個人的には昨年の『どうする家康』より遥かに面白いと思うのだが世間的な評価は同じ位みたいだ。過去に面白いと思った大河ドラマの一つに『篤姫』が挙げられるが、その時の脚本家も大石静さんだった。脚本家の好みもあるのかもしれない。

ただ、平安時代という不人気な時代を舞台にしたドラマとしては検討しているのではないか。

 

一般的に藤原道長の印象は栄花物語の『望月の歌』のイメージもあってあまりよろしくはないが、自分は結構良いイメージを持っている。源氏物語は道長が紫式部に書くことを勧めたと言われているが、その主人公である光源氏のモデルは源高明という説が有力だ。

 

その源高明は安和の変で失脚している。藤原氏が、もっと細かく言えば藤原の北家が失脚させたのだが、道長はその北家出身だ。

後に道長は源高明の娘、明子を側室に迎え入れるのだが、どういう経緯でそうなったのかはよく知らない。道長の姉で一条天皇の母である東三条院(大河ドラマでは吉田羊さんが演じている)が明子を手元で育てたらしいのだが、それが縁となったのだろうか?ちなみに東三条院は、摂関家の陰謀に巻き込まれて没落した人々を積極的に庇護したようである。

 

東三条院のおかげで源高明と縁ができたとはいえ、元々彼を失脚させたのは再度になるが藤原氏なのである。そんな人物を主人公のモデルとした読み物を紫式部が書いていることに対して道長は横やりを入れないどころか楽しんで読んでいたようなのだ。「自分は結構良いイメージを持っている」理由として道長には器量の大きさを感じるのだ。

 

藤原氏を揶揄する散楽を見て、道長役の柄本佑さんが「面白いではないか」というセリフがあったと記憶している。まひろ(吉高由里子)が源氏物語を書くにあたって道長は「高明を主人公にするのか?」「面白いではないか」と言いそうな気がする。いや大石静さんならそう言わせるだろう。きっと。