元の論文の全部は読んでいないけれど、論文を執筆した研究者たち自身が「試験における偏りのリスクが高く、結果の測定値にばらつきがあり、研究時の介入群でのアドヒアランスが比較的低いため、確固たる結論を導き出すことはできなかった。そのため、マスクの効果については不確実性が残っている。エビデンスの確実性が低~中程度であることは、効果の推定値に対する信頼性が限られていること、および実際の効果が観察された効果の推定値と異なる可能性があるため、複数の設定や集団におけるこれらの介入の多くの有効性、それに対するアドヒアランスの影響に対処する、適切に設計された大規模なRCTが必要」と記しているのだからこの論文ひとつで鬼の首を取ったかの如く「マスク不要論」を唱えるのはいかがなものか?

 

加えて、公衆衛生行政は一つの論文でかじ取りを決めることはまずない。アカデミックな世界では当初は意見が分かれることがあっても、次第に説得力を持つ論文の意見に収れんされていくので今後の経過を見守る必要がある。ただし、現時点では「マスクに効果あり」とする意見の方が優勢だ。