先日、オクで買ったU87をボーカルに使用すると音が途切れるので除霊して欲しいという依頼があった。
またか。
本件で今年に入って18件目である。
今年はU87の厄年か。
この症状、Neumann U87に限った話ではない。
あらゆるコンデンサーマイクで発生している。
しかし、特にノイマンU87やU87Aiに多い。
日本のマイクではSONY C-48が特に多い。
SONY C-38Bでも数は多くないがある一定数発生している。
故障個所はもちろんカプセルである。
「ブレステスト」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これはノイマン社が行っている由緒正しいカプセルの異常診断方法だ。
以下にその方法を記載しよう。
ブレステストの方法
1.まず、歯を磨き口腔内を清浄に保つ。
2.次にマイクのカプセルにグリルメッシュ越しにゆっくり、冬の寒い日に手を温める感じで「ハーーーーーーーーー」と約30秒連続してゆっくり温かく湿った息を吹きかける。
※「吹きかける」と書いたがダイヤフラムを吹いてはいけない。
このとき、カプセルが正常であれば特に異常は発生しない。
しかし、カプセルが不良であれば下記のいずれかが発生する。
A ノイズが発生する。
B 音が途切れて無音状態になる。
C AとBの両方
オクのU87の70%以上にこの症状が発生する。
特にボディにサビが発生している個体では発生率は95%を超える。
保管環境が悪い証拠だ。
この症状の怖いところはマイクカプセルがどれだけきれいに見えても発生する点だ。
カプセルにシワやカビ、サビ、ゴールド剥離、汚れ、傷がないから安心ということにはならない。
そして、最悪なのは
この症状、発生すると二度と直らない。
という点だ。
ボーカルに使用している場合、この症状は特に発生しやすい。
ツバ(唾液)がダイヤフラムに飛び散るからだ。
経年というのは怖い。
数年から数十年という単位で見るとダイヤフラムに付いたツバは金と化学反応(酸化)して表面をボロボロにしていく。
また、ツバの部分にカビがコロニーを形成して菌糸がゴールドの剥離を招く。
それにしてもおかしな話だ。
金を溶かすのは硝酸と塩酸のチャンポンの王水だけと習わなかったか?
だが、現実にはダイヤフラムのゴールドはサビる。
特に中央の端子の周囲。
これは異種金属との接触により発生するサビだ。
台所のステンレスのシンクにスチールの空缶を置いていたらサビたということはないだろうか?
これと同じ現象に違いない。
なので、オクでU87Aiを購入するなら新品か新品同様の購入後1年以内のものに限る。
なお、ゼンハイザージャパンの保証規定ではカプセルは消耗品のため保証期間内であっても有償修理になる。
カプセル交換で10‐12万円かかる。
ゼンハイザージャパンにU87を修理に出すと見積りでこう言われることがあるかもしれない。
「カプセルのクリーニングをさせて頂きます。」
クリーニングだとだいたい3万円位だ。
カプセル交換の三分の一の費用。
安い!お得!
と思ったそこのあなた。
絶対にOKしてはならない。
これこそ、ゼンハイザージャパンの金儲けのテクニック。
あなたはカモに過ぎない。
必ず再発する。
そして、その度に金をむしり取られる。
ゆえに、
カプセルは必ず新品交換。
取り外したカプセルは送り返してもらってオクで売れば修理費用の幾らかの足しになる。
これが大原則だ。
もし、カプセルを新品交換したり、新品でU87系(U87に限らずコンデンサーマイク全てに言えることだが)を手に入れた方はとにかくその保管環境や使用環境に気を付けて欲しい。
ツバは絶対にダメ!(ボーカルにはポップガード必須。)
実はU87系のマイクには専用のウレタンポップガード(Neumann WS87)が存在する。
これはグリルを完全に分厚いウレタンフィルターで覆うものだ。
見栄えは良くないが、カプセルの保護を最優先させるのであれば使った方が良い。
例えば、AKG Solid Tubeという真空管マイクがあるが(既に生産中止だが)、あのマイクはグリルメッシュの内側にウレタンフィルターが入っている。そのため、中古でもカプセルの唾液のダメージは意外と少ない。ただし、経年でウレタンは朽ちたものが多い。
ここまで書いて、ゾクッとすることに気付いた。
まさかとは思うが、コンデンサーマイクの前で煙草を吸ったりしていないだろうか?
コンデンサーマイクの前で絶対に煙草を吸ってはならない。
煙草に限らず、ヘアスプレーや殺虫剤なども危険だ。
ノズルから吐き出される微粒子がカプセルに付着した瞬間、数十万円するマイクは当初の性能を失う。
オクでNeumann U87Aiを買ってはいけない!
オクでNeumann U87を買ってはいけない!
「オクでNEUMANN U87を買ってはいけない!その1」はこちら
