書いて整理しておく。

 

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◆裁量労働制とは

 

裁量労働制とは下記のようなもの。

 

1)考え方

・時間に固定されない働き方によって生産性を高めるために作られた

(始業・終業・時間の管理を労働者自身に任せて、自由度の高い労働環境を整えることで生産性が高まる)

・勤務時間の制限がなく、労働者の裁量で勤務時間を管理できる

・適用対象は「業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務」であり、「専門業務型裁量労働制(システムエンジニアなど)」と「企画業務型裁量労働制(経営企画などの企画・立案・調査・分析を行う業務、労使委員会の決議必要)」の2種類あり

・企業からすると労務管理の負担軽減や人件費の予測が容易になる

・社員からすると働き方の自由度が高まることで、満足度が向上する

 

2)賃金

・企業と労働者で規定した時間を働いたものとみなしてその賃金を支払う

(例えば、みなし労働時間を8時間と定めた場合は、実労働時間が1時間でも10時間でも8時間分の賃金が発生する)

・みなし労働時間が法定労働時間を超える場合、深夜労働・休日出勤の時間外手当は発生する

(例えばみなし労働時間を9時間と定めた場合、法定労働時間を超えた1時間分の残業手当が発生します。法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間のことで、1日8時間1週間40時間が上限となります。
・深夜に労働をした場合
22時~翌5時までの時間に労働を行った場合、裁量労働制であっても深夜手当が発生します。
・休日に労働した場合
裁量労働制であっても休日を定める必要があります。法定休日(1週1日又は4週4日以上)に労働した場合には、休日出勤手当が発生します。

 

3)その他

・ただし、労働基準法で定められた上限超えはできない

・高度プロフェッショナル制度は、高度な専門知識を有して一定水準以上の年収要件(1,075万円以上)を満たすもの
(裁量労働制とは職種が限定されていて年収要件があり労働基準法が適用されない点が異なる)

 

時間管理が困難な業務において生産性を上げやすくするための制度である。

 

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◆現場における裁量労働制の課題

 

私自身は制度に肯定的だが、実際の現場では運用が難しいと感じることはある。

 

・A:みなし時間内で求められる仕事以上の仕事をした

・A’:Aのうえでさらによい仕事(質・量)をした

・B:みなし時間内では求められる仕事に満たなかった

・B’:Bで残業をしてなんとかカバーした

 

社員にもいろんな考え方・スキルの人がいる。

品質が甘い、スピードが遅い、そもそも理解が遅い場合もありうる。

 

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◆まとめ

 

おそらく、裁量労働制の健全な運用は下記の2つである。

 

・自責思考かどうか(または自責思考にさせること)

・マネジャーが必要な品質・量・スピードの基準、’それをするスキル’と’本人の不足’を示し続けること

 

BやB’で他責思考の人は、自分の不足に悩むのではなく、残業の多さをアピールしてきたり、

そもそも作業が多すぎるとか指示が雑だといって指示者の責任を問うてくる場合もある。

 

そこまでじゃなくても、繰り返し説明をするなど現場には相当のストレスがたまるし、

そうではないAやA’との差が歴然となるし、よい結果を出すためにはそちらにもっとパワーを費やしたくなる分、

BやB’に費やすコストは精神的に辛い。

 

それでも、仕事が遅い人が残業代をもらう(仕事が早い人がもらえない)という不条理からすると

私自身は裁量労働制を肯定するので、やるしかないんだろうな。。。