最後の電話をきってからも、その夜は
彼と別れたという実感があまり
湧きませんでした。








コロナのために
1年以上も会えない日が続き


会えないことが当たり前のような感覚に
なっていたせいかもしれません。











でも日を追うごとにじわりじわりと
Jさんの存在が私の側から消えたことを
実感していきました。








昼休みの電話、お互いの帰宅途中の電話、
夜のいつもの時間の電話、休日の電話。







時計を見ては


ああそうか…もう電話はかかってこないんだ…
もう私が電話をかける必要もないんだ…






そう思う度に寂しさと涙が込み上げ
それを抑えることに必死でした。











Jさんとお別れしたことやその理由を
息子にも話したところ
やはりショックを受けていました。





私がJさんと過ごした時間は
息子がJさんと過ごした時間でもありました。










交際を始めて1年ほどが経過し
私たちが将来のことを考え始めた頃
息子とJさんに対面してもらいました。




Jさんは若干人見知りな息子に対しても
息子のペースに合わせて少しずつ距離を
縮めていってくれました。




折に触れて
息子に気遣いと愛情をしめしてくれました。









そんなJさんと接するうちに
少しずつ打ち解け


Jさんのことをアボジと呼ぶようになり
実の父親よりJさんが父親らしく感じると
話していた息子でした。










息子自身、ショックを受けつつも
食べられない眠れない状態の
私の心に寄り添い、労ってくれています。










『誰が悪い訳でもないのは分かってる。
どうしようもないことなのも分かってる。
でも何でこんなことに…』







私たちが別れた話をしたとき
ぽつりとそう呟いた息子。







息子にも本当に申し訳なく思う毎日です。