibraltar2 しばらくしてから甲板に出て景色を眺める。
右岸にはスペイン沿岸の町が見えている。
左岸にはアフリカ大陸の山々がぐわぁっと広がっている。
どっちも手が届きそうなくらい近い距離だ。
ジブラルタル海峡ってこんなにも狭いものだったのだねぇと改めて感心。
どこまでが地中海でどこからが大西洋なんだかはよくわからない。
朝から曇り空だった天候もすでに回復し、晴れ晴れとした青空。
船は日の傾く方向に針路を取り、一路タンジェを目指してゆっくりと進んでいく。

ちょうど夕陽が丘に隠れる頃にタンジェの港に到着。
他の旅行者から悪い噂ばかりを聞かされていたタンジェ。
いったいどんなお出迎えをしてくれるのやら。
港に降りるなり、客引きの連中がどっと押し寄せるだろうか。

内心ワクワクしながら船を降りてみると、そこには山のような人だかりが。
ほー、あれが噂のお出迎えか。こりゃまた想像以上だね、と思っていたら、実際にはこの船がスペインに折り返すのに乗る乗客の群れであった。
港を出てからもタクシーの客引きがちらほらいるものの、噂の「お出迎え」というほどのものではない。
「ノン・メルシー」と楽々とかわせてしまえる。
なんだかちょっと期待はずれだぞ。
もっとこうネタにできるような激しい歓迎の仕方を期待していたんだけどなぁ。

なんにせよ、無事タンジェに着いたのだ。
初のアフリカ大陸上陸♪ モロッコだよ。久々のイスラム圏だよ。
町は白壁の家々が丘にへばりつくように並んでいる。
陽はすでに暮れてしまったものの、西の方角はまだ青々としていて、白い建物とのコントラストが非常に美しい。
感動しながら新婚ご夫婦(名前聞き忘れちゃった^^;)と一緒に町を目指す。

彼らのことがちと心配だったので、予約してあるというホテルを一緒に探してあげることにした。
迷路のように入り組んだ町で、地図を見ながらでもなかなか場所がわかりづらかった。
結局ちょっと遠回りをさせてしまって申し訳なかったなー。

んで今度は自分の宿探し。
いざ一人になって歩いていると、先ほどとは違って客引きの連中がわんさか寄ってくる。
おー来た来た♪
内心嬉しくてしょうがなかったが、まーネタのためにわざわざカモになるのもなんなので、一人一人テキトーにあしらいつつ、かわしまくって無事自分で宿を見つけることができた。
1泊45ディルハム(約630円)、トイレは共同、シャワーは無しという安宿だが、大きなベッドにバルコニーから街を見下ろせる部屋でかなり気に入った。

荷物を置いて、夜の街中を気分よく散歩。
もう文字通り10秒ごとに声をかけられる。
「コンニチハ」「サヨナラ」「オゲンキデスカ」「ヨーコソモロッコへ」等々。
なんだか人気者にでもなったような気分でとても心地よい。
「チノチノ」とうるさい中南米や、やや冷たい雰囲気のヨーロッパよりよっぽど気分がいいぞ。

半分くらいは声をかけるだけでそのまま素通りしていくが、もう半分の連中はちと性質が悪いやつらだ。
話しかけられてちょっと立ち止まると、すかさずハシシを売りつけようとしてくる。
こっちは元々買う気はないのだから相手にしないに限る。
聞くところによると、ハシシを旅行者に売っておきながら、後で警察にたれこんで二重で儲けようとするやつも多いらしいのだ。
そんな連中でさえ、別れ際には「モロッコへようこそ。いい旅を!」と必ずのように付け加える。
しかもみな笑顔がとても素敵だ。

宿のおっちゃんも、食堂のにーちゃんも、みんな優しくて親切にしてくれる。
まだ着いたばかりの国ではあるが、なんだかとっても気に入ってしまったぞ。
物価も安いことだし、アラビア語習得を理由にして少々のんびりしてしまうのも悪くないかもなー。
と、初っ端から沈没してしまいそうな気分のアフリカ大陸初日でありました。