今日も無事ここに戻ってこられた。継続の道のりは長い。本日も昨日に続いて、沖縄観光の話を書いていきたい。

 

 11月12日土曜日、この日だけは丸一日観光するんだ!と意気込んで朝からレンタカーを借り、南城市の方角へ向かった。生憎の天気ではあったが、谷の方であればそこまで雨も気にならないだろう、ということで「ガンガラーの谷」のツアーに参加した。このツアーは約1.5hほど、鍾乳洞や谷を散策しながらその場所の歴史や植物などの説明を聞くもので、ツアー客全員に配られた水筒に入ったさんぴん茶をカラカラと鳴らしながら15名ほどで歩いた。15名のうち、数名がどうやら社員旅行で来ているようで、大阪弁のお姉様方がああだこーだ、写真だどーだと常にお喋りしていることが少し気になりはしたのだが、雄大な自然に囲まれて終始ワクワクが止まらなかった。谷には大きなガジュマルの木が生えていたり、トトロの傘のような葉っぱが生えていたり、ジブリの世界観に入ったような感覚だった。ガジュマルの木は「歩く木」と呼ばれているのだそうで、細い枝が伸びて地面につき、それが根を張って更に先へと歩いていくのだそう。自然の生命力の強さを感じる。

 







 

 ガンガラーの谷の面白いところは、自然の雄大さ、生命力だけではない。そこで何万年も前に生きていた「人」の歴史が何よりも面白い。約2万年ほど前、ガンガラーの谷には「港川人(みなとがわじん)」と呼ばれる人類が生息していたらしい。その港川人の骨が、ほんの数年前にこの谷でほとんど完全な状態で見つかったのだというのだから、ロマンを感じずにはいられない。それも、まだまだ港川人に関する発掘調査は続いており、次々とその生活の実態が分かってきているのである。

 

 例えば、日本最古の着色された装飾品が見つけられ、それが遺骨の首や手首の位置にあったことから、アクセサリーを身につけていたのではないかと言われていたり、焼け焦げた痕のある猪の骨が出てきて、まさにこの場所で仕留めた猪を焼いて食べていたのではないかと言われていたり。そして何よりも私をワクワクさせたのは、遺骨が発見されたのはわずか15cm程掘った場所であったことから、その場所の地形は2万年前からほぼ変わらないということが分かるということだった。つまり、「今」ここで見ている景色とほぼ変わらない景色を、「2万年前」に港川人も見ている可能性が高いというのだ。時空が繋がるというのはこんな感覚だろうか。あの時ほど心が踊った瞬間はないというほど、私は「ロマン」を感じていた。

 

 港川人は日本人の先祖かもしれないと言われている。再現画像を見ると、確かにどことなく誰かに似ているような気がして親近感が湧く顔をしているので、ぜひ見てほしい。そんな港川人さん、まだまだ発掘途中ということでこれから更に多くの発見があの谷でされることだろう。そしてその歴史を発見させた(残した)のは、紛れもなく周りの自然なのだからそれもまた面白い。日本の土地はほとんどが火山灰で形成されており、酸性であるから通常は骨などはほとんど残っていないケースが多い。しかし、ガンガラーの谷の鍾乳洞は珊瑚などで出来ている為、アルカリ性なのだそう。だからこそ、骨が溶けたりすることなく、そのままの状態で見つかっているのだそうだ。それもまた、神秘であり面白いところ。あまりにも面白かったので、ガンガラーの谷の話でブログが1つ書き終えてしまうのも仕方ないかな。