＊2014.5.23の記事のアップグレードです。
思想家としての吉本隆明を僕は知らない。
ただ厚木の図書館で見つけた「開店休業」という
８０歳を過ぎた彼のエッセイによって
彼を知るのみです。
このエッセイは吉本さんが食べ物中心に
自分のこれまでの人生を
気ままに語るという内容。
１９２４年（大正１３年）
生まれの彼の少年時代と言うから
昭和初期になるでしょう。
駄菓子屋に行って、たまに買っていたの
が二銭の黒砂糖だったそうです。
＊コーヒー１杯 １０銭の時代です。
この黒砂糖がシンプルながら
とても芳醇な深い味わいだったのに、
その後、黒砂糖に変わって
駄菓子屋で売られるようになった
一銭の飴玉「鉄砲玉」は、
黒砂糖よりもずっと甘いのに、
どこかつまらない味になったと語っています。
子どもだからこそ、
敏感に味の違いを感じていたのかもしれません。
この話を、あーねらにいらっしゃっている高齢の方に
お話すると、やはり昔は
黒砂糖と子ども時代というのが
とてもリンクすると
話されていました。
この食の芳醇な味わいの一つとして吉本さんが
書かれていたのが、
『ほうれん草のおひたし』でした。
今では副食のまた副食のような感がある、
ほうれん草のおひたし。
吉本さんはかつてのおひたしは、
シンプルにおかかを少し混ぜ、
醤油を適量たらしたものなのに、
これだけで十分に
ご飯がいただける力強さがあった
と書かれていました。
ここであれこれという気はありませんが、
そんな『ほうれん草のおひたし』と
いつかご対面する日を
今から楽しみにしているのであります（*^_^*）
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