人気アニメキャラクターのケーキ販売、著作権法違反の実態
著作権法違反の背景と事例
ゴールデンウィークも明け、多くの人が“推し活”やケーキ作りを楽しんでいますね。そんな中、2021年に「鬼滅の刃」のキャラクターを描いたオリジナルケーキを販売した職人が、著作権法違反で書類送検された事件がありました。今回は、その職人がどのように違法とされたのか、永沼よう子弁理士の解説を交えながら、わかりやすく説明します。
まず、この職人がどのように違法行為を行ったのかについて、具体的な背景を見てみましょう。この職人は、「鬼滅の刃」のキャラクターを忠実に再現したケーキを販売していました。著作権法において、著作物の無断複製は複製権の侵害とされます。特に、元ネタを明確に参考にした場合、それが違法行為となります。職人は、顧客から提供されたキャラクター画像を元にケーキを作成し、それを販売していたのです。
著作権法の複製権侵害には、著作物性、依拠性、類似性の3つのポイントがあります。まず、著作物性とは、創作的な表現が認められるかどうかです。「鬼滅の刃」のキャラクターは、原作者の創作的な表現であり、明らかに著作物と認められます。次に、依拠性ですが、これは職人が元ネタを参考にしたかどうかを示します。このケースでは、顧客から提供された画像を基にしており、依拠性が認められました。最後に類似性ですが、職人の作成したケーキは、誰が見ても「鬼滅の刃」のキャラクターと分かるほどに忠実に再現されていました。以上の点から、職人の行為は著作権法に違反していると判断されました。
では、このようなケースが全て著作権法違反となるのかというと、そうではありません。次に、どのような場合に例外が認められるのかを見ていきましょう。
個人的な使用と例外規定
著作権法には、私的使用のための複製について例外規定があります。たとえば、親が子供のためにキャラクターケーキを作ったり、夫婦間で楽しむために作ったりする場合、これは「私的使用」の範囲に含まれます。つまり、個人的な楽しみのためにキャラクターを使用することは、著作権法違反にはなりません。
しかし、ここで注意が必要なのは、私的使用であってもSNSにアップする場合です。SNSにアップロードすることで、公衆送信権の侵害となる可能性があります。公衆送信権とは、著作物をインターネットなどを通じて公衆に送信する権利のことです。つまり、私的使用の範囲を超えて、不特定多数の人に見せる行為は著作権侵害となり得るのです。
また、個人的に作ったキャラクターケーキをバザーなどで販売する場合も、複製権の侵害となる可能性があります。販売を目的とする場合、著作物の使用には許可が必要です。したがって、たとえ自宅で作ったものであっても、販売することで著作権法に触れる可能性があることを覚えておきましょう。
では、具体的にどのようなケースが違法となるのかを見ていきましょう。たとえば、友人のために「鬼滅の刃」のキャラクターケーキを作り、それをプレゼントする場合は私的使用の範囲内です。しかし、それをSNSにアップしてしまうと、公衆送信権の侵害となります。また、趣味で作ったキャラクター弁当を地域のバザーで販売すると、複製権の侵害となる可能性があります。これらのポイントを押さえて、私的使用の範囲を守ることが大切です。
次に、著作権法違反の事例を見ながら、どのような状況で著作権侵害が成立するのかを具体的に説明します。
具体的な著作権法違反の事例とその影響
著作権法違反の事例は、さまざまなケースで発生しています。今回の「鬼滅の刃」のキャラクターケーキ販売のケース以外にも、キャラクターを無断で使用した商品が問題となることがあります。たとえば、有名なアニメキャラクターを無断で使用したTシャツを販売する場合も、著作権法違反となります。
また、SNS上でのキャラクター使用も問題視されています。たとえば、個人が趣味で作ったキャラクターグッズをSNSで販売したり、作品をアップロードすることで、著作権法違反となるケースがあります。著作権法違反が発覚すると、法的な制裁が科される可能性があります。具体的には、損害賠償請求や差し止め請求が行われることがあります。
特に、営利目的で著作権侵害を行った場合、その影響は大きくなります。今回のキャラクターケーキ販売のケースでは、販売価格が高額であり、2年間で約400万円の売り上げがあったため、著作権法違反と判断されました。著作権法において、営利目的での著作物の無断使用は、厳しく取り締まられる傾向にあります。
著作権法の違反は、個人だけでなく企業にも影響を及ぼします。たとえば、小規模な個人事業主や中小企業が無断でキャラクターを使用した商品を販売した場合、キャラクターを保有する企業から法的措置を取られる可能性があります。これにより、企業の信頼やイメージが損なわれるだけでなく、経済的な損失も大きくなります。
このような著作権法違反の事例を防ぐためには、著作物の使用に関する適切な知識を持つことが重要です。特に、キャラクター使用に関する許可を得ることが大切です。次に、キャラクターの使用許可とその手続きについて詳しく見ていきましょう。
キャラクター使用の許可と手続き
キャラクター使用料の相場と許可手続き
キャラクターを使用するためには、通常、使用料が発生します。永沼弁理士によると、キャラクターの使用料は売り上げの3〜5％が平均的な相場となっています。しかし、使用料を支払えば誰でもキャラクターを使用できるわけではありません。キャラクターの使用には厳格な審査があり、個人事業主や中小企業にはライセンスを提供しない方針の企業も多くあります。
たとえば、大手アニメーション会社が保有するキャラクターを使用する場合、クオリティーの保証やトラブル発生時の対応が重要視されます。これにより、キャラクターのブランドイメージを守ることが目的です。したがって、キャラクターの使用許可を得るためには、まず企業側の審査をクリアする必要があります。
キャラクターの使用許可手続きには、まず使用希望のキャラクターを保有する企業に対して使用申請を行います。申請書には、使用目的や販売計画、予想売り上げなどの詳細を記載する必要があります。企業側は、これらの情報を基に審査を行い、使用許可の可否を判断します。
審査が通過した場合、使用契約が締結されます。使用契約には、使用料の支払い条件や使用範囲、使用期間などが明記されます。契約内容を遵守することが求められ、違反した場合は契約解除や法的措置が取られることがあります。たとえば、使用範囲を超えてキャラクターを使用した場合や、使用料の支払いが滞った場合などが該当します。
このように、キャラクターの使用には手続きや契約内容の遵守が重要です。次に、キャラクターの使用許可を得るための具体的なステップを見ていきましょう。
キャラクター使用許可の具体的なステップ
キャラクター使用許可を得るための具体的なステップを紹介します。まず、使用希望のキャラクターを保有する企業の公式サイトや問い合わせ先を確認します。多くの企業は、キャラクター使用申請のための専用フォームや問い合わせ窓口を設けています。
次に、使用申請書を作成します。申請書には、使用目的や販売計画、予想売り上げ、使用期間などの詳細を記載します。具体的な内容を明示することで、企業側に対して信頼性をアピールすることができます。たとえば、使用目的が明確であり、適切な計画が示されている場合、審査がスムーズに進むことが期待されます。
申請書を提出後、企業側の審査が行われます。審査期間は企業によって異なりますが、通常は数週間から数ヶ月程度かかることがあります。審査が通過した場合、使用契約が締結されます。使用契約には、使用料の支払い条件や使用範囲、使用期間などが明記されます。契約内容を遵守することが求められます。
使用契約が締結された後、キャラクターの使用が正式に許可されます。使用開始後も、契約内容を遵守し、適切な使用を続けることが重要です。たとえば、使用範囲を超えてキャラクターを使用した場合や、契約に反する行為を行った場合、法的措置が取られることがあります。
以上が、キャラクター使用許可を得るための具体的なステップです。次に、著作権法違反を防ぐためのポイントをまとめてみましょう。
著作権法違反を防ぐためのポイント
著作権法違反を防ぐためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。まず、著作物の無断使用は避けることです。著作物を使用する際は、必ず権利者から使用許可を得るようにしましょう。特に、キャラクターの使用に関しては、厳格な審査が行われることを理解しておく必要があります。
次に、使用範囲を明確にすることです。使用許可を得た場合でも、契約内容に従って使用範囲を守ることが求められます。たとえば、使用範囲が限定されている場合、その範囲を超えて使用しないよう注意が必要です。また、使用期間や使用条件を遵守することも重要です。
さらに、私的使用の範囲を理解することです。個人的な楽しみのために著作物を使用することは、著作権法違反にはなりませんが、公衆に対して送信する場合や販売する場合は、著作権法違反となる可能性があります。特に、SNS上での使用には注意が必要です。
最後に、著作権に関する適切な知識を持つことです。著作権法は複雑であり、適切な知識を持つことで違反を防ぐことができます。特に、著作物の使用に関するルールや手続きを理解しておくことが大切です。たとえば、キャラクターの使用に関する許可手続きや契約内容について、事前に調べておくことが必要です。
これらのポイントを押さえることで、著作権法違反を防ぎ、適切なキャラクター使用ができるようになります。以上が、キャラクター使用の許可と手続きについての解説です。
まとめとして、著作権法違反の事例を通じて学んだポイントを振り返りましょう。
