楠健二さんの新たな挑戦

 

楠健二さんは、能登半島地震で自宅兼店舗を失い、妻と長女を亡くしました。彼はその悲劇から立ち直るため、再び居酒屋「わじまんま」を開店することを決意しました。

 

川崎市での再出発は、彼にとって大きな挑戦ですが、家族のためにも奮起しています。京急川崎駅近くの新店舗で、彼は忙しく準備を進めています。

 

この再出発は、楠さんにとってどのような意味を持つのでしょうか?彼の新たな挑戦の背景に迫ります。

 

新店舗「わじまんま」への思い

 

楠さんが新たに開店する居酒屋「わじまんま」は、妻の由香利さんと一緒に切り盛りしていた思い出の店です。彼はその思いを胸に、新たな一歩を踏み出しました。

 

楠さんは新店舗での再出発に強い思いを抱いています。彼の目標は、亡くなった妻と長女への思いを込めた料理を提供することです。また、地元能登の新鮮な食材を使用し、お客様に満足してもらえるよう努めています。

 

楠さんが新店舗で提供する料理には、能登の「輪島ふぐ」や「能登かき」などのおすすめ品があります。彼は壁に手製の間仕切りを設置し、白いペンキでメニューを書き込んでいます。

 

楠さんは店の準備を朝晩問わず続けています。「何かしていないと、わけわかんなくなるんだ」と語る彼の姿勢には、再び立ち上がる強い意志が感じられます。

 

悲劇から立ち直るための努力

 

楠さんは能登半島地震で妻と長女を失いました。元日、自宅3階で家族とくつろいでいた楠さんは、地震の揺れで意識を失いました。隣のビルが倒れ、下敷きになってしまったのです。

 

彼は次男と次女を救出しましたが、妻の由香利さんと長女の珠蘭さんは助け出せませんでした。楠さんはその後も、家族のために奮起し続けています。

 

楠さんの次男は幼少期の脳症で障害があります。彼は母と妹の死を理解できず、由香利さんの手料理をほしがります。一方、次女は珠蘭さんが通っていた看護専門学校で学び始めました。

 

楠さんは家族の生活を守るため、再び居酒屋を始めることを決意しました。彼の努力は、家族への愛情と責任感から来ています。

 

川崎市での新たな生活

 

楠さんは、2018年まで家族と30年近く暮らした川崎市で再出発を決めました。新店舗はかつての半数に満たない25席ほどですが、メニューにはこだわりがあります。

 

彼は能登の魚屋や酒販店と付き合いがあり、新鮮なブリや地酒の「能登誉」「千枚田」を仕入れています。新店舗のオープンは、輪島で始めた時と同じ6月10日の予定です。

 

楠さんは、がれきの中から見つけ出した店名の入ったTシャツを着て、調理場に立ちます。彼の目標は、川崎の店を「支店」にし、輪島で「本店」を再び開店することです。

 

楠さんは、妻の由香利さんとずっと暮らしていくことを決めたからこそ、この目標を忘れないと語ります。彼の挑戦は、家族の絆と愛情に支えられています。

 

次に、楠さんが目指す未来についてお話ししましょう。