今週のThe Economist 2/2号 1/2 | 蜜柑草子~真実を探求する日記~

蜜柑草子~真実を探求する日記~

常識と非常識、既知と未知。
それらを折り合わせながら、"真実"を探求する日記です。
更新頻度は気まぐれ。みかんが美味しい。
引用・転載は自由ですが、その時はURLを明記してください。

今週も届いた。[1]
蜜柑草子~真実を探求する日記~-The Economist -2013-02-02
ヴァイキングの表紙。
今週は、北欧の特集。

今週のKAL's cartoon。[2]
蜜柑草子~真実を探求する日記~-The Economist -KAL's cartoon
エジプトの状態を風刺した絵。
ムハンマド・ムルシ大統領が、エジプトというラクダに乗り、話しかけている。
「ムバラクは退陣し、革命は終わったんだ。そろそろ真正面から向き合って上手くやっていこうよ。」
すると、ラクダは体勢を変えた。
ムルシ大統領が落っこちて、ラクダと短い距離で向き合っている。

ひとこと
疾風怒濤(Sturm und Drang)の時代にあるエジプト。
またしても暴動が頻発し、革命前夜のような状態。
大統領が非常事態を宣言し、再び非常事態に突入した。
警察だけでは鎮圧できず、軍も動き出している。
革命は終わったものの、また革命が起きてもおかしくない雰囲気。

経済は停滞しボロボロ。情勢が不安定なことによる通貨安。
人々の生活にダブルパンチ。
特権階級は未だに残っているし、新しい憲法でイスラム教徒以外は不自由になる。
やっぱ、もう一回、革命をやるっきゃないっしょ。
こう考える人が多く出ても不思議ではない。

エジプトにはスエズ運河があり、中東では大国なので、今後の動向にどこの国も注目している。


今週のLeadersから。
世界から注目される北欧モデル。(The next supermodel)[3]
以下、内容。

小さな国というのは、往々にして、政府の改革の先駆けになる。(例えば、シンガポール)
今では特に、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドが、新たなモデルになる。
平均的な能力と収入を持つ、という条件の下で生まれ変わるとすれば、こうしたヴァイキングの国々がいいだろう。
これらの国は、経済的な競争力、社会福祉、幸福度に至るまで、国際的に高い位置にいる。
開発政策の理論家達は、北欧の国の現代化の成功を「デンマークへ行く」と呼んでいる。

こうした成功を収め、注目されているのは、1つには、北欧の国々は、1990年代の債務危機を上手く乗り切った。
それは、タイミングが良かったことだ。
しかし、2つめの理由の方が、より意味が大きい。
世界中の政治家達に対して、政府を効率的に、かつ、対応力を上げられるように、公共部門を改革する方法を示したことだ。

北欧の国々は、1970年~80年代には、高い税金と高い支出をする政府を作っていた。
しかし、このモデルは、機能しなかった。
スウェーデンは、1970年には世界で4番目の富裕国だったのが、1993年には14番に転落した。

これを見て、北欧の国々は、舵を大きく右に切った。
まず、支出を下げた。
スウェーデンのGDPに占める政府支出の割合は約18%下がった。
これはフランスよりも低く、すぐにイギリスよりも低くなるはずだ。
税率も下げた。
法人税率は22%で、アメリカよりもはるかに低い。
また、財政収支を合わせることに力を入れてきた。
スウェーデンは年金制度の改革に取り組んでいる。
スウェーデンのの財政赤字はGDPの0.3%で、アメリカは7%だ。

公共サービスについても同様に、プラグマティックな姿勢だ。
公共サービスが機能している限り、誰がサービスを提供するかということは気にしない。
デンマークとノルウェーは、公立病院の経営を民間企業に委ねている。
スウェーデンは、教育バウチャー制を導入し、営利目的の私立学校が公立学校と競争させている。
デンマークにもバウチャー制がある。ただし、そこに自費を上乗せできる仕組みだ。

また、透明性と技術の推進もポイントだ。
北欧では、すべての学校と病院は、その成果が測定されている。
政府は、きつい監視の下で運営しなければならない。スウェーデンでは、誰でも公文書を閲覧できるのだ。
自転車での移動をやめて、リムジンに乗り換えた政治家は非難される。
スウェーデンは、電子政府の先駆けでもあり、携帯のメールで税金を支払うこともできるのだ。
これらの国々は、競争重視の資本主義と大きな政府の組み合わせが実現可能だと証明している。

こうした新たな北欧のモデルも完璧ではない。
北欧の国々のGDP比の公的支出は、将来的に持続可能な水準をも上回っている。
税金の高さは、起業家の国外流出の原因だ。
あまりにもたくさんの国民(特に移民)が、社会保障に頼って暮らしている。
北欧の政府はシンガポールに比べると大きいし、社会保障の給付対象者への収入調査も十分ではないので、
これからも改革を強いられるだろう。

それでもやはり、北欧諸国に目を向けるべきだ。
北欧諸国は、EU諸国が真に経済的な成功を収められるという証拠でもあるからだ。
北欧から学ぶべき最大の教訓は、イデオロギー的なものではなく、プラグマティックなものだ。
北欧の政府が支持されるのは、大きいからではなく、うまく機能しているからだ。
スウェーデン人は、カリフォルニアに住む人よりも積極的に税金を払う。
それは、一定水準の教育と無料の医療を受けられるからだ。

これらのことを行うためには、腐敗と既得権益を積極的に取り除く必要がある。
そして、右派と左派という古びた考えを捨て、政治的な理念に関わらない、良い政策を探さなくてはならない。
世界は、この先何年間も、北欧モデルを研究していくだろう。

ひとこと
The Economist誌は、北欧の成功を紹介し、他国も学ぶべきことがある、という論調。
特に、政治家達はプラグマティックな姿勢で改革に臨むべし、と強調する。
これはまさに指摘通り。
右派とか左派とか、そんなことを考えても、何一つ役に立たないし、分析にも役立たない。
プラグマティックに、目的に合うか合わないか、より良いかより悪いか、を考える方が生産的だ。
使えるものは何でも使う。忍者の発想。

北欧モデルで、特に重要なのは、透明性と公平性。
この2つを失ったら、北欧諸国であっても、全ての機能は機能不全に陥り、腐敗が蔓延る。
また、透明性と公平性を感じるから、自ら進んで高い税金を受け入れている。
租庸(税金)で大切なことは、重きにあらず軽きにあらず、公平にあり。(武田信玄)
やはり天才だった。物事の本質を見抜く目を持っていた。それを引用し、著作を書いた小室先生も偉かった。
学ぶべきは、ここ。
税負担が高いとか、低いとか、そんなことにばかり注目しても仕方ない。

そこから日本の場合を考えると、宗教法人、特に、カルト宗教団体の創価学会や幸福の科学への課税が必要。
それから、パチンコへの課税。(僕は、そもそもパチンコ全廃止派だけれど)
加えて、法人税の改革。真面目に払う企業がバカを見る方式は即刻変える必要がある。
この辺りが、税制改革の本丸だろう。
完全な公平性は作ることができないけれども、少しでも公平な税制にしていく必要がある。

後、学ぶべきことは「機能(function)」という考え方を積極的に持つことだ。
日本の場合、これが一番難しいかもしれない。
この考え方が無いと、そもそもプラグマティックな姿勢を取ることができない。
「何のための」システムなのか、を考えることができないから。
日本は、民主主義ではないので、この考え方が無い。あったとしても希薄だ。
多くの集団は、共同体(Gemeinde)を形成する。
共同体の外の人間は、人間以下の下等生物。

それが如実(にょじつ)に表れているのが、大津のいじめ事件。
学校は、生徒の自殺直後に調査を行っていたが、その重要な調査結果をつい最近までずっと隠していた。
これは職員室や学校という共同体が、下等生物が一匹死んだ、くらいにしか思っていないから。
また、学校外の下等生物達に対して、情報を公開する必要が無い、と考える。
共同体内の個人がそう思っていないと言っても、結果として、そういう行動になってしまう。
個人がどうすることもできない、社会法則が働く。
学校という「機能」を達成することができないのだ。

こうした政府や公共機関は、何のためにあるのか?
このことを、考える必要がある。それが、北欧から学べる重要なことだ。
経済というのは所詮手段であって、目的ではない。
いくら経済大国で金を持っていても、金の使い方が下手ならば、目的を達成できないし、幸福にもなれない。
国民が幸福になるためには、政府はどうあるべきか。
そして、国民は如何に生きるべきか。
北欧も課題を抱えてはいるが、学べることも多い。

幸福であるかどうかということは、我々自身にかかっている。
(Happiness depends upon ourselves.) ――アリストテレス

2/2はこっち

ここまで読んだらクリック

人気ブログランキングへ

[1] The Economist, Feb 2nd 2013
[2] KAL's cartoon
[3] The next supermodel