0月25日付日経「政界Zoom」というコラム欄に「広がる日本外交体制」という記事があり、安倍政権の下で、外務省は外交成果を出さなくても組織だけは膨張させていたというのを報道した記事だと感じました。

この記事が報じられなくても、普段から外務省はまともに仕事をしているのかどうかも不明な組織ではないかという疑問は何時もありました。海外大使は官僚の定年後の天下りポストみたいにしか思えないし、その新任大使は役所の定型業務をこなすだけの業務しかしてこなかった役人で、大使になったところで問題が起きても自身では何も出来ず、所詮部下に丸投げするしかないという実態だと推測されます。

この報道の後、10月27日付朝日新聞では、非公開期限切れで公開されるべき文書が公開されないという問題の報道がなされ、この時はが外務省の文書管理のずさんさだけでなく、文書管理の人員不足で出来ないという事を理由としており、日経報道の職員数は9%増えているとの報道とは矛盾していることが判りました。

 

日経記事の要旨

1)日本が大使館数や外務省の職員数を大きく伸ばしている。2000年度に115だった大使館の数は19年度中に英国やドイツと同水準の152館まで増える。・・・かっては行政改革で拡大路線に待ったがかかったこともあるが、安倍政権の下で再び拡充が進んでいる。

2)外務省職員の定数も増えている。13年度に5733人だったが、19年度には6288人と9%超増えた。

3)揺れ動いた方針が第二次安倍政権以降で再び拡大路線に転じているのはなぜか。細谷雄一郎慶大教授は「安倍政権が対外広報に力を注いだことや、国民や企業のグローバル化が背景にある」と指摘する。歴史認識や領土問題で日本への批判が取り沙汰され、日本自身の発信を求める考えが広がった。グローバル化で企業の相談やトラブルにあった邦人保護などの領事業務が増えている。

 

朝日新聞10月27日の外務省の外交交渉文書不開示問題についての一節で、「・・・だが外務省では、増え続ける作業に対応する態勢が整わないままだ。「人員も予算も増えていない」(公文書監理室)という。」というくだりがあります。日経の記事との間のギャップは相当なものだと感じました。

 

外交上の問題と言えば、北朝鮮による日本人拉致問題の進展がないという事件が思い浮かびます。トランプ大統領が出てこないと前に進まないというのでは何をかいわんという事態で、外務省は何もできずに放置している状態が続いていると思えます。海外の日本人を守るという外務省の本論が全くできていないというべきかと思います。

ロシアとの領土問題なども安倍さんが何度プーチン大統領と面談しても何の進展が無いのも、外務省の情報収集とか人脈作りが全くできていないので、手ぶらでプーチン大統領と面談したところで海千山千の相手から見れば何をしに来たのだろうと訝しく思われるだけと思います。

国外問題が山積しているにも関わらず海外大使館数だけを増やすという発想は、諸外国に対して見栄を張りたいという発想しか無いと思え、安倍さんのレベルが推測されるような結果になっていると思えます。

日経新聞の細谷雄一郎慶大教授コメント、海外公館数の増大は「国民や企業のグローバル化が背景にある」というのは、新規に海外公館を新規に設置しているのは、名の知れない小国ばかりで、そんな国に国民や企業は進出する筈が無いと直ぐに想像が出来るので、的外れであるというのが分かります。海外進出する企業は市場の大きい米国とかEUが主で、次に発展途上国となるはずなので、そういう国々はとっくの昔から公館は出来ていいます。それよりも、そういう既存の公館がどれほど日本国民や企業の為に役立っているかというのは全く不明で、海外旅行中にパスポートを無くした人のためのパスポート再発行所機能位では余りにも人数が多いのではないかと思わざるを得ません。

海外公館では専属料理人を置いて、現地の有象無象の人たちを招待してパーティを頻繁に開いて飲み会行事をやることが重要な仕事みたいに報道される事が時々ありますが、マスコミのレベルが知れるようなものだと思い毎度苦々しく見ています。そういうパーティでは役人あがりの大使や職員では、現地の何の裏情報等は得られず、単なる飲み会で終わっていると思うと無駄な税金を食いつぶしているだけと思われます。一昔前に、ペルーの公館が襲撃されたというのは、職員の情報収能力が無いというのを証明したようなもので、現在も変化はないと推測されます。

 

在外公館は所詮日本の役所の海外出張所の位置づけで、決められた行事を毎年繰り替えてしているだけの存在ではないと思えて、海外公館数を増やして果たして何をやろうとしているのが全く見えないと思います。外務省に関する印象で言えば、テレビで外務省上がりの解説者が話すのを聞いていると、本当に弁論はたくましくのですが内容は極めて常識的と聞こえて、口先は旨いが肝心の折衝はできていなかったのだろうと思ってしまいます。